札幌国際芸術祭2020、ディレクターチーム発表


左:天野太郎 Photo: Shingo Kanagawa. 右:アグニエシュカ・クビツカ=ジェドシェツカ Photo: Zbigniew Kupisz

 

2018年9月21日、札幌国際芸術祭実行委員会は、すでに2020年度の冬季開催を決定している札幌国際芸術祭2020(SIAF2020)のディレクターチームを発表し、横浜市民ギャラリーあざみ野主席学芸員の天野太郎が現代アート担当及び統括、ポーランドを拠点に活動するキュレーターで WROメディアアートセンター財団のアグニエシュカ・クビツカ=ジェドシェツカがメディアアート担当に就任した。

2014年の初開催以来、過去2回は夏から秋にかけて開催してきた札幌国際芸術祭だが、SIAF2020は冬季開催とし、北方圏の文化などを題材とした作品やプロジェクトを通じた、さらなる札幌の特徴や魅力の発信を目指していく。ディレクターについて、これまでは坂本龍一、大友良英がゲストディレクター1名の体制を採用していたが、SIAF2020では専門性を持ったチーム制に変更し、芸術祭のプログラムを企画監修するディレクター2名に加え、芸術祭を来場者目線でわかりやすく伝えるコミュニケーションデザインディレクターを設ける。

統括ディレクターおよび現代アート担当となった天野太郎は、学芸員としてのキャリアを北海道立近代美術館からはじめ、87年の開設準備室時代から横浜美術館に勤務。『ルイーズ・ブルジョワ』(1997)、『森村泰昌展 美に至る病-女優になった私』(1996)、『奈良美智 I DON’T MIND, IF YOU FORGET ME.』(2001)、『ノンセクト・ラディカル 現代の写真Ⅲ』(2004)など数々の展覧会企画に携わり、横浜トリエンナーレ2005のキュレーター(2011年、2014年はキュレトリアル・ヘッド)を務める。2015年より横浜市民ギャラリーあざみ野主席学芸員を務め、石川竜一、新井卓、金川晋吾の個展や複数の企画展を手がけている。また、2016年度以降は、札幌国際芸術祭コミッティーの一員として、札幌市の文化行政とSIAFの指針の構築にも尽力している。就任にあたり、天野は「学芸員生活の最後に私にとっては第二の故郷とでも呼ぶべき札幌でこのようなスケールの大きな事業に携われるのは大きな喜びでもあります」と語り、「これまでの実績を継承しながら、札幌、北海道の豊かな人材や関係機関とのつながりを緊密に築き、その歴史性、地域性を掘り下げながら実りある国際展を実現させたい」と抱負を述べた。

メディアアート担当に就任したアグニエシュカ・クビツカ=ジェドシェツカは、ヴロツワフ大学を卒業後、芸術と科学技術、コミュニケーション、社会活動が交差する領域で問題提起を続けるWROメディアートビエンナーレにスタッフとして20余年にわたって携わる。また、2008年のWROアートセンター設立時より、プログラムの共同開発、国際連携プロジェクト、アート・メディエーションにも携わってきた。そのほか、フィンランド、ウクライナ、スウェーデン、ドイツ、イスラエルでの展覧会、ワークショップ、上映など国外での企画も多数。2016年から2017年にかけてWROアートセンターで開催された日本のメディアアート展『Reversible//Irreversible//Presence』にも携わるなど、日本のメディアアーティストとの関わりも多い。就任にあたり、これまでの経験に加え、「現代の自然と文化が一体化した科学技術社会を背景とした誰もが参加できる包括的な参加型活動に関心があり、それを企画に生かしたい」などと抱負を述べている。

なお、コミュニケーションデザインディレクターについては、今後、公募により選考を行ない、2019年度に発表を予定している。

 

札幌国際芸術祭https://siaf.jp/

 

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