第9回横浜トリエンナーレ キービジュアル 制作:Studio YUKIKO 提供:横浜トリエンナーレ組織委員会
2026年11月4日、横浜トリエンナーレ組織委員会は、2027年4月に開幕を控える第9回横浜トリエンナーレの展覧会タイトルを「クジラのねむる場所、竜宮からのたより」に決定するとともに、展覧会コンセプトとキービジュアルを発表した。
アーティスティック・ディレクターのコスミン・コスティナシュとインティ・ゲレロは、深海にまつわるふたつのモチーフ、「リュウグウノツカイ」と「ホエールフォール(鯨骨生物群集)」を手掛かりに、第9回展のタイトル「クジラのねむる場所、竜宮からのたより」を構想した。深海に生息するリュウグウノツカイは、日本では、おとぎ話の「竜宮城」からの使者として知られ、古くから海面に姿を現すことが災厄の予兆であるとされてきた。一方、ホエールフォールでは、その向かう方向も、もたらされる意味も反転する。死んだクジラの身体は海底へと沈み、数十年、あるいはそれ以上の長きにわたって生命を育む生態系の源となる。ふたりは、死に始まりを、終わりに豊かさを見出すこの沈降の動きを、本展の中心的なメタファーと位置づける。
本展は、人々や文化が行き交い、さまざまな思惑や物語が交錯する「港」に着想を得たもので、その背景には、今日の情報通信網を支える海底ケーブル、横浜の開港期に整備された電信網、さらにそれ以前より紡がれてきた国際交流の歴史がある。リュウグウノツカイの知らせとうわさを追いながら、16世紀後半からアジアと南北アメリカ大陸を結んだマニラ・ガレオン貿易、19世紀にナショナリズムと帝国を支えるメディアとして発展した電信システムやパノラマ館、今日のインターネットやソーシャルメディア、AIといった情報伝達の歴史を巡る一連のエピソードを通じて、さまざまな危機の重みによって沈んでいくかのようにみえる今日の世界に目を向けるとともに、その深淵で芽吹く、未来への希望の兆しを探るものとなる。(展覧会コンセプトの全文は公式ウェブサイトを参照。)
会場となる横浜美術館については、トリエンナーレへの建築的な介入を通じて大きなクジラの身体に見立て、グランドギャラリーをその体内、あるいは巨船の躯体に変えるという。コスティナシュとゲレロは、日本の近代化の幕開けとともに世界に開かれた横浜を本展がたどる物語の起点に置き、そこに異なる系譜に根ざした表現が集い、海底から新たな世界が立ち上がると述べている。
キービジュアルは、ベルリンを拠点に活動するクリエイティブ・エージェンシーのStudio YUKIKO(スタジオ・ユキコ)がデザインした。Studio YUKIKOは2012年に設立され、ファッション、テクノロジー、文化、アートなど幅広い分野で、独自のコンセプトに基づくコミュニケーションデザインを手がけており、主な仕事に第36回サンパウロ・ビエンナーレ(2025)、世界文化の家[HKW](2023)のVI計画がある。キービジュアルの螺旋を描く文字は、海中を上昇・下降する運動と、ホエールフォールの二面性を視覚化したものだという。化石のように表現された横浜トリエンナーレのロゴ「Y」や、ドットマトリクスを用いた可変書体のほか、深海をあらわす青と深い赤色を背景に明るいコーラルレッドと柔らかな緑を組み合わせた色彩で、暗い深海から生まれる希望や可能性、そして新たないのちを表現している。
第9回横浜トリエンナーレ「クジラのねむる場所、竜宮からのたより」
2027年4月23日(金)–9月12日(日)
https://www.yokohamatriennale.jp/
会場:横浜美術館
アーティスティック・ディレクター:コスミン・コスティナシュ、インティ・ゲレロ
