Galleries Curate: RHE | 笹本晃、山崎つる子

Take Ninagawa, 東京
グループ展 | 2021年3月9日 – 4月3日

タケニナガワは、コロナ禍に有志で立ち上げたギャラリー・イニシアティブ「Galleries Curate」に参加してきました。Galleries Curateはフィジカルスペースを国際的な関係性で繋ぐ新しい試みです。今年は水をテーマにそれぞれの画廊が展覧会を各画廊で開催しています。そのアーカイブがウェブサイトで共用されていますのでご高覧ください。またタケニナガワの展覧会は3月9日から4月3日まで開催いたします。

ご高覧のほど宜しくお願い申し上げます。

Take Ninagawa

Galleries Curate: RHE
出展アーティスト:笹本晃、山崎つる子
会期:2021年3月9日 – 4月3日
会場:Take Ninagawa と Galleries Curate
開廊時間:午前11時 – 午後7時
休廊日:日,月,祝日

Galleries Curate
新型コロナウイルスが蔓延し始めた頃、世界中のコンテンポラリー・アート・ギャラリーが非公式な集まりを開催し、グローバル規模の危機が作家や、アート界に従事する人々・産業に影響を与える中で、いかに私たちが新たな課題を乗り切るべきかを議論しました。数週間に及ぶ交流を通し、私たちの関係は緊密かつ不可欠なものとなり、パンデミックが多くの事柄をバラバラにした一方、私たちを一つに結び付けもしたことに思い至りました。共に支え合う共同体的な感覚が、ポジティブさや協力し合う相互の関係を喚起し、12のギャラリーで始まったこの集まりは、21のギャラリーへと拡大しています。私たちが立ち上げた「Galleries Curate」は、こうした結束を表現する手段であり、各ギャラリーにおける個別の展示を、動的な形で繋ぐ対話を促進する試みです。

Galleries Curate: RHEはこの共同の試みの第一章であり、普遍的かつ、私たちを結びつけてくれるであろうテーマである「水」を主題にした展覧会とウェブサイトです。文化と同じく、水は決して静的なものではなく、常に流転します。初開催である「RHE」に続き、「Galleries Curate」は新たな参加者を募り、ギャラリー・作家・鑑賞者との間の関係性を探るグローバル規模の対話に、更なる章を追加してゆきます。

RHE
RHE(ギリシャ語で「流れるもの」)は、地理的・政治的・経済的・比喩的な形で水をテーマとして扱った展示やパフォーマンス、公的介入のためのプラットフォームです。オンラインと現場の双方において、21のギャラリーとの企画を行うRHEは従来の、白い壁に囲まれた展示空間の内外で、世界中の地域・市場・文化・観客に範囲を広げることを前提に考案されました。

Why RHE?
RHE は、「統一」と「無常」を連想させる言葉で、「あらゆる物は流れる」(panta rhei) という格言が最も名高く示す、ヘリクラテス哲学の中心的な概念です。私たちは皆、水を媒介とし、物理的かつ比喩的に繋がっています。

Aki Sasamoto, Talking in Circles in Talking, 2021 ©︎ Aki SasamotoCourtesy of Take Ninagawa, Tokyo.

笹本晃:1980年、神奈川県生まれ。ニューヨーク在住。イエール芸術大学院 助教授。

パフォーマンスと彫刻によるインスタレーションで知られる笹本晃は、ビジュアルアーツに限らず、ダンスや舞台芸術といった媒体においても世界的に作品を発表し続け、ミュージシャン・振付師・科学者・学者らとの共同制作も行うなか、アーティスト・ダンサー・演出家と、自らもマルチに活動しています。笹本のパフォーマンス/インスタレーション作品は、緻密に計算された彫刻を配列したインスタレーションと、即興的なパフォーマンスによって、私的な経験から物語を紡ぎ、音や物、動く身体や参加者に呼応するように作られます。

Talking in Circles in Talking(2021)は、「形見」に代表されるように、人間の身体がいかに物理的な対象へと変わり得るかを探求した作品です。溶ける氷の塊の中に、人の記憶を運ぶ装置としてのオブジェが入っていて、氷の滴る音に混ざって、時折オブジェの落下する音が、調理用ボウルに接続された手作りのコンタクトマイクを通して増幅し、空間を支配します。

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Tsuruko Yamazaki, Work, 2011 ©︎ Estate of Tsuruko Yamazaki. Courtesy of LADS Gallery, Osaka and Take Ninagawa, Tokyo.

山崎つる子:1925年、兵庫県芦屋市生まれ。具体美術協会の創立メンバーの一人。
1954年に結成された具体美術協会は、芦屋公園における「野外具体美術展」(1956)、東京・サンケイホールにおける「舞台を使用する具体美術」(1957)等、ハプニングやサイト・スペシフィックなインスタレーションに代表される革新的な活動を行い、現在においても国際的に注目を集めています。

山崎は50年代当初から、具象と素材に対する「具体」の力点を急進的な方向へと押し進め、反射面や光の投影を用いた試みを頻繁に行うことで、作品を非物質化し、鑑賞者が素材の一部となる仕掛けを作りました。光に対する作家の関心は、周囲に光源が少なく、屑鉄やガラス片、路上堆積物を捕える車のヘッドライトが、突発的な光で暗闇を追い散らす戦後日本の都市環境に起因すると、山崎は生前に述べています。

今展で紹介するブリキの絵画『無題』シリーズは、戦後日本に特徴的な建材であるブリキの画板に透明ラッカーと混ぜた染料を乗せて、手で画板を動かし絵画を作るという即興的な手法で制作されました。東京・小原会館における第4回具体美術展(1957)にてこのシリーズを初めて発表した山崎は、晩年に再考を行っており、本作が作家にとっての最後の絵画作品となりました。

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