レポート:「中園町ミートアップvol.12:塩満直弘」

▼「中園町ミートアップvol.12:塩満直弘」終了!
7月29日(金)に、YCAMと市民が協働するアートプロジェクト「meet the artist 2022」の一環として、ゲストと参加者がディスカッションをおこなうイベント「中園町ミートアップvol.12:塩満直弘」を開催し、終了しました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。
撮影:谷康弘
塩満さんは、ゲストハウスrucoや下関市の山陰本線にある無人駅、阿川駅の駅舎とカフェスタンドAgawaを運営していますが、そこは地域と地域に訪れる人たちが交錯する場所としての賑わいだけでない魅力と価値が生まれています。まず最初に、塩満さんの自己紹介も兼ねて、その活動をスライドで紹介してもらいました。萩で生まれ育った塩満さんは、進学で萩を出た後に、ワーキングホリデーに参加し、カナダやニューヨークに滞在し帰国。その後、東京で働くうちに、萩に戻って宿をやりたいなと思い始めたそうです。そんな時、東京のゲストハウスtoco.を訪れます。toco.は、古民家を改装したゲストハウスで、夜はバー営業も行い、宿泊者以外にも地元の人たちが多く訪れ交流する場所。その雰囲気にシンパシーを感じた塩満さんは、萩でゲストハウスをやることを決意し、帰郷。その後、ゲストハウスruco、下関市の山陰本線にある無人駅のカフェスタンドAgawaのオープンを実現させ、現在も進行中の新プロジェクトを抱えています。また、2022年、toco.を運営するBackpackers’ Japanの取締役に就任し、新たな活躍の場を広げています。
参加者からは次々に各プロジェクトの資金繰りや物件探しなどといった現実的な質問から、地域との関わり、オープンまでの道程やその効果について、質問が集中しました。その中で、rucoに訪れた多くの人たちが、その後リピーターになったり、萩に移住したりする理由についてどう思うか?という参加者の質問に対して塩満さんは、「人はみな、自分の居場所を探しているのでは。そういう実感を得られる経験を短い滞在時間にうまく埋め込むことができているのでは」と答え、rucoには地元の人をはじめ、県外からも様々なが集うこともあって、「この人とこの人が会ったら面白いかも」といった人同士の繋がりが生まれたからではないかと推測していました。そのほかにも、周南市からやってきた参加者からは「山陽地方より山陰地方の方が旅を好む人たちの目的地として選ばれる率が高いように思えるが、その性質にどのような違いがあると思うか?」といった質問もありました。
その後、緩やかに始まったディスカッションでは、「地域において、自身が”場”をもつとしたら、どのような要素を求めるか?その要素をどんなプロセスを経れば作り出せると思うか?」といったことが議論されていきました。参加者のひとりで、教師を目指す大学生は、「学校という場でも、年齢や性別、障害のある人もない人も問わない、いろんな人が気軽に集まってアイデアを話せる場所をつくりたい」と話し、また別の参加者は「人が集まって何かを作り出せるような場所を地元に作りたい。そこは隙のある場所、余白のある場所だったら、良いのではないかと考える」といったようなものまで、それぞれが秘めていた深い思いを語りました。そこから「余白とは、隙のある場所とは何だろう」といった別の参加者からの問いかけもあり、環境づくりや関わり方といった、参加者それぞれが考える、”場づくり”について議論を深め合うなど、塩満さんと参加者の熱い思いが交錯する場となりました。
撮影:谷康弘
「meet the artist 2022」では、8月9日にも「中園町ミートアップvol.13:柴田寿美子」など、さまざまなイベントを準備中です。詳細は随時YCAMのウェブサイトでお知らせします。ぜひチェックしてみてください。また、プロジェクトメンバーも募集中です。お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

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