レポート:「sound tectonics #25 VERNACULAR VIBES」

2021年12月4日(土)に、サウンドアートや音楽など音に関する異なる領域から、新しい聴取体験を提供するライブコンサートシリーズ「sound tectonics(サウンド・テクトニクス)」の第25弾「VERNACULAR VIBES」を開催しました。ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。

撮影:ヨシガカズマ

今回のサンテクは、普段の生活に密接している、身の回りに溢れたさまざまな要素から音楽も含めたサウンドを生み出すことをテーマにサビナ・ヒョジュ・アンとエレクトロニコス・ファンタスティコス!の2組がパフォーマンスを繰り広げました。
先ずは、聴覚、触覚、視覚的要素、そしてデジタルとアナログ技術の混合によって表現される様々なメディアに取り組むアーティスト、サビナ・アンによる数年前のパフォーマンス作品の上映が行われました。光・生体電位、土壌のバクテリアなど自然の様々な要素が、モジュラーシンセを通して演奏される、その音の厚みに圧倒されます。そして、YCAMのキュレーターであるレオナルド・バルトロメウスが、彼女のこれまでの作品や興味の対象、そして、今回YCAMに来館したら上演したいと思っていたパフォーマンスやワークショップのこなどをインタビューした映像と1本目に上映した作品を元に新しい楽器を生み出し、演奏・撮影した最近のパフォーマンスの映像が上映されました。今回、アンは様々な制約のためにYCAMでのパフォーマンスが叶いませんでしたが、映像により彼女の興味や研究の側面を感じ取ることが出来ました。

撮影:ヨシガカズマ

もう1組のエレクトロニコス・ファンタスティコス!は古いブラウン管テレビや扇風機、バーコードリーダーなどの古い家電を“電磁器”(楽器)として蘇生させ演奏する、アーティスト/ミュージシャンの和田永を中心としてオーケストラを形づくるプロジェクトです。
和田永は、現在こうした“電磁器(楽器)を20種類ぐらい造っているということや、そもそもの始まりはブラウン管テレビの映像と音声の端子を間違って繋げてしまったこと、そして、そこから研究や実践を重ねたことが現在に繋がっていることなどの大変興味深いエピソードを語りました。そして、彼らが奏でる電磁(音楽)に呼応したレーザー光線とのコラボレーションなど見どころ・聞きどころも満載。ほかにもラジオとテレビのリモコン、カメラのフラッシュから発する電磁から派生する音楽など、身近なところでもチャレンジしてみたい形態の演奏が繰り広げられました。

ライブコンサートシリーズ「sound tectonics(サウンド・テクトニクス)」はこれからも新しい聴取体験をご紹介し続けていきます。

Copyrighted Image