欧米中心のアートワールドのあり方を問うギャラリー主導のプラットフォーム「SOUTH SOUTH」が設立、「SOUTH SOUTH VEZA」を開催

 

2021年2月、ヨハネスブルグに拠点を持つグッドマン・ギャラリーのリザ・エセルスをはじめとする複数のギャラリストが主導するかたちで、欧米中心のアートワールドのあり方を問い、グローバル・サウスの問題に尽力するアーティスト、ギャラリー、キュレーター、コレクターのためのプラットフォームを目指す「SOUTH SOUTH」が設立された。その年間を通した活動の一環として、2月24日よりオンライン・ビューイング・ルーム(OVR)をはじめとする複合的なイベント「SOUTH SOUTH VEZA」を開催する(前日の23日にオークション・イベントを開催)。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、昨年はアートバーゼルやフリーズをはじめとする世界有数のアートフェアが軒並み中止やオンラインでの開催となり、年が明けてもなおその先行きは不透明な状態が続いている。このような状況において、これまで欧米中心の力学の下でアートマーケットの脱中心化のために連携してきたリザ・エセルスをはじめとするファウンダー・サークルのメンバーは、2015年から継続してきたキュラトリアル・イニシアティブとしての活動を拡張するかたちで、広範な地政学的背景を持つオルタナティブなアートを探究し、脱植民地化や文化財返還問題、反人種差別運動から生まれる社会政治的関心の数々のような緊急性のある対話をグローバルに展開するためのプラットフォームSOUTH SOUTHを設立するに至った。

SOUTH SOUTH VEZA(以下、VEZA)は、このような目標を果たすための新たな芸術生産、コマーシャルギャラリーの役割を探究する実践の場のひとつ。第一回のVEZAのOVRには、5大陸30ヵ国・地域40都市から50以上のギャラリーが参加。OVRのほか、ともにアンゴラの首都ルアンダを拠点に活動する建築家兼キュレーターのパウラ・ナシメントと、インディペンデント・キュレーターのスザナ・スーザが共同キュレーションを手がけるオンライン展覧会、ロンドンのショウルームのディレクターのエルヴィラ・ヤンガーニが企画したトークプログラム、ニューヨークのムセオ・デル・バリオのチーフキュレーターのロドリゴ・モウラが企画したフィルムプログラムを開催。また、前日の23日には、オークション・イベントを開催。その収益の最大20%は、アートワールドのエコロジーにおける重要な担い手である非営利団体に寄付される。第一回の寄付先には、ダカールのRAWマテリアル・カンパニー、マニラのグリーン・パパヤ・アート・プロジェクツ、サンパウロのカサ・ド・ポヴォが選出された。また、東京ではSOUTH SOUTH VEZAのポップアップイベントとして、OVRに参加するタカ・イシイギャラリータケニナガワブラム&ポー無人島プロダクションがそれぞれギャラリー空間でも関連展示を同時開催する。

なお、SOUTH SOUTHはアートフェアのほか、アーティストやキュレーター、非営利団体やギャラリーの協力を得ながら、グローバル・サウスの現代美術における画期的な展覧会や出来事のアーカイブの形成、アーティストや関係者へのインタビューの収録、公開、さらに、イベントやトーク、フィルムスクリーニングやパフォーマンスの場の提供などを年間を通した活動として行なっていく予定。

 

SOUTH SOUTHhttp://www.south-south.art/

SOUTH SOUTH VEZA
2021年2月24日(水)- 3月7日(日)
※オークション・イベント:2月23日(火)

Copyrighted Image