コレクション特集展示 ジャコメッティと Ⅱ

アルベルト・ジャコメッティ《ヤナイハラ Ⅰ》1960-61年 国立国際美術館蔵 撮影:福永一夫

20世紀最大の彫刻家であるジャコメッティの研究において、哲学者・矢内原伊作(1918-89)の存在はとても大きなものです。矢内原は1956年から1961年の間に繰り返し渡仏し、そのモデルを務めました。しかし、矢内原をモデルとしたブロンズ彫刻のうち完成に至ったのは2作品のみで、すべての鋳造を合わせても7体しか現存していません。そのうちの一つが、2018年に国立国際美術館のコレクションに加わりました。矢内原をモデルとしたジャコメッティの彫刻作品が日本国内に収蔵されるのは初めてのことです。当館ではジャコメッティの油彩画《男》を2013年に収蔵しており、「見えるものを見えるとおりに」表現するべく、ジャコメッティが人生を賭して取り組み続けた絵画と彫刻の両方を観ることができます。

本展では、ジャコメッティの生きた時代を越えて、20世紀終盤から今日までの、新しい表現を中心に展覧します。私たちが生きる時代により近い文脈に、ジャコメッティ作品《ヤナイハラ Ⅰ》と《男》を再配置し、コレクションの多面性をご覧いただきます。
新たな作品が1点コレクションに加わるということは、単なる「+1」の足し算ではありません。優れた作品は、そのものひとつで豊かな鑑賞の喜びを与えてくれるものです。しかしそれだけではなく、その作品自身がコレクション全体を新たな光で照らし、これまで見えなかった側面や、作品どうしのつながりに気づかせてくれるのです。
ジャコメッティについての知られざるストーリーを題材に美術史を再検証したテリーサ・ハバード/アレクサンダー・ビルヒラーの作品を中心に、既存の歴史に新たな視点をもたらす作品、作品作りにおける「協働」の面白みを見せてくれる作品、「ポートレート」表現の今日的展開などをご紹介します。

 

アルベルト・ジャコメッティ《男》1956年 国立国際美術館蔵

 

コレクション特集展示 ジャコメッティと Ⅱ
2019年8月27日(火)―12月8日(日)
国立国際美術館 地下2階展示室
〒530-0005 大阪市北区中之島4-2-55
http://www.nmao.go.jp/

主催:国立国際美術館
協賛:ダイキン工業現代美術振興財団

開館時間
10:00 ―17:00、8・9月の金曜・土曜は21:00まで、10月から12月までの金曜・土曜は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(ただし、9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)、10月14日(月・祝)、11月4日(月・休)は開館し、翌日休館)

観覧料
一般430円(220円)  大学生130円(70円)
( )内は20名以上の団体料金
高校生以下・18歳未満・65歳以上無料(要証明)・心身に障がいのある方とその付添者1名無料(要証明)
本展は同時開催の「日本・オーストリア外交樹立150周年記念 ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」の観覧券でご観覧いただけます。
夜間割引料金(対象時間:金曜・土曜の17:00以降)一般250円 大学生70円

無料観覧日
9月1日(日)、9月7日(土)、10月5日(土)、11月2日(土)、11月3日(日・祝)、11月16日(土)、11月17日(日)、12月7日(土)

関連イヴェント
[アーティスト・トーク ]
10月26日(土)14:00 ―
講師:テリーサ・ハバード(本展出品作家)
会場:国立国際美術館 B2階 展示室
参加無料(要観覧券)、先着130名

[ギャラリー・トーク]
9月7日(土)  14:00 ―
11月29日(金)18:00 ―〈プレミアムフライデー企画〉
会場:国立国際美術館  地下2階展示室
参加無料(要観覧券)、開始30分前から聴講用ワイヤレス受信機を貸し出します(先着90名)

 

オノデラユキ《古着のポートレート No.45》1997年 国立国際美術館蔵 © Yuki Onodera

 

加藤泉《無題》2006年 国立国際美術館蔵 撮影:福永一夫 © 2006 Izumi Kato

 

饒加恩(ジャオ・チアエン)《レム睡眠》2011年 国立国際美術館蔵 © Chia-En Jao

 

加藤翼《言葉が通じない》2014年 国立国際美術館蔵 撮影:坂倉圭一

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