レポート:「鑑賞ナビゲーターキャンプ2021」

2021年8月7日と8日にかけて、対話を通して芸術作品を鑑賞する手法「対話型鑑賞」のスキルを学ぶ2日間のイベント「鑑賞ナビゲーターキャンプ2021」を開催し、無事終了しました。

撮影:谷康弘

今回のイベントで主題として取り上げた「対話型鑑賞」は、芸術作品になじみがないと感じる人でも作品鑑賞を楽しんでもらえるように、近年美術館で導入されるようになった作品鑑賞手法です。観察力や思考力、コミュニケーションスキルなど、作品鑑賞以外の能力にも寄与するため、近年、学校教育や医療、ビジネスの現場においても注目を集めています。本イベントでは、鑑賞教育の専門家として研究者で京都芸術大学准教授の伊達隆洋さんを講師に迎え、国内各地からあつまった約30人の参加者に向けてファシリテーション技術のレクチャーと、「ワーク」と呼ばれる実践をおこないました。

撮影:谷康弘

1日目は「ファシリテーターになるための鑑賞」と題して、対話型鑑賞の根幹をなす「みる」という行為にフォーカスをあて、レクチャーやワークを通じて、その基本的なスキルやノウハウを体感していきました。続く2日目は「鑑賞のためのファシリテーター」と題して対話型鑑賞の参加者に深い鑑賞をうながす、ファシリテーション技術を、おなじくレクチャーやワークを通じて学んでいきました。

撮影:谷康弘

講師の伊達さんは、対話と鑑賞の共通する点として、自分と異なる価値観に触れ、自身を揺さぶられる経験があることを挙げ、であるがゆえに対話型鑑賞法には、単に美術に止まらず、新たな自己のあり方や、そこからうまれる新たなコミュニティや社会にもつながると語っていました。イベントの最中はもちろん、終了後も参加者から活発な質疑応答があり、幅広い分野から対話型鑑賞法のノウハウについての関心が高まっていることを感じさせました。

YCAMでは今後も、鑑賞教育に関するイベントを開催します。そのひとつが、芸術作品をより楽しみ、理解を深めるためのイベントシリーズ「わたしもアートがわからない」です。2021年10月と2022年2月に開催しますので、今回ご参加できなかった方はぜひ、ご参加ください。

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