視覚芸術百態:19のテーマによる196の作品 @ 国立国際美術館


高橋尚愛「無題」1966年 国立国際美術館蔵

 

全館による所蔵作品展
視覚芸術百態:19のテーマによる196の作品
2018年5月26日(土)-7月1日(日)
国立国際美術館
http://www.nmao.go.jp/
開館時間:10:00-17:00(金曜、土曜は20:00まで)入場は閉館30分前まで
休館日:月

展覧会担当:中西博之(国立国際美術館主任研究員)

 

国立国際美術館では、同館の誇るコレクションのなかから、新収蔵作品を含む196の作品を19のテーマのもとに紹介する、全館を用いた大規模な所蔵作品展『視覚芸術百態:19のテーマによる196の作品』を開催する。

国立国際美術館は、1977年に日本で4番目の国立美術館として開館し、独立行政法人国立美術館のなかでも、日本の美術の発展と世界の美術との関連を明らかにする、主に1945年以降の現代美術の作品・その他資料の収集に取り組んでいる。ジョアン・ミロの陶板大壁画「無垢の笑い」からはじまったコレクションも現在では約8,000点を数える。

近年、現代美術を扱う美術機関には、ロンドンのテート・モダンをはじめ、従来の時代別・地域別という方法での展示ではなく、テーマ別に所蔵作品を紹介する展示方法を採る事例が見受けられる。本展もまた、時代・地域・ジャンルなどの基本的な美術の枠組みを前提にしながらも、「点・線・面」「色彩」「素材と形態」「空間」「光」「動き」「スケール」「視点」「台座と支持体」「タイトル」「人」「動物」「自然」「物」「文字」「流用」「ミュージアム」「反復」「偶然」の19のテーマの下に、作品間の多種多様なつながりを感じとれるような展示構成を採用している。

 


オリバー・ビア「これはチャーチワーデン・パイプである(右側)」2014年 国立国際美術館蔵


荒木悠「オラファー」2014年 国立国際美術館蔵

 

出品作品には、初公開となる新収蔵作品も多数。高橋尚愛の「無題」(1966)もそのひとつで、「作者」という概念に対して問題意識を持ちつつ、ほかのアーティストたちとのコラボレーションを実施していた高橋が、既製の室内装飾用ローラーを使って花柄などのパターンを転写した絵画。高橋同様、「私」という主体に対する問題意識を持った制作を続ける奥村雄樹とのコラボレーションにより、その制作活動への注目が寄せられている。また、オリバー・ビアの「これはチャーチワーデン・パイプである(右側)」(2014)は、800名を超える応募の中から選ばれた2015年度大和日英基金美術賞の受賞後に開かれた日本初個展の出品作のひとつで、マグリットの「これはパイプではない」やゴードン・マッタ=クラークの仕事との関連を見出すこともできる。そのほか、昨年度、特別予算により購入したフェリックス・ゴンザレス=トレスの「無題(ラスト・ライト)」(1993)も出品。

6月2日には、本展を担当した中西博之が「作品と類似:コレクション展のキュレーションについて」と題した講演会を開催。そのほか、会期中にはギャラリー・トークの開催も予定している。

 

出品作家
バーネット・ニューマン、ピエロ・マンゾーニ、高松次郎、アグネス・マーチン、イミ・クネーベル、五月女哲平、フランク・ステラ、ジョセフ・コスース、村上友晴、マーク・クイン、内藤礼、秋吉風人、リチャード・タトル、リンダ・ベングリス、中原浩大、篠原有司男、荒木悠、リチャード・オードリッチ、ヘンリー・ムア、宮脇愛子、岡﨑乾二郎、竹岡雄二、岡崎和郎、ダン・フレイヴィン、フェリックス・ゴンザレス=トレス、アントン・ヘニング、マイク・ケリー、マルセル・デュシャン、工藤哲巳、ダーン・ファン・ゴールデン、畠山直哉、トニー・アウスラー、ライアン・ガンダー、ヴォルス、ジム・ダイン、三木富雄、ローリー・シモンズ、トーマス・ルフ、イリヤ・カバコフ、ヤン・ディベッツ、関根伸夫、ロイ・リキテンスタイン、タイガー立石(立石紘一・立石大河亜)、シュテファン・バルケンホール、斎藤義重、ルーチョ・フォンタナ、ジグマー・ポルケ、ジャン=ピエール・パンスマン、アンソニー・カロ、ミケランジェロ・ピストレット、ベルトラン・ラヴィエ、ゲルハルト・リヒター、ヨーゼフ・ボイス、オリバー・ビア、パブロ・ピカソ、ジャン・フォートリエ、アルベルト・ジャコメッティ、ゲオルク・バゼリッツ、リチャード・ハミルトン、ジョン・カリン、リュック・タイマンス、マリノ・マリーニ、ジャン=ピエール・レイノー、舟越桂、エルヴィン・ヴルム、柳原義達、八木一夫、森山大道、吉野辰海、落合多武、キキ・スミス、ジャン=マルク・ビュスタモント、柴田敏雄、マン・レイ、ジョルジョ・モランディ、アルマン、レイチェル・ホワイトリード、小林孝亘、髙柳恵里、小石清、中西夏之、トニー・クラッグ、宮本隆司、竹﨑和征、ハミッシュ・フルトン、河原温、エドワード・ルッシェ、山城隆一、アンディ・ウォーホル、横尾忠則、シェリー・レヴィーン、小川信治、マルセル・ブロータース、ウテ・リンドナー、カンディーダ・ヘーファー、メル・ジーグラー、高橋尚愛、李禹煥、ドナルド・ジャド、ベルント&ヒラ・ベッヒャー、村岡三郎、ニエーレ・トローニ、マックス・エルンスト、モーリス・ルイス、元永定正、柳幸典、ベルナール・フリズ、オノデラユキ、ヴォルフガング・ティルマンス

 

関連イベント
講演会「作品と類似:コレクション展のキュレーションについて」
講師:中西博之(国立国際美術館主任研究員)
2018年6月2日(土)14:00-
会場:国立国際美術館地下1階講堂
定員:130名(先着)、無料
※当日10:00から整理券を配布

ギャラリー・トーク
2018年6月2日(土)15:00-
6月29日(金)18:00-
会場:国立国際美術館展示室
参加無料(要観覧券)
※開始30分前から聴講用ワイヤレス受信機の貸し出しあり(先着:90名)

 


中原浩大「レゴ」1990-91年 国立国際美術館蔵

 


村岡三郎「酸素-左手を頸動脈に」1991-92年 国立国際美術館蔵

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