やなぎみわ展 神話機械 @ 福島県立美術館


やなぎみわ「女神と男神が桃の木の下で別れる:きらら」2018年 作家蔵

 

やなぎみわ展 神話機械
2019年7月6日(土)-9月1日(日)
福島県立美術館
https://art-museum.fcs.ed.jp/
開館時間:9:30-17:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし7/15、8/12は開館)、7/16、8/13
担当学芸員:荒木康子(福島県立美術館学芸員)

 

福島県立美術館では、現代美術のみならず近年は演劇プロジェクトを中心とした活動を展開するアーティスト、やなぎみわの大規模な回顧展『やなぎみわ展 神話機械』を開催する。本回顧展が日本では初めての展示の機会となる新作写真シリーズ「女神と男神が桃の木の下で別れる」は、やなぎが日本神話と桃をテーマに2016年から継続的に福島市内の果樹園で撮影したもの。また、同館でのやなぎ作品の展示は、2010年の『胸騒ぎの夏休み イチハラ×やなぎ×ヤノベ×小沢=∞、美術館で熱くなれ!』以来となる。

やなぎみわ(1967年兵庫県生まれ)は、1990年代中頃より、制服を身につけた案内嬢が商業施設空間に佇む「エレベーターガール」をはじめ、若い女性をモチーフに、CGや特殊メークを駆使した写真作品で注目を集める。続いて、女性が空想する半世紀後の自分を写真で再現した「マイ・グランドマザーズ」や少女と老婆が登場する物語を題材にした「フェアリーテール」などを国内外で発表し、2008年には東京都写真美術館で個展『マイ・グランドマザーズ』を開催、翌2009年に第53回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館で個展『老少女劇団』を実現する(コミッショナーは南嶌宏)。その後、2010年にやなぎみわ演劇プロジェクトを立ち上げると、「1924」三部作、「PANORAMA」、「ゼロ・アワー 東京ローズ最後のテープ」といった演目を立て続けに発表する。また、ヨコハマトリエンナーレ2014をきっかけにステージトレーラー・プロジェクトを立ち上げ、PARASOPHIA:京都国際現代芸術祭2015を経て、トレーラー車をステージの母体とした野外演劇「日輪の翼」を横浜、新宮、高松、大阪、京都で上演した。

 


やなぎみわ「神話機械・ムネーメー投擲マシン」2019年 撮影:表恒匡、被災地からの発信・心の復興支援事業実行委員会蔵

 

高松市美術館を皮切りに国内5ヶ所を巡回する10年ぶりの回顧展となる本展では、「エレベーターガール」、「マイ・グランドマザーズ」、「フェアリーテール」といった初期の代表的な写真シリーズから、本回顧展を機に立ち上げた神話世界を機械が演じる「神話機械」、先述した新作写真シリーズ「女神と男神が桃の木の下で別れる」、さらに、舞台作品の資料や映像の展示を交えて、現代美術と演劇を往還するやなぎの制作活動の全貌を明らかにしていく。「モバイル・シアター・プロジェクト」では、本展に向けて約一年前からやなぎと福島県立福島工業高等学校を含む本回顧展開催地の大学や高専が連携して、「モバイル・シアター・プロジェクト」が立ち上がり、演じるマシンを製作してきた。本展では、それらのマシンが、古代ギリシャ神話、ウィリアム・シェークスピア、20世紀東ドイツの戯曲家ハイナー・ミューラーなどの戯曲と競演し、美術と科学と演劇が融合した「神話機械」という空間が作り出された。また、7月13日、14日には「モバイル・シアター・プロジェクト」の一環として、俳優の高山のえみと音楽家の内橋和久を招き、やなぎみわ構成・演出のライブパフォーマンス『MM』を上演する。

 

関連イベント
ライブパフォーマンス『MM』
構成・演出:やなぎみわ
出演:高山のえみ
音楽:内橋和久
2019年7月13日(土)、14日(日)開演:19:30(開場:19:15)上演時間約1時間
会場:福島県立美術館企画展示室
定員:各回90名(先着順)※未就学児童の入場は不可
参加費:一般・大学生=2,000円、高校生=1,000円 ※展覧会観覧券付き、展覧会観覧割引・無料となる場合も左記料金
※5月25日(土)より美術館総合受付にて販売・電話予約可(024-531-5511)

やなぎみわトークショー
講師:やなぎみわ
聞き手:早川博明(福島県立美術館館長)
2019年7月6日(土)14:00-
会場:福島県立美術館講堂
聴講無料

ロボット教室
講師:吉田健(福島県立福島工業高等学校教諭)
2019年8月3日(土)13:00-16:30
会場:福島県立美術館、福島県立福島工業高等学校
定員:10名(先着順)、無料
対象:小学5年生〜中学生(保護者同伴可)
※要申込(公式ウェブサイトを参照)
※パソコンを使って簡単なプログラムを作り、LEDを点灯させる体験を実施。

触って、話して、見て楽しむ美術鑑賞ワークショップ 「神話と機械を見聞きする」
講師:やなぎみわ、福島県立美術館学芸員
2019年9月1日(日)
※内容の詳細、申込要領は福島県立美術館ニュース2019年8-9月号か同館ウェブサイトに掲載。

担当学芸員によるギャラリートーク
2019年7月27日(土)、8月10日(土)いずれも15:00-16:00
※観覧券を購入の上、企画展示室入口に集合。

 


やなぎみわ「My-Grandmothers:YUKA」2000年 作家蔵

Copyrighted Image