みえるもののむこう @ 神奈川県立近代美術館 葉山


津上みゆき「View, a plum tree on the hill, the light, 12:22pm 2 Mar 2019」2019年 アクリル、カンヴァス Photo:山本糾

 

みえるもののむこう
2019年7月13日(土)- 9月8日(日)
神奈川県立近代美術館 葉山
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/
開館時間:9:30-17:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月(7/15、8/12は開館)
企画:三本松倫代(神奈川県立近代美術館主任学芸員)

 

神奈川県立近代美術館 葉山では、眼と精神、そして身体を日々生きられる空間に置き、そこから見えるものとその向こうに感じ取ったものを表現に起こしていく清新な感性を持つ5人のアーティストを紹介する企画展『みえるもののむこう』を開催する。

本展では、参加アーティスト一人ひとりが葉山の自然に囲まれた美術館の内と外を体感し、絵画、写真、インスタレーション、映像、ダンスなどそれぞれの表現方法で、場の特性に呼応したサイトスペシフィックな新作や初公開の作品を含めてそれぞれの展示空間を構成する。展示空間はアーティストごとの独立した空間性を保ちつつ、特定の順路を持たないままにゆるやかに連なり、観客は静かな美しさと確かさにみちた作品空間を自由に往き来し、窓外にひろがる自然の生命力を感じながら、アートと世界の連続性について体感、思索する時間を経験するだろう。

一之瀬ちひろ(1975年東京都生まれ)は、スナップ写真にコラージュを施したり、余白や色光を印画紙へ焼き付けて複写を繰り返す手法で注目を集めた「KITSILANO」シリーズのほか、初公開となる作品を含む近作、新作を、プリントと映像、冊子など複合的な形で発表する。長く国外を拠点に活動を続け、日本の美術館では初となる個展形式の空間での発表となる白石由子(1956年東京都生まれ)は、油彩と版画、立体インスタレーションに加え、音盤(レコード)作品を展示する。絵画をはじめ、音楽や建築のプロジェクト、キュレーション活動も展開する白石は、本展のアーティストトークの際に本展出品作の「SPECIMEN」音盤の会場上演を予定している。

 


一之瀬ちひろ「PARIS 2015/11/13 – TOKYO 2016」より「SNOW DOME」2016年 発色現像方式印画、紙


三嶽伊紗 個展「三嶽伊紗のしごと―みているもののむこう」徳島県立近代美術館、2014年 Photo:米津光

 

津上みゆき(1973年東京都生まれ)は、季節の移り変わりにあわせて数度にわたり葉山を訪れ、土地の光と空気、音や自身の感覚をとらえたスケッチブックから、鮮明かつ抑制された色彩や空隙が画面をみたす抽象的な絵画を制作し、展示空間に展開する。近年、冬の自然を撮影した静謐な動画を重ねて、具象と抽象のはざまに成立する映像作品を手がける三嶽伊紗(1956年高知県生まれ)は、そこで追求される表面性の問題を、朦朧とした色面や光を立体化したインスタレーションに展開している。本展では、展示室2と3の間に位置するレストコーナーの空間を作品として現前させる。振付家/ダンサーの酒井幸菜(1985年神奈川県生まれ)は、「美術館」という場をテーマに参加アーティストの出品作品や鑑賞者の動きからモティーフを採集し、各作家の空間にあてたパフォーマンスの制作、上演を試みる。

 


酒井幸菜 神奈川県立近代美術館 葉山にて、2019年 Photo:相川健一

 

酒井幸菜「眼差しと筆跡(展示室のコレオグラフィ)」
[パフォーマンス]各日午前と午後に約15分の公演(展覧会の初日と最終日は午後のみ約30分の公演)を実施(内容と出演者は各日により異なる)。
2019年7月13日(土)16:00「習作として」
2019年7月28日(日)11:00/15:00「津上部屋にて」
2019年8月10日(土)11:00/15:00「一之瀬部屋にて」
2019年8月24日(土)11:00/15:00「三嶽部屋にて」
2019年9月1日(日)11:00/15:00「白石部屋にて」
2019年9月8日(日)16:00「展示室を通して」
2019年9月[非公開/映像記録を後日公開]「空白の展示室にて」
[採集]
各パフォーマンスに先立ち、各作家の展示空間で、作品や空間、鑑賞者やスタッフの「動き」を観察し、作成したスケッチやメモを作業場として設定された酒井幸菜の展示空間に掲示する。その場所で振付の構想や検討の作業を行なう。
※スケジュールや内容は変更となる場合あり。採集日の最新情報は美術館ウェブサイト、Twitter等を参照。

 


白石由子「SPECIMEN」2011年 レコード、標本箱 Courtesy:東京パブリッシングハウス

 

関連イベント
アーティストトーク:白石由子
ゲスト:川村格夫(本展出品作《SPECIMEN》制作のユニット「36」のメンバー)
2019年7月15日(月・祝)13:00-14:00
会場:神奈川県立近代美術館 葉山 展示室
※《SPECIMEN》音盤(レコード)を会場で上演。

アーティストトーク:津上みゆき
2019年7月28日(日)13:00-14:00
会場:神奈川県立近代美術館 葉山 展示室

アーティストトーク:酒井幸菜
2019年7月28日(日)15:15-16:15
会場:神奈川県立近代美術館 葉山 展示室
※15:00からのパフォーマンスに続けて開催。

アーティストトーク:一之瀬ちひろ
ゲスト:尾中俊介[Calamari inc.](本展グラフィックデザイナー)
2019年8月10日(土)13:00-14:00
会場:神奈川県立近代美術館 葉山 展示室

アーティストトーク:三嶽伊紗
2019年8月24日(土)13:00-14:00
会場:神奈川県立近代美術館 葉山 展示室

館長トーク「みえるもののむこう」
水沢勉(神奈川県立近代美術館館長)
2019年9月1日(日)13:00-14:00
会場:神奈川県立近代美術館 葉山 展示室2・3

担当学芸員によるギャラリートーク
2019年7月27日(土)、8月8日(木)、8月27日(火)各日14:30-15:00
会場:神奈川県立近代美術館 葉山 展示室2・3

近代美術館入門講座「みえるもののむこうとこちら」 共催:葉山町
講師:三本松倫代(神奈川県立近代美術館主任学芸員)
2019年7月27日(土)10:00-11:00
会場:葉山町福祉文化会館 大会議室

 

 


 


柚木沙弥郎「歓喜のうた」2019年 型染、綿 作家蔵 撮影:阿部健

 

同時開催
柚木沙弥郎の「鳥獣戯画」
2019年7月13日(土)-9月8日(日)
神奈川県立近代美術館 葉山1
企画:朝木由香(神奈川県立近代美術館学芸員)

 


柚木沙弥郎「鳥獣戯画」(部分)2019年 水彩、アルシュ紙 作家蔵 撮影:大崎えりや

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