NEWS:サイモン・フジワラ「Who The Bær」@プラダ財団美術館(ミラノ)

プラダ財団美術館にてサイモン・フジワラ個展「Who The Bær」が開催されます。

会場:プラダ財団美術館(ミラノ)

会期:2021年4月29日(木) − 9月27日(月)

会館時間:10:00-19:00

休館日:月、火、水

入場料:一般  15€ 、 26歳以下の学生・65歳以上 12€ 、  18歳以下 入場無料

 

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プラダ財団は、サイモン・フジワラによる「Who The Bær」展をミラノにて開催します。

アーティストであるサイモン・フジワラ(1982年ロンドン生まれ、ベルリン在住)は自らの作品で、観光地や歴史的遺産、セレブリティ、“エデュテインメント(エデュケーションとエンターテインメントの造語)”、さらにはネオ・キャピタリズムといったものの根底を支える人間の欲望を巡って作家個人の視点から探求を続けています。魅惑的である一方で危険をはらんだこの領域において、フジワラの作品は、私たちが文化を消費するなかで、ファンタジーと真正性の両方を同時に求めるというパラドックスが存在することを露わにしています。フジワラの近年の展覧会には、アンネ・フランクの家を原寸大で再現した2017年の《Hope House》、自身の恩師である高校の美術教師を“ブランディングし直す”ための、2016-18年の《Joanne》、観客をYouTubeの世界へと誘うテーマパークのアトラクションを作品にした、2018年 の《Empathy I》などが出品されています。観客は、作家のファンタジー性と時に不穏さが交錯する世界観を通して、歪められた現実世界を見つめます。

 

今回の新たなサイトスペシフィック・プロジェクトは、プラダ財団のミラノ複合施設内にあるPodiumセクションの1階において開催され、会期は2021年9月27日まででとなっています。サイモン・フジワラは本展において、自作のマンガキャラクターで、おとぎの国に住むという設定のWho the Bærの世界に観客を引き込みます。Who the Bærには、はっきりとした個性がありません。“Who”は、まだ強烈な個性や才能を確立していない様子であり、過去もなければ性別もなく、セクシャリティすらありません。Who the Bærは、自分がイメージであることだけは理解しており、他者のイメージを通して自らを明らかにしようとしています。Who the Bærの存在する場所はフラットなオンラインの画像世界ですが、無限の可能性を秘めています。Who the Bærは自らが出会うイメージが描写する特性やアイデンティティを取り込んで、人間や動物、モノなど何であろうと、姿を変え適応することができます。そのような意味で、Who the Bærのファンタジー世界は自由です。つまり、なりたいものになれ、時と時間を超越することができ、主体にも客体にもなれるのです。ですがWho the Bærには、決して超えられない壁が一つあります――イメージを超えた存在にはなれないのです。

 

本展覧会でフジワラは、成長ストーリーとポストモダンのおとぎ話を提示しますが、それはいくつもの楽しい出来事や悲劇的な出来事から構成されます。フォーカスグループからセラピー・セッション、美容整形手術に世界旅行、果ては倒錯的な性的夢想やディストピア的な夢などに及ぶ出来事がありますが、フジワラは、架空のキャラクターがイメージという“現実世界”を読み取って自らのものとし、目にするものすべてを荒唐無稽な論理で動く自身の世界観へと歪曲させることで、キャラクターを形作るプロセスを表現しています。

 

 

プラダ財団では、Who the Bærのファンタジー・アドベンチャーは、巨大なクマの形をした巨大迷路の形で展示されますが、そのほぼすべてが、ダンボールやリサイクル可能な材料で作られています。来場者はクマの形のインスタレーションを巡りながら、マンガのキャラクターであるWho the Bærの基本的な意匠や成り立ちに触れます。そしておとぎ話の世界でWho the Bærを追いかけ、数々の冒険に向かうことになります。スケッチやコラージュ、彫刻やアニメーションを通して語られることで、自分の本当の姿を追い求める長い旅にあるWho the Bærを目のあたりにするのです。

 

古いおとぎ話や現代のアニメ映画にインスパイアされたフジワラは、ファンタジーというメカニズムを利用して、イメージやスペクタクルに取り憑かれた社会が直面する喜びや悲劇について考察します。

 

“Who the Bær”は、プラダ財団によるクアデルノ双書の一冊として刊行されることで完結します。絵本の形をとり、アーティストとの対話も掲載されます。Who the Bærの冒険は、インスタグラムのオフィシャルアカウント、@whothebaerでも体験することができます。

 

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