Luc Tuymans, Palestinian Wildflower (2026) oil on canvas, 71.8 × 48.1 cm, © Studio Luc Tuymans, courtesy WAKO WORKS OF ART
リュック・タイマンス「Condensation 結露」
2026年5月30日(土)-10月31日(土)
リヒター・ラウム(長野県軽井沢町軽井沢1323-1475)
https://www.richterraum.jp/
事前予約制(詳細はウェブサイトを参照)
30年以上にわたりゲルハルト・リヒターを日本に紹介してきたワコウ・ワークス・オブ・アートは、リヒター作品の展示を目的に2023年に開廊した「リヒター・ラウム」で、ベルギーの画家リュック・タイマンスの新作展「Condensation 結露」を開催する。本展では、展示空間にあわせて作家自らが厳選した世界初公開の油彩画6点、《Funnel(漏斗)》《Apron(エプロン)》《Mural Skull(壁画の髑髏)》《Mural Kitten(壁画の子猫)》《Palestinian Wildflower(パレスチナの野花)》《Swan Lake(白鳥の湖)》が公開される。
リュック・タイマンス(1958年ベルギー・モルツェル生まれ)は、1980年代から絵画制作を本格化させ、写真、映像、印刷物、デジタルメディアなど、すでに別の媒体を経たイメージを出発点として、それらを抑制された、どこか不穏さを帯びた絵画へと移し替えることで、絵画の可能性を大きく押し広げてきた。1990年代以降は現代絵画を代表する作家のひとりとして国際的な評価を確立し、2001年にはヴェネツィア・ビエンナーレにベルギー代表として出品。近年では、北京のユーレンス現代美術センター(UCCA)で大規模個展「The Past」(2024-2025)を開催したほか、ルーヴル美術館で壁画プロジェクト「L’Orphelin」(2024-2025)を、ヴェネツィアのサン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂で新作コミッション(2025-2026)を発表した。また、「Intrigue: James Ensor by Luc Tuymans」(2016-2017)や「Sanguine. Luc Tuymans on Baroque」(2018-2019)など、展覧会の企画も手がけている。
Luc Tuymans, Swan Lake (2026) oil on canvas, 61 × 46.7 cm, © Studio Luc Tuymans, courtesy WAKO WORKS OF ART
Luc Tuymans, Mural Kitten (2026) oil on canvas, 59.8 × 62.4 cm, © Studio Luc Tuymans, courtesy WAKO WORKS OF ART
本展タイトルの「Condensation(結露)」は、タイマンスの制作の核心に迫る言葉として掲げられている。結露とは、本来は見えないはずの差異が遅れて部分的に可視化されたものであり、その原因は別の場所で起きた出来事にある。リヒター・ラウムに集められた本展の絵画も、画面上に像を結びながら、その成立の条件をなお外部に残している点で、この現象と重ね合わせられている。
タイマンスは近年のインタビューで、視覚イメージの成立には距離が必要であり、遠くからは像として保たれていたものが近づくにつれて崩れはじめると語っている。本展の6点の絵画に描かれた像も、ある距離のなかで立ち上がり、距離が縮まるにつれて輪郭を揺らがせる。主題も温度も気配もそれぞれ異なるが、いずれもイメージが定まりきる前の、認識が確定する直前の不安定な状態を指し示している。うつろう外光と室内の静けさが画面との距離をその都度意識させるリヒター・ラウムでは、その揺らぎがいっそう際立って感じられる場となる。
関連イベント
アーティスト・レセプション
2026年5月30日(土)15:00–18:00
会場:リヒター・ラウム
事前予約制(詳細はウェブサイトを参照)
同時開催
ゲルハルト・リヒター新作・近作展「10 Drawings and 2 Collages」
2026年4月25日(土)-10月31日(土)
※5月17日-5月29日は展示替えのため休館
会場:リヒター・ラウム
事前予約制(詳細はウェブサイトを参照)
