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8:美術はだれのもの?——北川フラム更迭問題をめぐって(後編)

前編はこちら 教育、文化、学術を排他的に自立させぬことには成立しない省庁的な行政区分では、ひとたびこの領域を文部省が所轄するようになれば、文化をめぐる為政から市場原理や産業的奨励が排除されるのは当然のことだろう。むずかしいのは、市場原理や産業指数に代わって文化がおのれの価値を自己View More >

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7:美術はだれのもの?——北川フラム更迭問題をめぐって(前編)

後編はこちら 新潟市美術館 2007年に在野から招かれ新潟市美術館の館長職にあった北川フラム氏が、09年の夏に報じられた展示作品へのカビ発生騒動に続き、今年になって発見された虫「約40匹」の責任を取るかたちで更迭されたのは記憶に新しい。むろん、収蔵作品に致命的なダメージを与えかねView More >

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6:カオス*ラウンジ —— 萌えいづる自由・平等とその行方

『カオス*ラウンジ2010 in 高橋コレクション日比谷』展示風景 2010年 4月16日、村上隆の主宰する「GEISAI大学」(於カイカイキキギャラリー)で、アーティストにして美術批評家、黒瀬陽平によるレクチャーが行われた。黒瀬氏はそこで、みずからキュレーションを手掛けた『カオView More >

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5:アーネスト・フェノロサ——このシミュレーショニズムの未知なる起源?

日本の近代美術の成り立ちに関心がある人にとって、アーネスト・フェノロサの名は特になじみ深いものだろう。とりわけ岡倉天心を従えて日本画の復興と革新にあたり、廃仏毀釈で損なわれた仏像の価値などに新たな光(信仰の対象ならぬ「文化財」)を当てたことの意義は強調してしすぎることはない。要はView More >

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4:美術史概念から単独者へと——『躍動する魂のきらめき—日本の表現主義』展を見て

『躍動する魂のきらめき—日本の表現主義』展会場風景 2009年 写真提供:松戸市博物館 話題の展覧会『躍動する魂のきらめき—日本の表現主義』をやっと見ることができた。昨年来の評判からすると後れをとってしまった感は免れない。巡回会場の松戸市博物館に足を運ぶのは初めてで、都心からのアView More >

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3:‘文化’資源としての〈外地〉——豊田市美のアジア展

『近代の東アジアイメージ——日本近代美術はどうアジアを描いてきたか』会場風景 豊田市美術館 2009年 先ごろ出た新刊著書、呉美姃(オ・ミチョン)『安部公房の〈戦後〉』(クレイン)は、なかなかに興味深い本だった。安部公房といえば、その実験的で抽象化した文体で、15年戦争の体験を反View More >

2:文化行政の「事業仕分け」について

平成22年度の国家予算配分をめぐる、行政刷新会議による「事業仕分け」が話題となっている。いわゆるスパコンなどが「廃止」から一転、息を吹き返したように、どうやらこの会議による仕分けが最終判断ということではないらしい。が、ここで示された方向性が今後、行政の向かうひとつの大きな流れとなView More >

1:大竹伸朗の現在はどこにあるのか

今月から月評が始まることになった。いま、その初回の原稿を書こうと机に向かったところだ。月にひとつの展覧会レビューなら『美術手帖』誌で書いているので、ここでは別のかたちを探ってみようと思う。1本に絞るのではなく、複数の展覧会や事象について書くことになるだろう。が、いっそ生活するなかView More >

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目次 椹木野衣 美術と時評 

108:潮汲み3年、塩撒き10年 — 「奥能登国際芸術祭/運動」をめぐって 107:「スヌーピーのいる部屋」― 西野逹「ハチ公の部屋」を反転する 106:日本列島の美術100年 — 関東大震災、ハチ公生誕・100年の年に 105:熱源と体温 — MOCAF「ART AFTER HView More >

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