起点としての80年代 @ 金沢21世紀美術館


松井智惠「あの一面の森に箱を置く」1987年、信濃橋画廊(大阪、1987年)での展示風景、作家蔵

 

起点としての80年代
2018年7月7日(土)-2018年10月21日(日)
金沢21世紀美術館
https://www.kanazawa21.jp/
開館時間:10:00-18:00(金、土は20:00まで)
休館日:月(ただし、7/16、8/13、9/17、9/24、10/8は開場)、7/17、9/18、9/25、10/9
事業担当:高橋律子・横山由季子

 

金沢21世紀美術館では、80年代の日本の美術を見つめ直し、今日の「起点」となる作品を紹介する企画展『起点としての80年代』を開催する。

戦後日本の経済が絶頂期を迎える1980年代は、円高が加速、電電公社や国鉄が民営化し、コンビニエンスストアが普及しはじめ、パーソナルコンピュータが一般的に利用されはじめるなど、現在に直接つながる重要な動向を確認することができる。好調な経済状況を背景にした美術では70年代のコンセプチュアルでストイックな表現に対する反動として、絵画や彫刻の復権が唱えられ、色彩豊かでのびのびとした筆遣いの「ニュー・ペインティング」などが広がった。一方、90年代以降の美術はそうした80年代の表現よりもむしろ「おたく」など80年代のサブカルチャーに影響を受けた表現が中心をなし、また、近年、「具体」や「もの派」といった70年代までの戦後日本美術に関する研究が国内外で急速に進んでいる。

 


杉山知子「the midnight oasis」1983年、作家蔵


吉澤美香、 左から「無題(テーブル)」「無題(三脚)」「無題(掃除機)」「無題(茶だんす)」1982年、千葉市美術館蔵

 

約30年を経て、各分野で80年代を再検証する動きが高まる中、本展ではインスタレーションという形式、作品制作への参加や社会との関係への意識、オルタナティブ・スペース、メディア・アート、「美術」という制度を相対化する視点、日常性や軽やかさを大切にする感性などが新たに見えてきた充実した時代として捉え、これまで参照される機会の少なかった80年代の美術に焦点を合わせ、再検証を行なっていく。また、金沢21世紀美術館は「1980年以降に制作された新しい価値観を提案する作品」をコレクションの収集方針に掲げており、本展は同館の活動の「起点」について再検討する機会にもなるだろう。

出品作家は、石原友明、今村源、大竹伸朗、岡﨑乾二郎、川俣正、杉山知子、諏訪直樹、辰野登恵子、戸谷成雄、中村一美、中原浩大、日比野克彦、藤本由紀夫、船越桂、松井智惠、宮島達男、森村泰昌、横尾忠則、吉澤美香。なお、本企画は金沢21世紀美術館での開催ののち、高松市美術館、静岡市美術館へと巡回を予定している。

 


宮島達男 パフォーマンスNA.AR.(Line)の記録写真 1984年、Akio Nagasawa Gallery蔵

 

関連イベント
アーティスト・トーク:今村源、中原浩大、松井智惠
出演者:今村源、中原浩大、松井智惠
モデレーター:島敦彦(金沢21世紀美術館館長)
2018年7月7日(土)14:00-16:00
会場:金沢21世紀美術館レクチャーホール
定員:70名
無料
申込方法:https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=104&d=2030

「PRESENT SOCCER」公開制作 1982SPAIN→2018RUSSIA
作家:日比野克彦
2018年7月7日(土)
午前の部 11:00-13:00|午後の部 16:30-18:00
会場:金沢21世紀美術館市民ギャラリーA東側通路
無料

 


辰野登恵子「WORK 86-P-13」1986年、高松市美術館蔵

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