中村宏展 アナクロニズム(時代錯誤)のその先へ @ 静岡県立美術館

中村宏《階段にて》1959-1960年 宮城県美術館

 

中村宏展 アナクロニズム(時代錯誤)のその先へ
2026年1月20日(火)-3月15日(日)
静岡県立美術館
https://spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/
開館時間:10:00–17:30(展示室の入室は17:00まで)
休館日:月(月曜が祝日・振替休日の場合は開館し、翌日休館)
展覧会URL:https://spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/exhibition/detail/127

 

静岡県立美術館では、浜松市出身で日本の戦後美術を代表する画家・中村宏を包括的に紹介する大規模な回顧展「中村宏展 アナクロニズム(時代錯誤)のその先へ」を開催する。なお、中村は本展開催前の2026年1月8日に93歳で死去した。

中村宏(1932–2026/静岡県生まれ)は、1951年に上京して日本大学芸術学部へ進学し、学生運動が高揚する中で青年美術家連合に参加した。米軍基地拡張反対運動の現場でのスケッチを基に描いた《砂川五番》は高い評価を受け、「ルポルタージュ絵画」の画家として知られるようになる。1950年代末からは、映画監督エイゼンシュテインのモンタージュ理論を応用し、社会的主題と前衛的表現を結びつける試みへと展開した。やがて、画面にセーラー服の女学生、蒸気機関車など、少年期の記憶に結びつくモチーフが匿名的な風景として立ち上がり、「政治の季節」を生きる若い世代の心を捉えた。1960年代からは、絵画を「精神的労働の場」と位置づけ、それ以降も「タブロオ機械」「絵図連鎖」など独自の方法論を実践し、一貫して具象絵画の可能性を追求した。2022年より、自身の戦争体験をルポルタージュした「戦争記憶絵図」に取り組んだ。

 

中村宏《4半面の反復(12)》2019年 静岡県立美術館
中村宏《砂川五番》1955年 東京都現代美術館

 

本展では、全国の美術館および個人所蔵者から借用した約200点の作品と関連資料を一堂に集め、画家の約70年にわたる制作活動の成果を、現代の鑑賞者に広く問いかける。中村は、アート表現が目まぐるしく変化し多様化するなかで、みずからを「アナクロニズム(時代錯誤)」の画家と称し、描くことを通じて社会や美術表現に対する批評的な態度を貫いてきた。会場では、ルポルタージュ絵画にはじまり、セーラー服姿の女学生や機関車をモチーフにした絵画・イラストレーションなど代表作を紹介する。あわせて、中村の表現における映画や漫画からの影響、1960年代を中心とする同時代の芸術家との交流の足跡を辿り、1970年代以降の絵画表現における探求についても再検証する。

関連イベントとして、中村が影響を受けた「戦艦ポチョムキン」を伴奏付き上映会や、同時開催の収蔵品展「2000年代の絵画」に出品する画家、大庭大介、小左誠一郎、門田光雅、持塚三樹と担当学芸員が、中村宏の作品や1950年代以降の日本の絵画史と自作の関わりについて語り合うトークを行なう。その他、各種イベントを開催予定。詳細はウェブサイトを参照。

 

同時開催
2000年代の絵画~静岡ゆかりの作家による
2026年1月20日(火)-4月19日(日)
出品作家:石田徹也、大庭大介、小左誠一郎、門田光雅、持塚三樹
https://spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/exhibition/detail/131

 

中村宏《聖火千里行》1964年 高松市美術館
中村宏《ブーツと汽車》1966年 名古屋市美術館

 

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