磯崎新:群島としての建築 @ 水戸芸術館現代美術ギャラリー

磯崎新《水戸芸術館》1990年竣工、展示風景「Arata Isozaki: In Formation」2023年、Courtesy of Power Station of Art, Shanghai

 

磯崎新:群島としての建築
2025年11月1日(土)–2026年1月25日(日)
水戸芸術館現代美術ギャラリー
https://www.arttowermito.or.jp/
開場時間:10:00–18:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし11/3、11/24、1/12は開館)、11/4、11/25、年末年始(12/27–1/3)、1/13
展覧会担当:井関悠(水戸芸術館現代美術センター主任学芸員)
ゲストキュレーター:ケン・タダシ・オオシマ(ワシントン大学建築学部教授)、五十嵐太郎(東北大学大学院工学研究科教授)、松井茂(詩人、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]研究科長、教授)
展覧会URL:https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5359.html

 

水戸芸術館現代美術ギャラリーでは、同館設計者にして20世紀を代表する建築家として国際的に活躍した磯崎新の没後、国内初となる大規模回顧展「群島としての建築」を、ゲストキュレーターにケン・タダシ・オオシマ(ワシントン大学建築学部教授)、五十嵐太郎(東北大学大学院工学研究科教授)、松井茂(詩人、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]研究科長、教授)を迎えて開催する。

磯崎新(1931–2022/大分県生まれ)は、建築プロジェクトや都市計画にとどまらず、著作活動、芸術家や知識人とのコラボレーション、さらにはキュレトリアル・ワークを通じ、60年以上にわたり思想、美術、文化論や批評分野においても卓越した地位を確立した。1963年に磯崎新アトリエを設立。以降、旧大分県立中央図書館(現アートプラザ)、群馬県立近代美術館、ロサンゼルス現代美術館、バルセロナオリンピック競技場などを設計。近年は、カタール国立コンベンションセンター、ミラノアリアンツタワー、上海シンフォニーホール、湖南省博物館、中央アジア大学、中国河南省鄭州市の都市計画などを手がけた。そのほか、世界各地の建築展、美術展のキュレーションや設計競技の審査員、シンポジウムの議長を歴任。代表的な企画・キュレーションに「間-日本の時空間」展(1978-81)、ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展日本館コミッショナー(第6~8回)、同展日本館展示「亀裂」で金獅子賞受賞(1996)など。建築思想の国際会議「ANY会議」を10年にわたり企画(1991-2000)。著書に『建築における「日本的なもの」』(新潮社、MIT Press)、過去50年間にわたり書いてきた文章を編集した『磯崎新建築論集』(全8巻、岩波書店)など多数。2019年には建築界のノーベル賞と称されるプリツカー賞を受賞した。2022年末に沖縄にて逝去。

 

磯崎新《空中都市・新宿計画》1960-61年、模型(1: 200)、1990年、木、H240×W240×D180cm  ©Kochi Prefecture, Ishimoto Yasuhiro Photo Center, Photo: Yasuhiro Ishimoto
磯崎新《孵化過程》1962年、展示風景「Arata Isozaki: PROCESS」2011年、Courtesy of MISA SHIN GALLERY, Tokyo, Photo: Keizo Kioku
磯崎新《東京都新都庁舎計画設計競技》1985-86年、シルクスクリーン、1986年、H80×W120cm、©Estate of Arata Isozaki

 

磯崎は著書『建築における「日本的なもの」』において、「グローバリゼーション状態のなかに沈殿物が発生し、これが〈しま〉をつくり、世界は無数の凝固の集合体としての、群島(アーキペラゴ)となるだろう。そのひとつの〈しま〉のつくりだされかたは、(中略)もっと多様に開発されねばなるまい」と記している。「群島」という概念は、イタリアの哲学者マッシモ・カッチャーリの著書『L’arcipelago』(1997)に端を発するもので、磯崎も自身の思想や実践における重要な空間概念として積極的に用いた。

「群島としての建築」と題した本展では、決して単一の領域にとどまらない磯崎の活動を「群島」の様に構成。「都市」「建築」「建築物」「フラックス・ストラクチャー」「テンタティブ・フォーム」「建築外(美術)」をキーワードに、建築模型、図面、スケッチ、インスタレーション、映像、版画、水彩画などのさまざまなメディアを通じて、活動の軌跡を辿るとともに、磯崎自身が設計した水戸芸術館を舞台に、建築の枠を超えた活動を俯瞰的に紹介する。

会期中には、ゲストキュレーターを務めるケン・タダシ・オオシマ、五十嵐太郎、松井茂による各レクチャーのほか、磯崎新が当時国際的には無名だった安藤忠雄と伊東豊雄を伴って参加した、アメリカ合衆国シャーロッツビルで1982年に開かれ、世界を代表する超一流建築家が一堂に会し、建築の未来を議論した国際会議を30年後に振り返ったドキュメンタリー映画の上映と、同作の監督を務めた石山友美と伊東豊雄のポストトーク、磯崎新研究会によるシンポジウムなどを開催。また、水戸芸術館の構造設計を担当した構造家の金箱温春による同館タワーの構造について解説、そして、五十嵐太郎監修・執筆の『水戸芸術館ガイドブック』(デザイン:イスナデザイン)の刊行など、磯崎の代表作のひとつである水戸芸術館を改めて考察、体験する企画も行なわれる。

 

磯崎新《カタール国立コンベンションセンター》2011年竣工、竣工写真、2011年、Photo: Hisao Suzuki
磯崎新《奈義町現代美術館》1994年竣工、1994年、水彩、H18×W17.1cm、©Estate of Arata Isozaki
磯崎新、スケッチ・ブックより《パルテノン神殿、アクロポリス》、2000年12月、水彩、H14×W19.5×D3 cm、©Estate of Arata Isozaki

 

関連プログラム
ゲストキュレーター・レクチャー 01:五十嵐太郎
2025年11月2日(日)14:00–15:30
講師:五十嵐太郎
会場:水戸芸術館 会議場
定員:80名(先着順)
参加費:無料
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5402.html

ゲストキュレーター・レクチャー 02:ケン・タダシ・オオシマ
2025年12月20日(土)14:00–15:30
講師:ケン・タダシ・オオシマ
会場:水戸芸術館 会議場
定員:80名(先着順)
参加費:無料
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5403.html

ゲストキュレーター・レクチャー 03:松井茂
2026年1月17日(土)14:00–15:30
講師:松井茂
会場:水戸芸術館 会議場
定員:80名(先着順)
参加費:無料
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5404.html

ドキュメンタリー映画『だれも知らない建築家のはなし』上映
2025年12月21日(日)13:00–14:13(ポストトーク:14:15–14:45)
ポストトーク:石山友美(映画監督)×伊東豊雄(建築家)
会場:水戸芸術館 ACM劇場
定員:150名(先着順)
参加費:無料(ただし、本展入場券もしくは半券の提示が必要)
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5405.html

だれも知らない構造のはなし
2026年1月11日(日)14:00–15:30
講師:金箱温春
会場:水戸芸術館 会議場
定員:80名(先着順)
参加費:無料
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5406.html

磯崎新研究会:群島のアルケオロジー
2026年1月18日(日)11:00–17:00
登壇者:石本華江(慶應義塾大学アート・センター土方巽アーカイヴ学芸員)、伊村靖子(国立新美術館主任研究員)、木原天彦(渋谷区立松濤美術館学芸員)、鯉沼晴悠(金沢工業大学五十嵐威暢アーカイブ学芸スタッフ)、服部真吏(編集者)
モデレーター:松井茂(本展ゲストキュレーター)
会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー ワークショップ室
参加費:無料(別途、本展入場料が必要)
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5407.html

水戸芸術館見学ツアー
平日|14:00–/16:00–
土日祝日|11:00–/14:00–/16:00–
所要時間:45分程度
料金:大人600円(本展入場料別途|サザコーヒー水戸芸術館店での1ドリンク付。当日限り有効)
こども(小中学生)500円(サザコーヒー水戸芸術館店での1ドリンク付。当日限り有効)
詳細および申込方法:https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5411.html

展覧会関連教育プログラム
赤ちゃんと一緒に美術館散歩
2025年11月21日(金)、11月22日(土)各日:10:30–12:00
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
定員:5組程度(要申込、先着順)
料金:保護者のみ1,500円、入場料減免対象の保護者1,000円(2人目からは通常入場料のみ)
申込開始:10月21日(火)
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5408.html

ウィークエンド・ギャラリートーク
2025年11月15日(土)より毎週土曜日 各日:14:30–(40分程度)
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
料金:無料(ただし、展覧会入場券が必要)
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5409.html

プレスクール プログラム
2025年12月3日(水)、12月4日(木)、12月9日(火)、12月10日(水)、12月11日(木)
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリーおよびワークショップ室
対象:幼稚園・保育園・こども園・託児施設等の年長クラス
料金:20名までは2,000円。それ以上は1名につき200円
募集数:10–15園程度
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5410.html

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