内藤礼-明るい地上には あなたの姿が見える @ 水戸芸術館現代美術ギャラリー


内藤礼「ひと」2012年 ギャラリー小柳、東京 撮影:木奥惠三

 

内藤礼-明るい地上には あなたの姿が見える
2018年7月28日(土)-10月8日(月)
水戸芸術館現代美術ギャラリー
http://www.arttowermito.or.jp/
開館時間:9:30-18:00(7/28-8/31)、9:30-17:00(9/1-10/8)いずれも入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、9/17、9/24は開館)、9/18、9/25
企画:井関悠(水戸芸術館現代美術センター学芸員)

 

水戸芸術館現代美術ギャラリーでは、「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」をテーマに制作する、内藤礼の個展『明るい地上には あなたの姿が見える』を開催する。過去最大規模となる本展では、自然光のみを使用し、光を自身の作品における根源のひとつとしてきた内藤が、光と生命と芸術がけっして分別されえない「地上の生の光景」をつくりだす。

内藤礼(1961年広島県生まれ)は、光、空気、風、水、重力といった無尽蔵な自然と、それらがもたらす色彩や音を受けとる私たち地上の生を、ひそやかな、それでいて確かな希望を放つかたちに昇華させた空間作品を手がけている。1985年に武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科を卒業し、91年には佐賀町エキジビットスペース(東京)の会場内にテントを吊り、その中でインスタレーションを展開した「地上にひとつの場所を」を発表する。内藤は観客がひとりずつ鑑賞するという形式を採る同作品を97年の第47回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館での個展にも出品。これまでに、『みごとに晴れて訪れるを待て』(国立国際美術館、1995)、『Being Called』(カルメル会修道院、フランクフルト、1997)、『すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している』(神奈川県立近代美術館 鎌倉、2009)、『信の感情』(東京都庭園美術館、2014)、『Two Lives』(テルアビブ美術館、2017)などの個展を開催。パーマネント作品として手がけた直島・家プロジェクト・きんざ「このことを」(2001)や、西沢立衛が内藤作品のために設計した豊島美術館の「母型」(2010)は、作品と自然や建築空間を呼応させるために最善の注意が払われている。

日中の太陽の光が自室に注ぎ込む間のみ制作するという内藤の制作環境の光に近い条件での作品鑑賞を提供すべく、本展は自然光のみの展示となる。これにより、観客は絵画作品「color beginning」において、人工照明では見ることのできない、繊細で神秘的な色彩が立ち現れ、移りかわる光景を目にすることが可能となる。また、新作を中心に絵画や彫刻など、さまざまなメディアで構成されるギャラリー全8室は、本展タイトルの「明るい地上には あなたの姿が見える」というひとつの作品としての鑑賞体験をもたらすだろう。内藤はあるとき、「地上の生の内にいる者(私)が、生の外に出て、他者の眼差しを持ち、生の内を眼差す無意識の働き」に気づき、「私たちは遠くから眼差され、慈悲を受けとっているのではないか」と感じるようになったという。一日を通して移り変わる豊かな自然光のもと、展示空間は地上に生きる私たちと死者、生まれ来る者、動植物、精霊との交歓の場として、また永続する自然の動きと私たちとを貫く連続性を可感化する空間として立ち現れる。

 


内藤礼 :「無題(母型)」2008年 三渓園 横笛庵、神奈川[横浜トリエンナーレ2008]撮影:畠山直哉.
:「無題」2009年(2008年-)神奈川県立近代美術館 鎌倉、神奈川 撮影:畠山直哉

 

また、同時期に若手作家の新作を中心に紹介するプログラム「クリテリオム」では、その第94回展として北林加奈子(1990年東京都生まれ)の個展を開催。陶に軟質な素材を掛け合わせた彫刻シリーズを制作する北林は、この春に東京藝術大学大学院を修了。昨年はギャラリーDiEGO表参道にて個展を開催、スウェーデンのヘルシンボリでの滞在制作、海外のアートフェアへの参加などを経験し、2018年に開かれた第66回東京藝術大学 卒業・修了作品展で平成29年度台東区長奨励賞を受賞。現在、受賞作品が上野中央通り地下歩道内展示ブースに展示されている。(展示は2019年2月中旬までの予定)

 

 

関連企画
キュレータートーク
井関悠(水戸芸術館現代美術センター学芸員)
2018年8月25日(土)、9月15日(土)各日14:00-15:00
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
定員:無料(展覧会入場料に含まれる)※参加希望者はギャラリー入口に集合

 

 


 

同時開催
クリテリオム94 北林加奈子
2018年7月28日(土)-10月8日(月)
水戸芸術館現代美術ギャラリー第9室
企画:竹久侑(水戸芸術館現代美術センター主任学芸員)

 


北林加奈子「肌-1」2017年 撮影:荻原楽太郎

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