テート・ブリテン、ターナー賞2020に代わる「ターナー・バーサリー」の実施を発表

2020年5月26日、テート・ブリテンは新型コロナウイルス感染症をめぐる状況に対し、本年度のターナー賞を実施する代わりに、10,000ポンド(約130万円)の助成金「ターナー・バーサリー」を10名のアーティストに授与すると発表した。「ターナー・バーサリー」の受賞者は6月末に選出される。

テート・ブリテン館長でターナー賞審査委員長のアレックス・ファーカソンは、「休館やソーシャル・ディスタンシングといった対策は極めて重要だが、一方でそれらがアーティストの生命や生活に莫大な混乱をもたらしている。現在の状況下において、ターナー賞の展覧会を開催することは不可能であるため、この例外的な困難の時に、例年の同賞よりも多くのアーティストを支援すべきだと判断しました。J・M・W・ターナーもかつて自身の財産をアーティスト支援のために残す計画を立てており、我々のこの判断に賛同してくれることでしょう」と語った。

本年度の審査員はファーカソンのほか、リチャード・バーケット(ICAロンドンキュレーター)、サラ・マンロー(バルティック・センター・フォー・コンテンポラリー・アート ディレクター)、ファトシュ・ウステク(リバプール・ビエンナーレ ディレクター)、デュロ・オロウ(デザイナー、キュレーター)。審査員は過去1年間にわたり数々の展覧会に足を運び、現代美術の発展に貢献するターナー賞候補の選考に備えてきた。今後、オンラインでの審査委員会を開き、6月末に「ターナー・バーサリー」の受賞者10名を発表する予定。

ターナー賞は1984年の創設以来、スポンサー企業の倒産を受けて中止となった1990年を除き、時代に合わせて形を変えながら毎年開催され、世界有数の現代美術賞として国際的な注目を集めてきた。昨年はBrexitをはじめ、世界各地で衝突が絶えない状況を受け、最終候補のアーティストによる連帯の重要性を語る声明を受け、同賞史上初めて、最終候補4名が形成したコレクティブに同賞が授与される形となった。

 

ターナー賞https://www.tate.org.uk/art/turner-prize

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