話しているのは誰? 現代美術に潜む文学

美術館展覧会ページ: http://www.nact.jp/exhibition_special/2019/gendai2019/

話しているのは誰? 現代美術に潜む文学

展覧会概要

国内外で活躍する日本の現代美術家6名によるグループ展を開催いたします。本展に参加する6名の作家は1950年代から1980年代生まれまでと幅広く、表現方法も映像や写真を用いたインスタレーションをはじめとして多岐にわたります。これら作家に共通するのは、作品のうちに文学の要素が色濃く反映されていることです。
古代ローマの詩人ホラティウスが『詩論』で記した「詩は絵のごとく」という一節は、詩と絵画という芸術ジャンルに密接な関係を認める拠り所として頻繁に援用されてきました。以来、詩や文学のような言語芸術と、絵画や彫刻のような視覚芸術との類縁関係を巡る議論は、さまざまな時代と場所で繰り広げられてきました。
展覧会タイトルが示唆するように、本展では文学をテーマに掲げています。ですが、ここでの文学は、一般に芸術ジャンル上で分類される文学、つまり書物の形態をとる文学作品だけを示すわけではありません。現代美術において、文学はこうした芸術ジャンルに基づく区別とは違ったかたちで表れているように思われます。日本の現代美術における文学のさまざまな表れ方を経験していただければ幸いです。

 

会期

2019年8月28日(水)~11月11日(月)
毎週火曜日休館
※ただし、10月22日(火・祝)は開館、10月23日(水)は休館

開館時間

10:00~18:00
※毎週金・土曜日は、8・9月は21:00まで、10・11月は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで

会場

国立新美術館 企画展示室1E
〒106-8558東京都港区六本木7-22-2

主催

国立新美術館

観覧料(税込)

当日: 1,000円(一般)、500円(大学生)
前売/団体 :800円(一般)、300円(大学生)

  • 高校生、18 歳未満の方(学生証または年齢のわかるものが必要)は入場無料
  • 障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は入場無料
  • 11月3日(日)は「文化の日」につき、入場無料。
  • 前売券は2019 年6月28日(金)~8月27日(火)までの販売。ただし、国立新美術館では8月26日(月)まで。

お問合せ

03-5777-8600(ハローダイヤル)

 

出品作家

北島敬三 Keizo Kitajima

1954年長野県生まれ、東京都在住。
1975年に「ワークショップ写真学校」森山大道教室に参加して以降、写真家として活動を始める。同年に訪れた沖縄のコザで撮影されたスナップショットは、後に東京、ニューヨーク、東欧、ソ連においても行われるシリーズへと展開される。1992年からは白い衣装を身に纏った人物を定点観測するかのように撮影する「PORTRAITS」のシリーズを開始、今日まで継続されている。また2014年からは、日本各地を撮影した風景写真のシリーズ「UNTITLED RECORDS」の制作を行う。1983年第8回木村伊兵衛写真賞を受賞。写真家が共同運営する新宿の「photographers’ gallery」(2001年設立)で定期的に作品を発表している。2009年に東京都写真美術館で個展「北島敬三 1975-1991 コザ/東京/ニューヨーク/東欧/ソ連」を開催。

小林エリカ Erika Kobayashi

1978年東京都生まれ、同地在住。
目に見えない物、時間や歴史、家族や記憶をモティーフとして作品を手掛ける。著作には、小説『マダム・キュリーと朝食を』(集英社、2014、第27回三島由紀夫賞候補と第151回芥川龍之介賞候補にノミネート)、放射能の科学史を巡るマンガ『光の子ども1, 2』(リトルモア、2013、2016)、などがある。近年では映像、ドローイング、テキストを交えたインスタレーションも多数発表している。近年の展覧会に、個展「野鳥の森1F」(Yutaka Kikutake Gallery、東京、2019)、「Trinity -トリニティ-」(軽井沢ニューアートミュージアム、長野、2017)、グループ展「Harsh Astral. The Radiants II」(Galerie Francesca Pia、チューリヒ、2018;Halle für Kunst、リューネブルク、2018)、「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」(森美術館、東京、2016)など。

ミヤギフトシ Futoshi Miyagi

1981年沖縄県生まれ、東京都在住。
映像、写真、オブジェクト、テキストなどを用いて、社会政治的事象、とりわけセクシュアリティとマイノリティの問題を俎上に載せた作品を手掛ける。沖縄で沖縄人男性とアメリカ人男性が恋に落ちることは可能か、という問いとともに2012年から始まった現在進行中のプロジェクト「American Boyfriend」は、写真、映像、テキストなどによる一連の作品とブログによって構成されるもの。著書に小説『ディスタント』(河出書房新社、2019)がある。2019年第44回木村伊兵衛写真賞にノミネート。近年の展覧会に、個展「いなくなってしまった人たちのこと / The Dreams That Have Faded」(CAI02、北海道、2018)、グループ展「小さいながらもたしかなこと 日本の新進作家 vol.15」(東京都写真美術館、東京、2018-19)など。

田村友一郎 Yuichiro Tamura

1977年富山県生まれ、静岡県ならびに京都府在住。
既存のイメージやオブジェクトを起点にしたインスタレーションやパフォーマンスを手掛ける。従来の美術の領域にとらわれない独自の省察の形式を用いて、特権的な現代美術の観客へのメッセージを意図するだけでなく、観客とのあいだに特異なコミュニケーションをもたらす。土地固有の歴史的主題から身近な大衆的主題まで着想源は幅広く、現実と虚構を交差させつつ多層的な物語を構築する。近年の展覧会に、個展「叫び声/Hell Scream」(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、京都、2018)、「G」(Yuka Tsuruno Gallery、東京、2018)、グループ展「美術館の七燈」(広島市現代美術館、広島、2019)、「わたしはどこにいる? 道標をめぐるアートとデザイン」(富山県美術館、富山、2019)、「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館、東京、2019)など。

豊嶋康子 Yasuko Toyoshima

1967年埼玉県生まれ、同地在住。
ソロバン、サイコロ、安全ピンなどの既製品、あるいは鉛筆、油絵具、木枠など美術に馴染みのある物質など幅広い素材に手を加え、これら事物の中に複数の見え方が表出する作品を手掛けている。社会の制度における人間の思考モデルを抽出し、そのモデルに構造的に対応する体系を作品のうちで構築する。その一方で、株式の購入や銀行口座の開設を繰り返し行い、名義人である作家の主体性を個人的なものから集合的なものへと変容させ、日常生活において固定された行為と共有された役割の既成関係を問い直す一連のプロジェクトも行っている。近年の展覧会に、個展「ステンレス鋼」(M画廊、栃木、2018)、グループ展「メルド彫刻の先の先」(Maki Fine Arts 、東京、2018)、「世界に対する知と信」(駒込倉庫、東京、2018)など。

山城知佳子 Chikako Yamashiro

1976年沖縄県生まれ、同地在住。
写真、映像、パフォーマンス、インスタレーションによって沖縄における米軍基地や戦争の問題を掘り下げ、接触と分離、継承と断絶、中心と周縁、生と死などの概念の境界を問い直してきた。近年ではそれら問題を沖縄だけでなく世界中に遍在する普遍的な歴史の問題とみなし、史実や伝承されてきた物語を引用した作品を手掛けている。近年の展覧会に、「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2018」(京都芸術センター、京都、2018)、「Asia Pacific Breweries Foundation Signature Art Prize 2018」(シンガポール国立博物館、シンガポール、2018)、「From Generation to Generation: Inherited Memory and Contemporary Art」(ユダヤ現代美術館、サンフランシスコ、2016-17)など。第64回オーバーハウゼン国際短編映画祭ゾンタ賞(2018)、Asian Art Award 2017 supported by Warehouse TERRADA大賞(2017)。

関連イベントは決まり次第国立新美術館展覧会ページでご案内いたします。

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