レポート:「斉加尚代トークイベント」

▼「斉加尚代トークイベント」終了!

8月16日、特集上映「教育は誰のもの?」に関連し、映画「教育と愛国」の上映後、監督の斉加尚代によるトークイベントを開催し、終了しました。ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。

撮影:渡邉朋也

本作は⼤阪・毎⽇放送(MBS)で20年以上にわたって教育現場を取材してきた斉加が、「教育と政治」の関係を見つめながら最新の教育事情を記録したドキュメンタリー番組を映画版に再構成したものです。軍国主義へと流れた戦前の反省から、政治と一線を画してきた戦後の教育。2006年に教育基本法が改変されて以降、「教育改革」「教育再生」の名の下、教科書検定制度が目に見えない力を増していく様子が描かれています。そして、出版社や執筆者、研究者、そして教育の現場に携わる学校や教師への数多くのインタビューを通して、「教育と政治」の関係が見えてきます。

トークイベントの冒頭で、本作を手がけることになったきっかけとして、政治の力で教育のあり方が変わっていくさまを目の当たりにしたことを挙げていました。厳しい家庭環境の中、前向きに学校生活を送るある子どもの「学校を潰すということは、俺らはいらんということ?」との一言も本作を手がける動機の一つとなったと続けました。

他にも道徳の教科書を巡るエピソードや、教科書選定制度の問題、忖度と圧力の世界、教育と政治の関係などについて続け、その度に驚きつつも、大きな声を出してうなり、うなずく観客の姿が多く見られました。そして監督は、教科書採択が子どもたちの方を向いておらず、政治の圧力で変わるのでは?という危機感を感じると語り、本作を撮影したカメラマンに「見えない圧力をとってくれ」と伝えたエピソードが語られました。

その後も、質問は堪えることなくトークイベントは終了。ロビーでは監督に感想を伝えようとする観客たちが、長蛇の列をなして並んでいました。

撮影:渡邉朋也

「教育と愛国」は8月25日(木)まで上映中です。YCAMシネマではひきつづき、さまざまな特集上映やトークイベントを行います。詳細はYCAMのウェブサイトや、YCAMシネマの上映スケジュールをご覧ください。みなさまのご来場を心よりお待ちしております。

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