レポート:「旧金子邸とはなんだったのか vol.1:田尻裕樹」

▼「旧金子邸とはなんだったのか vol.1:田尻裕樹」終了!
7月13日(水)に、YCAMと市民が協働するアートプロジェクト「meet the artist 2022」の一環として、山口県内で多くの古民家の再生を手がける再生工舎の代表、田尻裕樹さんをゲストに迎えたレクチャー「旧金子邸とはなんだったのか vol.1:田尻裕樹」を開催し、終了しました。ご参加いただいたみなさま、どうもありがとうございました。
撮影:谷康弘
ゲストの田尻さんは、一般社団法人住宅医協会という民間団体が認定する住宅医という資格と一級建築士の資格をもつ立場から、木造住宅の調査・診断・改修設計・施工・維持管理を行っています。今回は、その住宅医の知見から1930年代に建てられた旧金子邸から、どのような知識や経験を引き出すことができるのか、専門家の視点で、その調査内容を他の古民家の事例などを交えながらレクチャーをおこないました。
まず旧金子邸の所在地の景観や風向き、日射などの気候も含め、どういった建物が多い場所なのかという地域特性の説明からはじまりました。そして、天井から床下、壁、建具、使用されている資材から間取り、水道の配管や電気の配線など、旧金子邸が持つ特徴が、当時の日本の歴史的背景や住居の歴史、その工法などを背景に語られていきます。また、実際にオーナーもこのレクチャーに参加されていたことから、その記憶や事実も含めてのレスポンスがありました。例えば、浴室の天井が板張りであるのは珍しく、変色はあるものの傷んだ様子はなく状態も良いことからメンテナンスが行き届いていることがうかがえると田尻さんは語ります。それに対してオーナーは、お母さんが換気を徹底していたことなどを思い出されていました。その他には、耐熱や耐震などの性能、床下や天井などの現在の旧金子邸の状況なども報告されていきました。
今回の田尻さんのレクチャーでは、参加者からの質問も飛び交い「床の間のある天井が高いのはどういったセオリーなのか?」といった、旧金子邸に関するものから、「地震の多い地域と少ない地での建築基準の差はあるのか?」などの、家全般に関するものまで、多岐に渡りました。また、レクチャーを受けて「旧金子邸はメンテナンスが行き届いている家だと聞いて愛がある家だと思った」や「暮らしぶりが透けて見えるようなプレゼンで、日本の建築の変遷も見えた」など高揚感たっぷりの感想を参加者たちは口々に語っていました。
撮影:谷康弘
「meet the artist 2022」では、7月15日(金)、16日(土)に旧金子邸の現在を紹介するイベント「中園町で逢いましょうvol.2」に開催するほか、さまざまなイベントを準備中です。詳細は随時YCAMのウェブサイトでお知らせします。ぜひチェックしてみてください。また、プロジェクトメンバーも募集中です。お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

Copyrighted Image