北島敬三写真展 借りた場所、借りた時間 @ 長野県立美術館

北島敬三《長野県 須坂市 2018年1月9日》Courtesy of the artist ⒸKEIZO KITAJIMA

 

北島敬三写真展 借りた場所、借りた時間
2025年11月29日(土)–2026年1月18日(日)
長野県立美術館 展示室1・2・3
https://nagano.art.museum/
開館時間:9:00–17:00(入場は閉館30分前まで)
休館日:水、年末年始(12/28–1/3)
展覧会担当:松井正(長野県立美術館学芸員)
展覧会URL:https://nagano.art.museum/exhibition/keizo-kitajima-borrowed-place-borrowed-time

 

長野県立美術館は、長野県須坂市出身の写真家、北島敬三の1970年代後半より国内外で手がけたスナップショットや近年の〈PORTRAITS〉、〈UNTITLED RECORDS〉といった連作までを網羅する回顧展「北島敬三写真展 借りた場所、借りた時間」を開催する。

北島敬三(1954年長野県須坂市生まれ)は、1975年に東松照明、荒木経惟、深瀬昌久、細江英公、森山大道、横須賀功光らが講師を務めた「WORKSHOP写真学校」に参加、同校解散後に森山らとともに 新宿2丁目に自主運営ギャラリー「イメージショップCAMP」を立ち上げる。同ギャラリーにて月1回の連続写真展として12回にわたって開催した「写真特急便 東京」(イメージショップCAMP、1979)、東京とコザ(現・沖縄市)を往復しながら隔月で開催された「写真特急便 沖縄」(イメージショップCAMP、1980)などで精力的に作品を発表し、仮借なく被写体を捉えるそのスナップショットで注目を集める。1981年に日本写真協会新人賞を受賞すると、その賞金で滞在したニューヨークで撮影したスナップショットをまとめた写真集『New York』(白夜書房)で第8回木村伊兵衛写真賞を受賞。その後も冷戦構造の歪みが際立つ東西ベルリン、ワルシャワ、プラハ、ブダペスト、香港、ソウル、さらには崩壊直前の旧ソビエト社会主義共和国連邦を取材した作品を発表していく。しかし、それまでのスナップショットに90年前後から新たに取り組み始めた香港、ニューヨーク、東京といった都市の風景を加えた写真集『A.D.1991』(河出書房新社)以降、スナップショットを放棄。その後、試行錯誤を重ねる中で、無徴の人々を定点観測的に撮影する〈PORTRAITS〉や、東日本大震災の被災地域を含む、日本各地のマージナルな風景を記録し続ける〈UNTITLED RECORDS〉といった現在まで継続するシリーズへと作風を転換していった。個人の活動のほか、2001年以降は岸幸太や笹岡啓子らと東京・新宿にて「photographers’ gallery」の運営に携わる。

主な写真集に『写真特急便[東京]』(パロル舎)、『New York』(白夜書房)、『A.D.1991』(河出書房新社)、『THE JOY OF PORTRAITS』(Rat Hole Gallery)、『USSR 1991』(LITTLE BIG MAN)、『UNTITLED RECORDS』(BankART1929)、『NEW YORK』[新版](PCT)、『USSR 1991』[新版](PCT)など。photographers’ galleryやKULA PHOTO GALLERY(いずれも東京)にて定期的に個展を開催するほか、これまでに「Portraits」(川崎市市民ミュージアム、2001)や「北島敬三 1975-1991 コザ/東京/ニューヨーク/東欧/ソ連」(東京都写真美術館、2009)などの個展、「東日本大震災10年 あかし testaments」(青森県立美術館、2021)、「話しているのは誰?現代美術に潜む文学」(国立新美術館、東京、2019)、「サイトグラフィックスー現代写真の動向2005」(川崎市市民ミュージアム)、「MOTアニュアル2004 私はどこから来たのか?そしてどこへ行くのか?」(東京都現代美術館)、「Keep in Touch – Positions in Japanese Photography」(グラーツ近代美術館、オーストリア、2003)などのグループ展で作品を発表している。主な受賞歴に日本写真協会新人賞(1981)、第8回木村伊兵衛写真賞(1983)、第32回伊奈信男賞(2007)、第41回土門拳賞(2022)がある。

 

北島敬三《TOKYO 1979》Courtesy of the artist ⒸKEIZO KITAJIMA
北島敬三《ウラジオストク1991年6月3日》Courtesy of the artist ⒸKEIZO KITAJIMA

 

被写体や撮影スタイルの劇的な変遷を辿りつつ、同時に自身の仕事を読み返し、作品を再構成するという作業を繰り返してきた北島。本展では、そのキャリアの中で2度にわたり象徴的に現れるフレーズ「借りた場所、借りた時間」を手がかりに、キャリア初期の「東京」「沖縄」「ニューヨーク」「東欧」「ソ連」などのスナップショットから、近年の連作〈PORTRAITS〉、〈UNTITLED RECORDS〉までの50年にわたる仕事を、写真家自身の手によるニュープリントや、重要な作品発表の場として機能した雑誌や写真集などの資料を通じて読み返す。

また、本展に合わせて、本館1F交流スペース・オープンギャラリーにて、photographers’ galleryの現メンバーである岸幸太、笹岡啓子、篠田優の3名の写真家の作品を紹介する展覧会も開催する。両展会期中には、北島のみならず、岸、笹岡、篠田によるトークイベントもそれぞれ実施。また、小原真史が監督を務めた映画「カメラになった男−写真家 中平卓馬」のスクリーニング&トークイベントも開催予定。

 

北島敬三、シリーズ〈PORTRAITS〉より Courtesy of the artist ⒸKEIZO KITAJIMA

 

関連イベント
ギャラリートーク
2025年11月29日(土)14:00–
登壇者:北島敬三×松井正(長野県立美術館学芸員)
長野県立美術館 展示室1・2・3

関連トークイベント①
2025年11月29日(土)15:00–
登壇者:岸幸太(写真家)×高橋しげみ(青森県立美術館学芸員)×松井正
長野県立美術館 本館B1Fホール

関連トークイベント②
2025年12月6日(土)13:30–
登壇者:篠田優(写真家)×松井正
長野県立美術館 本館B1Fホール

映画「カメラになった男−写真家 中平卓馬」スクリーニング&トーク
2025年12月6日(土)18:30–
登壇者:小原真史(監督・東京工芸大学准教授)×北島敬三×松井正
長野相生座・ロキシー(長野県長野市権堂町2255)

関連トークイベント③
2025年12月7日(日)13:30–
登壇者:笹岡啓子(写真家)×倉石信乃(明治大学教授)×松井正
長野県立美術館 本館B1Fホール

関連トークイベント④
2026年1月11日(日)13:30–
登壇者:北島敬三×倉石信乃×高橋しげみ×松井正
長野県立美術館 本館B1Fホール
※いずれのイベントも参加費無料(ただしギャラリートーク参加希望者は要観覧券)、事前申込不要

 


同時開催
岸幸太「彼の地、飛地」/笹岡啓子「The World After」「Park City」/篠田優「Voice(s)」
2025年11月29日(土)–2026年1月18日(日)
長野県立美術館 本館1F交流スペース・オープンギャラリー
https://nagano.art.museum/exhibition/keizo-kitajima-borrowed-place-borrowed-time-associated-exhibition-kishi-kota-keiko-sasaoka-yu-shinoda

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