Art Basel in Basel, Courtesy of Art Basel Photo: Matthieu Croizier
世界有数のアートフェア「アートバーゼル」が、2026年6月18日から21日の4日間にわたり、バーゼル市内のメッセ・バーゼルに43カ国/地域から290軒のギャラリーが集まる「アートバーゼル2026」のラインナップを発表。コミッション・プロジェクトの担当アーティストや各部門の出展ギャラリーなどが明らかとなった。
コミッション・プロジェクトに選ばれたのは、昨年開かれたアートバーゼルアワードのアーティスト(エスタブリッシュ)部門の金メダリストとなったナイリー・バグラミアンとイブラヒム・マハマの2名。ナイリー・バグラミアンがメッセプラッツ、イブラヒム・マハマがミュンスタープラッツに新作を展開する。そのほか、従来のブースでは展示不可能な大型作品や広い空間を必要とする作品を紹介するアンリミテッド(Unlimited)のキュレーションは、MoMA PS1のルーバ・カトリーブが初担当。パルクール(Parcours)の3度目のキュレーションを担当するスイス・インスティテュートのステファニー・ヘスラーは2026年のテーマに「コンヴィヴィアリティ」を掲げる。いずれも出品作家などの詳細は後日発表となる。
Nairy Baghramian, Art Basel Gold Awardee – Established Artists Münsterplatz Commission 2026 Courtesy of Art Basel
Ibrahim Mahama, Art Basel Gold Awardee – Established Artists Münsterplatz Commission 2026 Courtesy of Art Basel
世界最高峰のアートフェアの核となるギャラリーズ(Galleries)には、国際的な現代美術のマーケットを牽引する232軒が出展。日本からは昨年に引き続き、サードギャラリーAya、タカ・イシイギャラリー、タケニナガワ、東京画廊+BTAPの4軒が参加する。出品作家数(3名以内)と制作年(近年5年以内)を限定した部門として昨年新設されたプレミア(Premire)は、出展ギャラリーの数が昨年の10軒から17軒へと増加。日本からの参加はないが、韓国のPKMギャラリー(ソウル)はホン・ヨンイン、中国のWhite Space(北京)は王拓[ワン・トゥオ]を個展形式で紹介する。美術史的観点を踏まえた展示内容を条件とするフィーチャー(Feature)には、16軒が参加。Kotaro Nukagaは、2024年に生誕100年を迎え、日本各地の美術館でも積極的な紹介が続く芥川(間所)紗織、SCAI THE BATHHOUSEは、赤瀬川原平、高松次郎、中西夏之のハイレッド・センターの3名を取り上げる。エディション(Edition)は、Gemini G.E.L.(ロサンゼルス)やSTPI(シンガポール)など、7軒が出展。
新進アーティストの個展形式が条件となるステートメンツ(Statements)には、アートバーゼル初出展となる9軒を含む18軒がエントリー。同部門は、バロワーズ賞の対象となり、受賞者には賞金3万スイスフランが授与されるほか、バロワーズ・グループがヨーロッパの主要美術館への寄贈を前提に作品を購入する。Galerie Moltor(ベルリン)が台湾の塩水蜂炮(爆竹祭り)を取材した映像作品を発表するイラン系ドイツ人のヤルダー・アフサ、ROH Projects(ジャカルタ)がソウルに拠点を置くアーティスト・コレクティブのイキバウィクルル、Kai Matsumiya(ニューヨーク)が青崎伸孝、KOSAKU KANECHIKAが佐藤允の個展形式で出展する。
Art Basel in Basel, Courtesy of Art Basel
The Mittlere Brücke in Basel, Courtesy of Art Basel
最後に、アートフェア会期中に開かれているバーゼル市内の主要美術機関の展覧会を紹介。毎年注目のバイエラー財団美術館は、一昨年のヴェネツィア(プンタ・デラ・ドガーナ)での個展も記憶に新しいピエール・ユイグの個展(5月24日〜9月13日)。続いて、バーゼル市立美術館は、革新的なステイニング技法で知られる抽象表現主義を代表する画家、ヘレン・フランケンサーラー(1928–2011)の60年以上に及ぶ制作活動を40点の絵画を含む作品群を通して振り返るヨーロッパでは過去最大規模の回顧展を開催(4月18日〜8月23日)。ルネサンスからモダニズムまで徹底的に研究したフランケンサーラーが、生前言及した作品を併せて紹介することで新たな視点の提示を試みる。同館では、社会批評、ポップカルチャーの美学、シュルレアリスムへの言及、ドキュメンタリーの手法などを融合した映像インスタレーションやマルチメディア・インスタレーションにより、中国社会の急速な変化を映し出してきたツァオ・フェイ[曹斐]の、同館3フロアを没入型の展示空間へと変容する個展を同時開催(5月30日〜11月10日)。また昨年、シカゴのアートスペース「Wrightwood 659」で開かれた「The First Homosexuals. The Birth of New Identities 1869–1939」の巡回展示も同時開催(3月7日〜8月2日)。「Homosexual(同性愛)」という言葉が初めて印刷物に登場した1869年から20世紀半ばにかけて、セクシュアリティ、ジェンダー、アイデンティティに関する新たなイメージが形成されていったのかを約80点の絵画や版画、写真、彫刻などを通して明らかにしていく。
クンストハレ・バーゼルでは、ポピュラーカルチャーや美術史からのモチーフを駆使し、再構成した絵画を通じて、支配的な文化的物語に組み込まれた白人至上主義の神話を解体しようと試みてきたジャニヴァ・エリス(5月1日〜8月9日)や、現代のデジタルテクノロジーが関係、身体、欲望の形成にどのように影響しているのかを探求する作品を手がけてきたリ・シュアン[李爽](5月1日〜8月9日)のヨーロッパ初個展を開催。バーゼル州立美術館では、記憶をテーマとするグループ展「Mémoires voyageuses / Traveling Memories」(5月22日〜8月16日)を開催。また、ロビーにコミッション・プロジェクトは、ペルシャ湾岸地域の資源がもたらす社会や環境への影響を批評的に考察した表現で知られる、ベルリンを拠点に活動するクウェート出身のモニラ・アルカディリが担当する(2月6日〜2027年1月24日)。ティンゲリー美術館では、学際的なアプローチに基づいたオートマトン(自動装置)の可能性を探求するニコラ・ダロ(3月5日〜2027年3月7日)や、物語を伝える手段、社会的思想を表現する手段としてのパフォーマンス、音や身振りをはじめとする非言語的なコミュニケーションへの関心に基づいた作品を発表してきたアンジェリカ・メシティ(3月18日〜8月30日)の個展、身体とテクノロジーの多方面にわたる相互依存的な関係を、フェミニズムの観点から掘り下げる企画展「Labouring Bodies」(6月10日〜11月8日)などを開催する。
アートバーゼル2026:https://www.artbasel.com/basel
