ヨハン・グリモンプレ『ダイアル ヒ・ス・ト・リー』@ 現代美術センターCCA北九州 CCAギャラリー


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ヨハン・グリモンプレ『ダイアル ヒ・ス・ト・リー』
2018年4月16日(月)-5月18日(金)
現代美術センターCCA北九州 CCAギャラリー
http://cca-kitakyushu.org/
開廊時間:10:00-17:00(土曜は12:00-17:00)
休廊日:日、祝、休

 

現代美術センターCCA北九州では、日常に浸透、蔓延する映像が人間や社会にもたらす力学に着目し、多様なフッテージを繋ぎ合わせた映像作品で現実の新たな見方を提示してきたベルギー出身の映像作家、ヨハン・グリモンプレの個展『ダイアル ヒ・ス・ト・リー』を開催する。本展では、1997年にポンピドゥー・センターとドクメンタ10でプレミア上映を実施し、グリモンプレが世界的に注目されるきっかけとなった映像作品「ダイアル ヒ・ス・ト・リー」を紹介する。

ヨハン・グリモンプレ(1962年ベルギー・ルーセラーレ生まれ)は、文化人類学を学んだのち、ゲント王立芸術アカデミーやニューヨークのスクール・オブ・ヴィジュアル・アーツで写真や映像などを学ぶ。90年代初頭に短編映像作品を手がけたのち、97年に本展出品作品「ダイアル ヒ・ス・ト・リー」を発表。その後は2009年に、小説家、トム・マッカーシーとの共同脚本による自身2作目の長編映像作品「Double Take」を発表。アメリカ合衆国とソビエト連邦の東西冷戦、登場人物のひとりとして描かれた「アルフレッド・ヒッチコック」とそのドッペルゲンガー、20世紀における映画の衰退とテレビの勃興などといった2項の関係性が重なりつつ展開する同作は、数々の映画祭や展覧会で紹介されている。近年は、複数の短編映像作品のほか、国際武器取引を扱ったアンドリュー・ファインスタイン『The Shadow World(邦題:武器ビジネス:マネーと戦争の「最前線」)』を基にしたドキュメンタリー「Shadow World」(2016)、国際武器取引の問題に正反対の立場から取り組むふたりの登場人物を中心に展開する映像作品「Blue Orchids」(2017)を発表している。

本展で上映する「ダイアル ヒ・ス・ト・リー」は、60、70年代に起こったハイジャックや国際テロを報じるニュース映像を中心に、ハリウッド映画やアニメーション、コマーシャル映像、ホームビデオなど多種多様な映像素材、小説家、ドン・デリーロの小説『マオⅡ』の抜粋、デイヴィッド・シーの音楽などをサンプリングし、事件を取り巻くマスメディアや社会、政治的背景の構造と関係、そして、その変遷を辿る映像作品。現実と虚像を混在させながら、歴史的事件を新たな視点にさらすことで、日常的に享受しているイメージに潜む複雑な力学を明らかにしていく。

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