アートバーゼル香港2023、参加ギャラリーのラインナップを発表


Art Basel Hong Kong 2022 Courtesy Art Basel

 

2023年3月23日から25日の3日間にわたり、アジア屈指のアートフェア「アートバーゼル香港」が香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)で開催される。(招待制のプライベートビューは3月21日、22日、ベルニサージュは23日に開催。)3月末の開催に先立ち、主要部門の参加ギャラリーのラインナップなどが発表された。

入国者などに対する強制隔離措置の撤廃後初めての開催となる今回は、世界各地からより多くの観客の来場が見込まれており、参加ギャラリーも130軒から172軒と大幅に増えた。世界4都市に展開するアートバーゼルにおいて、アートバーゼル香港はアジア太平洋地域に注力するものとして、同地域に拠点を置くギャラリーが全参加ギャラリーの3分の2を占める。なかでも、最多の32軒が参加する香港をはじめ、日本、中国、韓国、台湾は大きな存在感を示している。また、2022年11月にはこれまでギャラリー・リレーションズ・アジアの地域責任者などを10年間担当してきたエンジェル・シーヤン=ルーがディレクターに就任し、ディレクター・アジアのアデリン・ウーイとともに同地域のアートの発展に尽力していく。

 


Angelle Siyang-Le, Director, Art Basel Hong Kong Courtesy of Art Basel

 

アートフェアの中核をなすギャラリーズ部門では、パキスタン出身で長くロンドンで活動するラシード・アライーンの初期ドローイングやミニマルな彫刻を出品するロッシ&ロッシ(香港)、2020年に国立国際美術館で開かれた大規模個展も記憶に新しいヤン・ヴォーがベルリン郊外のギュルデンホフのスタジオでの実践に着想したインスタレーションを発表するビタミン・クリエイティブ・スペース(広州、北京)などとともに、日本の戦後前衛書を代表する森田子龍、井上有一、比田井南谷、篠田桃紅を出品する思文閣が注目のブースに挙げられている。思文閣のほか、アノマリー、オオタファインアーツ、カイカイキキギャラリー、小山登美夫ギャラリー、シュウゴアーツ、スカイザバスハウス、タカ・イシイギャラリー、タケニナガワ、タロウナス、東京画廊+BTAP、ナンヅカ、ミサコ&ローゼン、ミサ・シン・ギャラリー、ミヅマアートギャラリー、ユミコチバアソシエイツが日本に本拠を置くギャラリーとして参加する(東京にスペースを置くファーガス・マカフリーも同部門に参加)。

 


Kenneth Tam, The Rider (2022) Courtesy of the Artist and Commonwealth and Council

 

アジア太平洋地域に縁のあるアーティストを特集した展示内容を条件とするインサイト部門には19軒が参加する。同部門には、斉藤義重と岡﨑乾二郎を出品するタクロウソメヤコンテンポラリーアート、小清水漸を出品するYODギャラリーをはじめ、コウサクカネチカ、ギャラリー小暮、コタロウヌカガ、みぞえ画廊、ユタカキクタケギャラリー、ヨシアキイノウエギャラリー、rin art associationが参加。また、新進アーティストの個展形式を条件とするディスカバリー部門では、アメリカ西部のカウボーイ文化を調査するとともに、アジア系アメリカ人の男らしさに対する均一なイメージを問いただす「Silent Spikes」プロジェクトに取り組むケネス・タムの個展形式で出展するコモンウェルス&カウンシル(ロサンゼルス、メキシコシティ)、カウィタ・ヴァタナジャンクールが継続して取り組んでいる苦境に置かれる現代の農民、争議、工業化された農業の未来の問題を扱った映像インスタレーションを出品するノヴァ・コンテンポラリー(バンコク)のほか、宮崎啓太の個展形式で出展するマホクボタギャラリーなどが参加する。

なお、今回のアートバーゼル香港では、2019年以来となる大型作品が揃うエンカウンターズ部門(キュレーション:アレクシィー・グラス・カントワー)が再開、テーマや特集に基づいたプレゼンテーションによるキャビネット部門も新設される。両部門の詳細は、フィルム部門やカンバセーションズ部門とともに、これからの発表となる。

 

アートバーゼル2023https://www.artbasel.com/basel

 


Sydney Shen, Trou de Loup (2023) Courtesy of the Artist and Gallery Vacancy, Shanghai

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