場 -junction- @ parcel

場 -junction-
会期2025年12月13日(土) – 2026年1月25日(日)
会場parcel [MAP]
住所〒103-0002
東京都中央区日本橋馬喰町2-2-14 まるかビル2F
開館時間14:00–19:00
オープニング・レセプション:12月13日(金)18:00–21:00
休館日月、火、祝、冬季休廊(12/24-1/4)
参加作家KINJO、岡田洋坪、大塚諒平、鈴木夏海、木村祐太
この度、parcelではKINJO、岡田洋坪、大塚諒平、鈴木夏海、木村祐太によるグループ展「場 -junction-」を開催いたします。本展は、ペインターのKINJOによる初めてのキュレーション展です。

都市のすみずみに、誰のものとも知れない行為の痕跡が残されていることがあります。
河川敷に積まれた石、釣り人が作った簡易の休憩所、拾われた段ボールが風に揺れている──それらはわずかな時間だけ現れては消える「場」をひっそりとつくりだしています。今回parcelで開催する「場 -junction-」は、KINJOがこうした“一瞬だけ現れる場所”に感じ取ってきた感覚を起点に、彼と接点を持つ4名の作家を迎えて構成する、小さな共同体のような展覧会となります。

KINJOの実践は、沖縄のルーツと日本・アメリカ文化の交差を背景に、絵画や立体へ反復的な描写と抹消の痕跡を刻むことで、「個人的な存在」を浮かびあがらせるものです。今回、彼は自らの表現をいったん脇に置き、友人たちの手つきや思考が交差する場所をつくる側へ回っています。その出発点には、荒川で大塚諒平と行った野外展示「Riverside pocket」があります。人々の生活動線のすぐ横で、そっと作品が置かれ、作品と環境、作り手と偶然に訪れる鑑賞者がゆるやかにつながるJunction(分岐点)をつくりだす試みでした。

本展に参加する作家たちは、いずれも制作とは別の仕事や生活を持ちながら表現を続けており、そのため作品には日々の経験に根ざした視点や、社会のなかで自分の身を置く位置から見えてくる風景が自然と滲み出ています。

大塚諒平は、身体を通して世界を知覚するプロセスそのものに関心を寄せ、彫刻・映像・パフォーマンスを横断しながら「どこに現実があるのか」という問いを探り続けています。

岡田洋坪は、アートディレクターとしての知性と映像的感性を背景に、タブー視される主題や大衆文化の身体性を学術的な視点から捉える独自のアプローチを持っています。
鈴木夏海は、音楽・動物・性・精神のイメージを重ね合わせ、時間と空間を多層化させることで、鑑賞者の意識を拡張するような絵画表現を行っています。

そして木村祐太は、特殊造形やメイクの技術、自転車店の運営など多岐にわたる経験を背景に、生活と手仕事が地続きになった「ものづくり」の視点を作品に落とし込んでいます。

それぞれの実践は方向も対象も異なりますが、KINJOがこの展示のタイトルに選んだ“junction”は、その違いが交わり、重なり、ゆっくりと別れていく様子を示しています。
作品が置かれる空間には、個々の生活が持つ温度、手の跡、思考の癖がそっと流れ込み、それらが干渉しあう余白が生まれます。まるで都市の河川敷や、使われなくなった小さな広場の片隅に、不意に現れる“場”のようです。

本展は、作家たちが持ち寄った視点が交錯し、同時にそっと離れていく、静かで手触りのある共同体のような場所をつくりだします。作品と人、音や空気が行き交うその重なりのなかで、鑑賞者の皆さまそれぞれが自分だけの「junction」を見つけていただければ幸いです。

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