いのちの裂け目―布が描き出す近代、青森から @ 青森公立大学 国際芸術センター青森(ACAC)


LIN Gieh-Wen(Labay Eyong), weaving roads (2015-2016)

 

いのちの裂け目―布が描き出す近代、青森から
2020年5月7日(木)- 8月30日(日)
2020年4月11日(土) 4月18日(土)- 6月21日(日)
青森公立大学 国際芸術センター青森(ACAC)
http://www.acac-aomori.jp/
開館時間:10:00-18:00
会期中無休
企画担当:慶野結香(国際芸術センター青森 学芸員)

 

青森公立大学 国際芸術センター青森(ACAC)では、アジアを拠点に活動する碓井ゆい、遠藤薫、林介文を招聘し、青森の民俗資料から発想した新作や、文化財を用いたインスタレーションを展観する『いのちの裂け目―布が描き出す近代、青森から』を開催する。

ACACではこれまで、「青森市所蔵作品展」という企画の下、青森市歴史民俗展示館 稽古館(1977-2006年)から青森市および市教育委員会文化財課に移管された所蔵作品や資料を、アーティストの監修で紹介、地域の資源や歴史をさまざまな視点から掘り起こしてきた。本展ではその流れを汲みつつも、モノと現代美術のアプローチの境目の融解をより積極的に意識し、手芸や工芸、伝統文化の技術をもとに現代美術の活動を行なう碓井ゆい、遠藤薫、林介文を招聘した。

 


Yui Usui, demands and resistance (2019) Photo: Ryohei Tomita, Photo courtesy: Assembridge NAGOYA Executive Committee


Kaori Endo, Gravity and Rainbow (2019) Photo: KATO Ken

 

碓井ゆい(1980年東京都生まれ)は、歴史や文化、社会制度に関する個人的な経験や疑問を社会的・政治的なものとして捉え、文献資料や聞き取りなどのリサーチを通して紐解き、身近な素材、手芸などの手作業を用いた平面作品やインスタレーションを発表してきた。本展では、青森に伝わる刺し子の技法のひとつ「こぎん刺し」に関するリサーチを行ない、戦前の女子教育・洋学受容をテーマとした作品を発表する。テキスタイルに複雑な社会的事実が織り込まれていると考える遠藤薫(1989年大阪府生まれ)は、生活に根ざした工芸の本質を現代美術的な視座から探るべく、各地の布を調査、蒐集し、使用と修復の行為を繰り返してきた。本展では戦争と花火をテーマに、市民から青森で撮影された花火の映像や画像、布などの素材の提供を受け、作品の制作を試みている。台湾原住民の太魯閣(トゥルク)族出身の林介文(1982年台湾・花蓮生まれ)は、伝統的な織物の技法、ジュエリーデザインの知識を活かし、彫刻的なインスタレーションを制作している。ときにコミュニティの織り手と協働しながら、女性の身体性やアイデンティティなどに焦点を当ててきた。本展では、青森市教育委員会所蔵の文化財を裂織などを中心にリサーチ、海岸や街を訪ねて作品素材を収集、台湾原住民と日本の関わりをテーマとした作品を制作した。本展が日本で初めての作品発表となる。各アーティストがそれぞれ、裂織やこぎん刺しといった土地に根ざした布に関する実践に取り組む人々、地域の歴史や文化を研究している人々との交流、市民からの作品素材の提供などを経て、本展出品作品を制作した。

人が生きる上で欠かせない布を制作の素材とする三者三様の実践を、破壊と再生を繰り返すものとして捉えることで、本展は、ジョルジュ・バタイユが大地の「裂け目」である洞窟のなかに人間性と芸術の誕生を見出したように、モノを通して過去から現在へとつながる人間の営みについて考える機会を提供する。

 


LIN Gieh-Wen(Labay Eyong), Red Dinosaur (2019)

 

関連イベント
オープニング・アーティストトーク(中日逐次通訳あり)下記のイベントに変更
2020年4月11日(土)4月18日(土)14:30-15:30
会場:国際芸術センター青森 展示棟ラウンジ集合→ギャラリー内へ移動
定員:20名(要申込 ※申込締切:4/9)、無料

「オープニング直前・アーティストトーク」として
出演予定:碓井ゆい、遠藤薫、林介文(林氏はSkypeでの出演)
2020年4月29日(水・祝)14:30-15:30
YouTubeでのライブ中継、アーカイブのみ
https://www.youtube.com/user/acacaomori

林介文レクチャー「Nii nami (Here we are)」 ※延期(アーティスト来日時期未定のため)
2020年4月12日(日)14:30-16:00
会場:国際芸術センター青森 展示棟ラウンジ集合
無料、申込不要

キュレータートーク
2020年5月3日(日)14:30-15:30
会場:国際芸術センター青森 展示棟ギャラリーA 入口集合→ギャラリー内へ移動
YouTubeでのライブ中継、アーカイブのみ
https://www.youtube.com/user/acacaomori

定員:20名(要申込 ※申込締切:5/1)、無料

鑑賞とワークショップ「織り紙ファブリック!」
2020年5月16日(土)13:30-17:00
6月21日(日)、7月25日(土)、8月9日(日)13:30-17:00
会場:国際芸術センター青森 創作棟ワークショップスタジオ
定員:15名(要申込 ※申込締切:5/10) 各回定員5組、要申込・先着順、無料
対象:子どもから大人まで
持ち物:作品に織り込みたいもの2個以上(古い布や織りこめそうなものなら何でも)

 


Kaori Endo, Uesu (waste) (2018)

 

遠藤薫トーク「銃声、閃光、落下傘」
2020年6月6日(土)15:30-16:30 6月1日(月)18:00-19:00
会場:国際芸術センター青森 展示棟ラウンジ
定員:20名(要申込 ※申込締切:5/31) 10名、要申込・先着順、無料
YouTubeでのライブ中継:http://www.youtube.com/user/acacaomori

AIRS 企画 vol.6「『行為の記録』にみる多様性と相違性」 ※延期(新型コロナウイルス感染症対策のため)
ゲスト:山城大督(美術家、映像ディレクター、ドキュメント・コーディネーター)
2020年6月13日(土)14:00-16:00
会場:AOMORI STARTUP CENTER(青森市新町一丁目2-18 青森商工会議所会館1F)
定員:50名(申込不要)、無料

碓井ゆいトーク
2020年6月21日(日)14:30-16:00 ※7月もしくは8月に延期して実施
会場:国際芸術センター青森 展示棟ラウンジ
定員:20名(要申込 ※申込締切:6/19)、無料

 


Yui Usui, shadow of a coin (2013-2018) Photo: Shinya Kigure

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