レポート:「中園町ミートアップvol.8:平川紀道」

7月3日(日)に、YCAMと市民が協働するアートプロジェクト「meet the artist 2022」の一環として、ゲストと参加者がディスカッションをおこなうイベント「中園町ミートアップvol.8:平川紀道」を開催しました。
撮影:谷康弘
今回のゲストである平川紀道さんは、コンピュータプログラミングによる数理的処理そのものや、その結果を用いたインスタレーションを中心に作品を発表しているアーティストです。YCAMでも、これまで「DriftNet」(2007年)や、「a plaything for the great observers at rest」(2007年)など数多くの作品を展示し、池田亮司、三上晴子、大友良英といったさまざまな作家の作品制作にも携わってきました。現在、平川さんは札幌を拠点にアーティストとしての活動を展開しながら、札幌国際芸術祭(SIAF)のかたわらで実験的な活動を続けるプラットフォーム、SIAFラボ のプロジェクトメンバーとしても活動しています。
本イベントでは、まずはじめに、SIAFラボの活動についてご紹介いただきました。SIAFラボは、札幌ならではのクリエイティビティを模索する研究開発(R&D)、作品制作・展示や公演を行うアート・プロジェクト、人材発掘や育成といった人的ネットワークといった3本を柱とし、さまざまなプロジェクトを実施しています。そして、それらの中から、水深200メートルを超える深水域での芸術の可能性を模索した支笏湖でのプロジェクト「DEEP WATER DATA LOGGING @ Lake Shikotsu」など、いくつかのプロジェクトのエピソードが動画や画像を参照しながら紹介され、札幌という地域だからこそ実行できるそれらのプロジェクトの紹介に、参加者一同は、時に質問も交えながら興味深そうに聞き入っていました。
平川さんは、SIAFラボにおいてはプロジェクトメンバーでありつつも、マネージャーという立場でもあります。今後の展望のひとつとして、「若くてモチベーションがあり、伸びしろがある人たちを主体とした研究員やテクニカル部分を担う人たちを育成したい」と語ります。対して、参加者のひとりでもあったYCAMのスタッフがYCAMにおける「サポートスタッフ」の制度を伝えると、ほかの参加者は、「若い人は慣れないなと思うことも多いが、一緒に行動すると驚くような新しい知識もあって勉強になることが多い」と続けました。そこから、組織体制、活動の評価、活動資金の調達についてなど、時に情報交換も交えながら、ディスカッションは運営全般についてより深く掘り下げられていきました。
そして終盤、北海道の気候や社会問題や住人の気質に触れられていく中で、「SIAFラボのプロジェクトには北海道の人の気質に合ったものも出始めてきた。気候なども含め、そうした地域性がプロジェクトに反映されていく」と平川さんは結びました。
撮影:谷康弘
「meet the artist 2022」では、7月11日(月)に開催する「中園町ミートアップvol.9:金子春香」をはじめ、さまざまなイベントを準備中です。詳細は随時YCAMのウェブサイトでお知らせします。ぜひチェックしてみてください。また、プロジェクトメンバーも募集中です。お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

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