マリア・ファーラ『Too late to turn back now』@ オオタファインアーツ


マリア・ファーラ「Fruit Salad」2019年 © Maria Farrar

 

マリア・ファーラ『Too late to turn back now』
2019年8月24日(土)-9月21日(土)
オオタファインアーツ
http://www.otafinearts.com/
開廊時間:11:00-19:00
休廊日:日、月、祝
※オープニングパーティー:8月24日18:00-

 

オオタファインアーツでは、日常のふとした瞬間や記憶の断片から構築される新たな情景を、多彩な筆使いで描いた絵画で注目を集めるマリア・ファーラの個展『Too late to turn back now』を開催する。本展は、作家本人の出自でもあるアジアで開催する初の個展となる。

マリア・ファーラは、1988年にフィリピンでフィリピン人の母親とイギリス人の父親との間に生まれ、幼少期を日本の下関市で過ごした後、15歳よりロンドンに移住し、現在も同地を拠点に活動している。2012年にオックスフォード大学ラスキン美術大学を卒業し、2016年にロンドン大学スレード美術学校で修士課程を修了。2010年代前半より作品の発表をはじめ、近年は2016年にロンドンのSupplement Galleryで『Marine』、2017年はダブリンのMother’s Tankstationで『Straits』、2018年はロンドンのMother’s Tankstation projectで『Eaves Deep』と個展を開催し、同2018年にはロンドンのSaatchi Galleryのグループ展『Known Unknowns』にも出品している。現在、エセックス州サウスエンド=オン=シーのFocal Point Galleryのグループ展『Day Tripper』に参加、ロンドン北東部のウォルサム・フォレスト・ロンドン自治区の文化事業『Ways of Seeing』の一環として、ウィップス・クロス大学病院で作品を展示している。

通りのパン屋を覗く女性、窓越しの庭、鏡台に散らばる化粧品など、具体的な瞬間を切り取りつつも、とらえどころのない浮遊感と広がりを感じさせるファーラの絵画は、彩度の高い油絵具を支持体のリネン生地の暗色地に置くことで、より深く強い色調を特徴としている。同時に、人物の太い輪郭線、書道的な筆の払い、かすれ・にじみ、それらとコントラストをなす繊細な細部描写が画面にリズムをもたらし、そうして浮かび上がる愛らしいモティーフが放つ存在感もまたその作品を特徴づけている。作家自身が「技法、色、主題において「東」における伝統(書道、マンガ)に「西」由来の新たな道筋(生リネン、大判の油彩画)を掛け合わせる(もの)」と語っているように、これまでに画面のクローズアップや、余白の扱いや筆法に日本的な趣を指摘されている。

「Too late to turn back now(振り返るにはもう遅い)」と題した本展では、「もっとたくさんの色をみたい」という渇望に裏打ちされた独特の色彩感覚と、色のさまざまな表情を引き出す卓抜した表現力によって、これまでのスタイルをさらに更新した新作を発表する。

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