イメージフォーラム・フェスティバル2018、オープニング作品や特集内容を発表


近田春夫

 

2018年6月15日、イメージフォーラムは幅広い映像表現を紹介する日本有数の映像祭として知られるイメージフォーラム・フェスティバルの本年度のオープニング作品や特集内容などを発表した。

32回目の開催となるイメージフォーラム・フェスティバル2018のオープニング作品は、ヤン・シュヴァンクマイエルが自身最後の長編映画として、カレル&ヨゼフ・チャペック兄弟の戯曲「虫の生活」とフランツ・カフカの「変身」をモチーフに制作した新作『蟲』を上映する。同作はクラウドファンディングにより制作費を調達し、長期的な制作期間を経て、2018年1月のロッテルダム国際映画祭でプレミア上映されたばかり。

歴史的に重要な映像作家に焦点を当てる「フィルム・メーカーズ・イン・フォーカス」では、社会が抱える問題や矛盾をむき出しにする挑発的な舞台やプロジェクトを展開し、2010年に49歳で夭折したクリストフ・シュリンゲンジーフを回顧するプログラムを「挑発する生 クリストフ・シュリンゲンジーフ」と題して上映する。2011年の第54回ヴェネツィア・ビエンナーレ・ドイツ館の展示は、シュリンゲンジーフを取り上げ、金獅子賞を受賞した。2014年のフェスティバル/トーキョー14での上映をはじめ、日本国内での関心も高いシュリンゲンジーフを改めて紹介する。もうひとりの特集作家は、昨年、45年以上に及ぶキャリアを振り返る展覧会『山崎博 計画と偶然』を東京都写真美術館で開いたのちに他界した山崎博。一定の枠組みや単純化された方法論を通じて、数々の実験的な写真、映像作品を生み出した山崎の追悼プログラムを上映する。

なお、本年度より一般公募部門の対象地域を国内のみならず、中国、台湾、韓国に拡大し実施した「東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション」は、計451作品の応募の中から、山城知佳子の「土の人(劇場版)」、ペク・ジョングワンの「#cloud」、韓成南の「Compliance Level 0」、ワン・ボーパン・ルーによる「瘴気、植物、外銷画」、栗原みえの「スローモーション、ストップモーション」、シュー・シンの「長江の眺め」など、23のノミネート作品が決定。東京会場での開催期間中に、シェリー・シルバー(映像作家)、シャイ・ヘレディア(映像作家、Experimentaディレクター)、黒田育世(BATIK主宰、振付家・ダンサー)による最終審査によって、入賞5作品が発表される。なお、イメージフォーラム・フェスティバル2018全体のキービジュアルは、ミュージシャンの近田春夫が手がけた。

 

イメージフォーラム・フェスティバルhttp://imageforumfestival.com/

イメージフォーラム・フェスティバル2018
スパイラルホール|2018年8月8日(水)-8月12日(日)
シアター・イメージフォーラム|2018年8月4日(土)-8月10日(金)
京都芸術センター|2018年8月21日(火)-8月24日(金)
ルーメンギャラリー|2018年8月25日(土)-8月26日(日)
横浜美術館|2018年9月(予定)
愛知芸術文化センター アートスペースA, E, F|2018年9月26日(水)-9月30日(日)

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