レポート:「中園町で逢いましょう vol.2」

▼「中園町で逢いましょう vol.2」終了!
7月15日(金)と16日(土)に、YCAMと市民が協働するアートプロジェクト「meet the artist 2022」の一環として、プロジェクトの舞台となる旧・金子邸の現在の状況を伝えるイベント「中園町で逢いましょう vol.2」を開催し、終了しました。ご来場いただいたみなさま、どうもありがとうございました。
撮影:谷康弘
今回は、前回と同様に本プロジェクトの紹介したり、建物の基本的な機能や間取りを来場者に公開するとともに、プロジェクトのテーマに沿った書籍の展示や販売などを行いました。加えて、演芸や電子音楽などのパフォーマンスも敢行、旧金子邸の空間の可能性も探っていきました。
15日(金)は、音楽家の藤井心と工藤誠也によるパフォーマンスからはじまりました。居間や縁側に設置された音の出る楽器や道具、ラップトップやキーボードからさまざまな音が剥き出されます。そこに、玄関に置かれたマイクが拾ってくる人々の会話や歩く音などの生活音に特殊な効果が加わって、スピーカーから拡張された不思議な音声となって聞こえてきます。途中からは、同じく音楽家の石井栄一がゲーム機で合流。来場者はここで繰り広げられる、さまざまな音の実験をパフォーマンスとして堪能しました。
撮影:谷康弘
夕方には、山口大学落語研究会のOGで、落語家を目指す樋渡弘崇が落語を披露。即席で高座も作られ、身支度を整えた樋渡が出囃子と共に登場すると拍手が沸き起こりました。そして、大学卒業後、南大東島で生活をしていた樋渡の体験や所感を元にした小噺や、古典落語「そば清」などが披露され、約1時間に渡たり旧金子邸は笑いにつつまれていました。
撮影:谷康弘
16日(土)には写真家で音楽家でもある谷康弘が登場し、パフォーマンスを披露。谷は家の各所や床下にマイクやスピーカーを仕込み、様々な音を生成する機材をつかって、拡張させていきます。それらの音は、やがて家自体がスピーカーのように音を発するサウンドインスタレーションに変貌。来場者の中には、3時間にわたってこのパフォーマンスを体験した人もいました。
その後はイベント開催時に恒例になっている餅まきもおこなわれ、そのまま、旧金子邸の解体手法を設計するアドバイスをもらっている建築家で京都工芸繊維大学准教授の木内俊克によるワークショップ「ゆっくりこわすを考える」を開催しました。
撮影:谷康弘
これは、まさにタイトルそのもののワークショップで、旧金子邸を解体するにあたり、どこをどう残して、どこをどう解体していくかをみんなで考えるものです。参加者はそれぞれで、建物の中で残したいものと解体したいものをマスキングテープを貼って印をつけていきます。その後、それぞれがそうしたい理由や、その後の利用法のイメージなどを発表し、共有していきました。ある参加者は「床を剥がして、そこをガラス張りなどにして猫や虫などが通る様子が見てみたい」と話し、またある参加者は「逆に解体した廃材で階段など作って櫓を作りそこから近隣の景色を見たい」と話しました。
このワークショップでは、図面や3DCGのソフトウェアで試行錯誤するのではなく、実際の建物でおこなうため、マスキングテープと言葉での指示でしか解体のイメージを語ることができませんが、一方で風景や利用者のアクティビティが想像しやすく、参加者から活発な意見が出ていたのが印象的でした。あるアイデアが出ると、そこから触発されて、新しいアイデアが生まれる、という好循環によって、ワークショップは大いに盛り上がりました。プロジェクトでは、こうしたワークショップを繰り返すことで、建物を更地に近づけながら、その過程で生まれるさまざまな空間でイベントを開催していきます。
撮影:谷康弘
次回の「中園町で逢いましょうvol.3」は8月13日(土)、14日(日)に開催します。
そのほかにも多くのイベントを開催しますので、YCAMのウェブサイトなどを随時、チェックしてみてください。
また、本プロジェクトでは随時、プロジェクトメンバーを募集しています。
YCAMのウェブサイトのお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

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