レポート:「五藤利弘トークイベント」

8月14日に、現在開催中の特集上映「戦後76年—これからを生きるあなたへ」の上映作品のひとつ『おかあさんの被爆ピアノ』の監督を務めた五藤利弘監督のトークイベントを開催し、無事終了しました。


撮影:谷康弘

『おかあさんの被爆ピアノ』は、広島への原爆投下を経て奇跡的に焼け残ったピアノ、いわゆる「被爆ピアノ」を取り巻く人々を描いた映画です。
トークイベントでは、足掛け10年にも及んだ本作の制作の経緯が紹介されました。終戦から70年以上が経過し、戦争を直接的に経験した人たちが少なくなる中、従来の「戦争映画」というジャンルが若いひとにとって馴染みのないものにありつつあるのではないかと指摘する五藤監督。戦争をひとつの主題としつつも、幅広い背景を持つひとの心に響く作品づくりを目指したと言います。
もともとはテレビ番組のドキュメンタリー番組としてスタートした企画でしたが、当時は被爆ピアノの持ち主のひとびとがどのような気持ちで、本作の主人公のモデルとなった調律師の矢川光則氏に寄贈したのか、その心情までは踏み込むことができなかったそうです。そこから、矢川氏をはじめ、周辺のひとびとに取材することで、五藤監督にとって重要な物語が見えてきたとのこと。脚本のあらすじは10回程度にわたって書き直すなど、労苦がしのばれるエピソードが披露されました。

『おかあさんの被爆ピアノ』の上映は8月20日まで続きます。すでにご覧になった方もそうでない方もこの機会にぜひご覧ください。
https://www.ycam.jp/cinema/2021/76-years-since-the-war/

Copyrighted Image