
私たちは夢を見ます。夜ごと、あるいは街を歩きながら。
目に映る風景の色や、聞こえる音、触れているものの重さや温度などに普遍的な事実があったとしても、受け止め方は人それぞれ。嬉しいことがあれば世界が輝いて見え、悲しいことがあれば近くにいる人の声を遠くに感じることもあります。この気持ちと身体の相互作用は、今、確実に自身に起きていることではあるのに、夢をみているかのように曖昧で、とらえがたく、その実感を誰かと共有することも難しいものです。
夢とは眠るときにだけ見るものとは限りません。例えば美しい景色やメロディに心を奪われる瞬間や、小説、映画や舞台の物語に没入している時間に、あなた自身はどこにいるといえるでしょうか。デジタルの画面の中と、怪我をすれば痛みを感じる生身の身体の両方を行ったり来たりしている私たちにとって、いまや現実と架空を完全に切り離すことはナンセンスのようにも思えます。「現実(リアリティ)」とはどこかにあるものではなく、それぞれの実感=「たしかさ」をたどる行為そのもの。まるで一枚ずつ見えないヴェールをかいくぐりながら歩みを進めるように、私たちは常に、幾重にも折り重なった夢を現実に見ている状態だといえるのかもしれません。
時にアーティストは、不確かなイメージをとらえようと多様な表現を試みてきました。彼らが思い描き生み出した作品は、私たちに新しいヴィジョンを見せてくれます。そして美術館では、収蔵庫の中で静かに眠っている作品を呼び起こすのは学芸員の役割ですが、どのような「トロイメライ=夢見ごと」を立ち上げるのかは鑑賞者ひとりひとりにゆだねられます。希望、理想、幻想、無意識、眠り…。本展では、誰もが身近に感じながらもその多彩さゆえに謎めく「夢」、「夢を見ること」をキーワードに作品を紐解いてゆきます。
【出品作家】
■現代美術ギャラリー(予定): カレル アペル、イケムラレイコ、フランチェスカ ウッドマン、大竹伸朗、加藤美佳、アンゼルム キーファー、坂田栄一郎、シンディ シャーマン、崔在銀、名和晃平、奈良美智、ジョナサン ボロフスキー、増田佳江、宮脇愛子、ロバート メイプルソープ、森村泰昌、やなぎみわ、横尾忠則、マーク ロスコなど
■特別展示室 觀海庵(予定): 加藤泉、狩野永徳、狩野探幽、徐霖、野村仁、円山応挙など *会期中に展示替えを行います
【展覧会関連ワークショップ】
榎本浩子 「やわらかな時間」
日時: 2025年9、10月 (複数回予定)
「やわらかな時間」は、ゆるやかな”植物観察”を行うワークショップです。日々の出来事を題材に、弱さや傷つきやすさとその修復をテーマとして制作・活動を行う、群馬県出身のアーティスト榎本浩子と原美術館ARCが協働で構想しました。彫刻作品が点在する美術館の庭の一角で、草花をただただ見つめ、少し変わった「植物日誌」に描き留める時間を過ごします。*イベントの詳細については、決まり次第、当館ウェブサイトにてお知らせいたします。
【会期中のイベント
■夏休みワークショップ
①7月19日(土) ろうけつ染めでうちわをつくろう
講師:大竹夏紀(染色アーティスト)
参加費: 2500円
②7月20日(日)、21日(月・祝)折り染めでうちわをつくろう
参加費:600円
■開架式収蔵庫ガイドツアー
8月2日(土) 11:00~(60分程度)
参加費: 1,000円、5名 *通常はメンバーシップ会員限定イベントですが、一般の方も参加できます
■担当学芸員による作品解説
8月2日(土)14:00~(60分程度)
参加費: 500円、10名 *メンバーシップ会員は無料
■屋外作品ガイドツアー
9月27日(土) 11:00~(60分程度)
参加費: 500円、10名 *メンバーシップ会員は無料
■対話型作品鑑賞会 (協力:対話型アート鑑賞ラボ)
11月8日(土)11:00~(60分程度)
参加費: 無料、10名
◆宮島達男「時の蘇生・柿の木プロジェクト」植樹20周年企画
2005 年に当館の庭園に植樹された「被爆2世の柿」。今年20周年を迎えることを記念し、小企画を開催いたします。
時の蘇生 柿の木プロジェクトについて
https://kakitreeproject.com/
◆学校の先生を対象とした鑑賞企画(無料見学・相談会)
7 月21日(月・祝)から27日(日)の6日間
入館料・参加費: 無料
* 24 日(木)は休館日の為除外
* 要予約。遠足や校外学習など学校行事で当館の利用を検討している
教職員を対象とします。事前に相談内容をメールにてお知らせください。
event@haramuseum.or.jp
【開催要項】
展覧会名 「トロイメライ」
会期 2025年7月12日(土)から2026年1月12日(月・祝) *觀海庵は会期中展示替えあり
主催・会場 原美術館ARC
開館時間 9:30 am-4:30 pm(入館は4:00 pmまで)
休館日 木曜日(8月中無休)、*2026年1月13日から3月中旬まで冬季休館
入館料 一般1,800円、70歳以上1,500円、大高生1,000円、小中生800円
*前売りオンラインチケット(日にち指定) https://e-tix.jp/haramuseum_arc/
*原美術館ARCメンバーシップ会員は無料、学期中の土曜日は群馬県内小中学生無料
住所 〒377-0027群馬県渋川市金井2855-1
Tel: 0279-24-6585 / Fax: 0279-24-0449 / E-mail: arc@haramuseum.or.jp
ウェブサイト: https://www.haramuseum.or.jp
X: @haramuseum_arc Instagram: @haramuseumarc