ジャネット・カーディフ 40声のモテット Janet Cardiff: The Forty Part Motet
同時開催「猪熊弦一郎展 夢をならべている」
「ジャネット・カーディフ 40 声のモテット」
2025 年 12月13日(土)-2026 年 2月15日(日)
月曜日(2026 年 1月12日は開館)、2025 年 12月25日(木)-31日(水)、2026 年 1月13日(火)
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 3 階展示室 C
世界的な名作の国内巡回展がMIMOCAで完結
ジャネット・カーディフ《40声のモテット》2001
聖ヨハネ教会(オーストリア、フェルトキルヒ)での展示風景(2005)
Photo by Markus Tretter.Courtesy of the artist and Luhring Augustine, New York / Fraenkel Gallery, San Francisco / Gallery Koyanagi, Tokyo. ©Janet Cardiff
開催趣旨
ジャネット・カーディフ《40声のモテット》 2001
モントリオール現代美術館での展示風景(2002)
Courtesy of the artist and Luhring Augustine, New York / Fraenkel Gallery, San Francisco / Gallery Koyanagi, Tokyo. ©Janet Cardiff
この度丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)では、カナダを拠点に活動するジャネット・カーディフ(Janet Cardiff, 1957 ー)によるサウンドインスタレーション作品《40 声のモテット》(2001)を展観いたします。
本作は、2001 年にカナダ国立美術館(オタワ)で初めて公開され、同館のミレニアム賞を受賞して以来世界約 60 ヶ所で展示されてきた、彼女の代表作の一つです。16 世紀イングランドの作曲家トマス・タリスが作曲した『SpeminAlium』(通称『40 声のモテット』)をもとにしており、楕円形に設置された40 台の各スピーカーから、59 人 5 声部(ソプラノ、アルト、テノール、バリトン、バス)で構成された聖歌隊の歌声が個別に再生されます。それはまるで今まさに歌っている聖歌隊の場に居合わせているかのような没入感を生み出し、重層的な音の広がりは彫刻のように空間のなかで立ち上がります。一方で、当館は数多くの美術館を手掛けてきた谷口吉生の設計のもと1991 年に開館し、全国的に美術館として早い時期から自然光を取り入れた開放的な展示空間を備えています。こうした建築的特性を生かすと同時に、館内で最も面積が大きく、7m の天井高を有する広々とした展示室を会場とすることで、鑑賞者は自由に空間を移動でき、一層本作の音による空間体験を得ることができるでしょう。原美術館 ARCを皮切りに、年間を通じて金沢 21 世紀美術館、長崎県美術館への巡回を経て、当館での展示が国内で鑑賞できる最後の機会となります。ジャネット・カーディフの代表作による空間内での音の彫刻的な広がりと、当館ならではの建築空間の対話をお楽しみください。
ジャネット・カーディフ《40声のモテット》 2001
ソールズベリー大聖堂合唱団による録音の様子(2000)
Photo by Hugo Glendinning. Courtesy of the artist and Luhring Augustine, New York / Fraenkel Gallery, San Francisco / Gallery Koyanagi, Tokyo.©Janet Cardiff
本展の見どころ
美術館空間を満たす彫刻的な音響
聖歌隊のそれぞれの歌声が40台のスピーカーから個別に再生され、臨場感あふれる本作は、鑑賞者の視覚よりもむしろ聴覚に働きかける作品です。一般的に視覚芸術の鑑賞の場とされる美術館の空間を、鑑賞者が耳をすましながら自由に移動することで、音の広がりによる彫刻的な空間体験が生まれます。
ジャネット・カーディフ《40声のモテット》 2001 銀座メゾンエルメス フォーラムでの展示風景(2009)
Photo by Atsushi Nakamichi / Nacása & Partners Inc. Courtesy of the Fondation d’entreprise Hermès, 2009 ©Janet Cardiff
谷口吉生設計の MIMOCA ならではの音響体験
美術館の名手と評される、建築家・谷口吉生によって設計された当館の空間を活かした展示を行います。自然光をふんだんに取り入れた建築空間を活かしつつ、館内では最も広く、高さ7mの展示室Cを会場とすることで、《40声のモテット》の彫刻的な音の広がりと、当館ならではの建築空間の対話をお楽しみください。
代表作の国内巡回展の終着地
本展は、2001年に発表されて以来世界約60 ヶ所で展示されてきた、カーディフの代表作である《40声のモテット》の国内巡回展です。原美術館ARC、金沢21世紀美術館、長崎県美術館を経て、当館での展示が国内で鑑賞できる最後の機会となりました。
出品作家プロフィール
ジャネット・カーディフ|Janet Cardiff
ジャネット・カーディフ(1957 ー)はカナダのブリティッシュ・コロンビア州を拠点に、サウンド、彫刻、テクノロジーを融合させ、「聴く」、「見る」といった複合的な知覚体験を伴う、革新的で没入感のあるインスタレーションを制作する。2001 年にジョージ・ビュレス・ミラーとともにヴェネツィア・ビエンナーレでカナダ館代表として参加し、特別賞を受賞。以後もミラーと共同で活動を続け、世界各地の美術館で展覧会を開催してきた。日本では、「ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー」(金沢 21 世紀美術館、2017 年)などの展覧会をはじめ、横浜トリエンナーレ2005、あいちトリエンナーレ2013 への参加や、ベネッセアートサイト直島の《ストーム・ハウス》(2010 年から2021 年まで常設作品)でも知られる。
開催概要
展覧会名:ジャネット・カーディフ 40 声のモテット
主 催:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団
会 場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 3階展示室C
会 期:2025 年 12月13日(土)-2026 年 2月15日(日)
開館時間:10:00 ー 18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜日(2026 年 1月12日は開館)、2025 年 12月25日(木)-31日(水)、2026 年 1月13日(火)
観 覧 料:一般1,500円(団体割引1,200円、市民割900円)
大学生1,000円(団体割引800円、市民割600円)
高校生以下または18歳未満・丸亀市内に在住の65歳以上・各種障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料
*同時開催企画展「猪熊弦一郎展 夢をならべている」、常設展「猪熊弦一郎展 物が在る」の観覧料を含みます。
*団体割引は20名以上の団体が対象です。
*市民割は丸亀市民が対象です。チケットご購入時に証明する書類(運転免許証、保険証など)のご提示が必要となります。団体割引を含み、他の割引との併用は出来ません。
同時開催の企画展
「猪熊弦一郎展 夢をならべている」
会場:3 階展示室 C、2 階展示室 B、1 階エントランス
同時開催の常設展
「猪熊弦一郎展 物が在る」
会場:2 階展示室 A
次回企画展のお知らせ
「猪熊弦一郎展(仮称)」
会期:2026 年 3 月1日(日)ー 6 月21日(日)予定
関連プログラム
キュレーター・トーク
本展担当キュレーター(中田耕市、谷村無生)が展示室で来館者に見どころをお話しします。
日時:2025 年 12月14日(日)、2026 年 1月11日(日)、2月8日(日) 各日14:00 ー
参加料:無料(別途、本展観覧券が必要です)、申込不要
親子でMIMOCAの日
高校生以下または18 歳未満の観覧者 1 名につき、同伴者 2 名まで観覧無料となります。
日時:2026 年 1月24日(土)、25日(日) 10:00ー18:00(入館は17:30まで)
*詳細やその他のプログラムは当館 HP 等でお知らせいたします
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)について
1991 年開館、30 年を超える活動
1991 年 11月23日、JR 丸亀駅前に開館。同時代の新しい表現を積極的に紹介する「現代美術館」を望んだ猪熊弦一郎の考えを受け継ぎ、猪熊作品を中心とした常設展、現代美術にフォーカスした企画展、子どものためのワークショップなど、多彩なプログラムを展開しています。
さらに、当館は猪熊弦一郎の遺した絵画やドローイングなど作品約 2 万点を所蔵しています。猪熊が「対話彫刻」と名付けた小さな作品群、猪熊夫妻が各地で収集しその生活を彩っていたコレクションなどの多数の資料とともに、常設展や企画展を通して、猪熊の活動を深く、広く紹介しています。
現代美術に特化した美術館として
現代美術を中心とし、企画展として国内外のアーティストの活動を展観。これまでにヤン・ファーブル、マリーナ・アブラモヴィッチ、マルレーネ・デュマス、エルネスト・
ネト、杉本博司、塩田千春、ホンマタカシ、石内都らの個展を開催する一方、金氏徹平、小金沢健人、志賀理江子、中園孔二ら気鋭のアーティストの紹介にも積極的に
取り組み、近年では若手作家を対象とした公募展「MIMOCA EYE」を立ち上げました。また、同時代のクリエイティブな表現にも着目し、ファッションやファニチャーといったデザイン、現代建築にも拡張しています。
谷口吉生の設計による美しい建築
設計は、数々の美術館建築を手がけ、高い評価を受ける谷口吉生。猪熊との対話によって、アーティストと建築家の理念が細部に至るまで具現化されています。
猪熊弦一郎の巨大な壁画《創造の広場》が眼を引く伸びやかなファサードは、駅前広場と建築をゆるやかに結びつけ、館内に入ると自然光をふんだんに取り込んだ、開放的な空間が広がります。2 階には対照的なプロポーションをもつ2つの展示室があり、3 階の天井高約 7mの豊かなスケール感をもつ展示室へと続きます。
さらに、正面左側の大階段はアートへのさまざまなアプローチを可能にするパブリックな空間へと接続しています。2 階のアートセンターには、ライブラリー、ホール、スタジオが備わり、3 階最奥部にあるカスケードプラザとカフェも来館者に心地よい時間を提供します。
