《Tender Recalls / Prospective Futures》@ SUCHSIZE、イチノジュウニのヨン

《Tender Recalls / Prospective Futures》展示風景
《Tender Recalls / Prospective Futures》
会期2025年10月17日(金) – 11月23日(日・祝)
会場SUCHSIZE、イチノジュウニのヨン [MAP]
住所〒557-0001
大阪市西成区山王1-6-20、1-12-4
※Mado(山王2-14-15)でも同時開催
開館時間13:00–18:00
休館日月〜木
アーティストチ・L・グエン、野村在
URLhttps://www.suchsize.com/blog/2025/10/08/152355
この度、SUCHSIZEでは、チ・L・グエン(Chi L. Nguyễn)と野村在(Zai Nomura)を迎え、記憶の共有と継承を探求する展覧会を開催します。本展では、普段交わらないはずの他者の記憶に触れたときに起こる、記憶の想起や認識の変容についての可能性を探ります。

ベトナム人アーティストのグエンは、口承の伝統や工芸との対話を通じて、世代を超えて受け継がれてきた「継承された記憶」を解き明かし、伝承や歴史がいかにアイデンティティを形成するかを考察しています。彼女は、ライスペーパーという透明で脆い素材の上に、家族との記憶や植民地時代の記録を想起させるイラストを描くことを通して、世代を超えた歴史の視覚言語を重ね合わせ、記憶の境界を曖昧にしています。

一方、アメリカを拠点とする野村は、失われゆく記憶の継承に着目したパフォーマティブな彫刻作品を展示します。本作は、わたあめの製造機能をもつ彫刻と、認知症の方が所有する過去の写真が印刷された飴を中心に構成されています。会場を訪れた鑑賞者は、飴を選び、それから制作される「記憶のわたあめ」を食べるという体験を促されます。この行為を通して、鑑賞者を記憶の継承に能動的に参加させ、個人間の隔たりを超えた記憶を共有する輪に誘い込みます。

SUCHSIZEは、これらの他者の記憶や物語に触れる作品を通して、多文化が共生する大阪市西成区の社会構造に語りかける芸術交流を生み出します。無意識的な習慣や認識/記憶が個人の振る舞いを規定し、ひいては社会を形作るというハビトゥスの概念のように、私たちの記憶の共有と継承は、分断や絶え間ない変化を伴う現代において、社会のコミュニティを結び直す一つの術となり得るのではないでしょうか。私たちは、芸術作品による記憶の想起を出発点に、あらゆる物事と相互に影響し合った先の未来を想像するために、本展を社会に向けて開きます。

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