2022年開催のマニフェスタ14の開催都市がプリシュティナに決定


The National Library of Kosovo in Pristina. Credit: Photo by Ferdi Limani

 

2019年5月3日、マニフェスタ財団は2022年のヨーロッパ現代美術ビエンナーレ「マニフェスタ14」の開催都市をコソボ共和国の首都プリシュティナに決定したと発表した。同市で開かれた記者会見には、マニフェスタ財団ディレクターのヘドウィグ・フィジェン、プリシュティナ市長のシュペンド・アフメティらが登壇した。

東西冷戦の終結とそれに続くヨーロッパの統合を目指す90年代のヨーロッパの政治、経済、社会の変化に対する応答としてはじまったマニフェスタは、96年にロッテルダムで開催した第1回以来、2年に一度のペースで、アートと社会との対話に重点を置いた巡回型のプラットフォームとして、開催都市を変えながら同地域の文化的地勢図を観察してきた。今回、マニフェスタ14の開催都市にプリシュティナが選出された要因のひとつには、ヨーロッパの現代史とその未来を考える上でのバルカン半島の地理的、地政学的重要性が挙げられる。2008年に独立を宣言した*1 ヨーロッパにおける最も若い国の首都であるプリシュティナは、現在、新自由主義的な政策の数々によって、公共の基盤となるオープンな都市空間が民営化に晒され、その都市の風景が大きく変わりつつある。こうした状況を踏まえた上で、マニフェスタでは、公共空間を取り戻し、プリシュティナの未来をバルカン半島の中心に位置する開放的なメトロポリスとして描きなおそうとする市民の強い願いを支持するものを目指す。また、同市での開催は、ヨーロッパの過去を振り返り、現在直面している変化を考察する上で、思いも寄らないような異種混淆の視点の数々をもたらし、現代の文化や社会実践がどのように混成的でポリモーフィック(多形的)な国のアイデンティティに対応することができるのかを追究する機会となることが期待される。
*1 2010年に国際司法裁判所がコソボの独立宣言は国際法に違反しないとの勧告的意見を発表。2018年1月の時点でコソボの独立を承認した国は日本を含む100カ国以上。

なお、マルセイユで開催するマニフェスタ13は、アリア・セブチ、マリーナ・オテロ・ヴェルジエ、カテリーナ・チュチャリーナ、ステファン・カルマーのアーティスティック・チームの下、来年6月の開幕に向けて準備を進めている。2019年2月には、マニフェスタ13に向けた事前の都市研究を担当する建築家のヴィニー・マースが、「Le Grand Puzzle」と題した1200ページにも及ぶリサーチの結果を発表した。

 

マニフェスタhttps://manifesta.org/

 


Pristina. Credit: Photo by Ferdi Limani


 


 

過去の開催都市およびキュラトリアルチーム

マニフェスタ1(1996)|ロッテルダム(オランダ)
チーフ・キュレーター:カタリン・ネレイ
共同キュレーター:ローザ・マルティネス、ヴィクトル・ミジアーノ、アンドリュー・レントン、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト

マニフェスタ2(1998)|ルクセングルク(ルクセングルク)
キュレーター:ロバート・フリック、マリア・リンド、バーバラ・ファンダーリンデン

マニフェスタ3(2000)|リュブリャナ(スロベニア)
キュレーター:フランチェスコ・ボナーミ、オレ・ボウマン、マリア・ウラヴァヨハ、キャスリン・ロンバーグ

マニフェスタ4(2002)|フランクフルト(ドイツ)
キュレーター:ヌリア・エンギー・マヨ、ステファニー・モワドン・トランブレー

マニフェスタ5(2004)|ドノスティア=セバスティアン(スペイン)
キュレーター:マルタ・クスマ、マッシミリアーノ・ジオーニ

マニフェスタ6(2006)|ニコシア(キプロス)※中止
キュレーター:マイ・アブ・エルダハブ、アントン・ヴィドクル、フロリアン・ヴァルトフォーゲル

マニフェスタ7(2008)|トレンティノ=アルト・アディジェ/南ティロル自治州(イタリア)
キュレーター:アダム・ブダック、アンセルム・フランケ、ヒラ・ピレグ、ラクス・メディア・コレクティヴ

マニフェスタ8(2010)|ムルシア&カルタヘナ(スペイン)
キュレーター:アレクサンドリア・コンテンポラリー・アート・フォーラム(ACAF)、チャンバー・オブ・パブリック・シークレッツ、トランジット

マニフェスタ9(2012)|ゲント、リンブルフ(ベルギー)
キュレーター:クアウテモック・メディーナ
アソシエイト・キュレーター:カテリーナ・グレゴス、ドーン・アデス

マニフェスタ10(2014)|サンクトペテルブルク(ロシア)
キュレーター:カスパー・ケーニヒ

マニフェスタ11(2016)|チューリッヒ(スイス)
キュレーター:クリスチャン・ヤンコフスキー

マニフェスタ12(2018)|パレルモ(イタリア)
クリエイティブ・メディエーター:ブレッヒェ・ファン・デル・ハーク、アンドレス・ハケ、イッポリート・ペステリーニ・ラパレーリ、ミリアム・ヴァラディニス
都市研究:イッポリート・ペステリーニ・ラパレーリ、OMA

マニフェスタ13(2020)|マルセイユ(フランス)
キュレーター:アリア・セブチ、マリーナ・オテロ・ヴェルジエ、カテリーナ・チュチャリーナ、ステファン・カルマー
都市研究:ヴィニー・マース、MVRDV

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