第18回「 shiseido art egg 賞」 をすずえりが受賞

展示風景「すずえり:Any girl can be glamorous」資生堂ギャラリー、東京、2025年 提供:資生堂ギャラリー

 

2025年7月29日、資生堂は、新進アーティストに資生堂ギャラリーの門戸を広く開く公募制のプログラム「shiseido art egg」の第18回受賞者に、すずえり(鈴木英倫子)を選出したと発表した。同日授賞式を行ない、トロフィーと賞金20万円が授与された。

18回目となる2025年は、291件の応募から選ばれた大東忍、すずえり、平田尚也が3月から6月にかけてそれぞれ約1カ月間の個展を行なった。3つの展覧会を開催後、建築家の永山祐子、美学者の星野太、美術家の村山悟郎による審査の結果、リサーチに基づいた通信と社会の関係や、実在の人物の生涯をめぐる多様な要素を、高精度で美しいインスタレーションで構成したこと、また、展示空間の鑑賞者を巻き込みながら、その姿も作品として取り込む試みなど、総合的な完成度が評価された。

 

展示風景「すずえり:Any girl can be glamorous」資生堂ギャラリー、東京、2025年 提供:資生堂ギャラリー
すずえり 提供:資生堂ギャラリー

 

すずえり(神奈川県生まれ)は、楽器や電球を自作の電子回路や通信機器と接続した装置を制作し、そこに表象される音や光に物語性を見出す作品を手がけるほか、即興演奏家としても活動。本展では、ハリウッド女優として知られる一方で、Wi-FiやGPSなど現代に欠かせない通信技術の礎を発明した発明家でもあったヘディ・ラマー(1914-2000)の波乱の生涯にフォーカスした展示を展開した。彼女の人生を振り返るとともに、彼女の発明を応用した作品などを通じ、通信と社会の関係や女性の生き方について考える展覧会となった。

すずえりは「並走いただいたキュレーターをはじめ、ギャラリーや設営、照明のかたがた、自分の身のまわりで手伝ってくれた人々、パフォーマーの2人、そしていらした方すべての人々の力で実現した展示です。自分がいままで経験し、できることすべてを反映させたつもりですが、今のタイミングでこの規模での作品を作る機会をいただけたことを感謝しています。ますます困難な社会となっていますが、今回見えてきた軸のようなものをぶれずに抱えて、先に進んでいきたいと思います」とコメントした。

shiseido art egghttps://gallery.shiseido.com/jp/artegg/

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