
企画展Ⅲ
熱気の向こうの白と黒-ビッグ錠と風間サチコ異食なふたり
2025年10月11日(土)–12月21日(日)
藤沢市アートスペース
https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/bunka/FAS/
開館時間:10:00–19:00 入場は閉館15分前まで
休館日:月(ただし月曜が祝日の場合は、翌火曜が休館)
展覧会担当:小林絵美子(藤沢市アートスペース学芸員)
展覧会URL:https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/bunka/FAS/exhibition/ex76/index.html
藤沢市アートスペースでは、グルメ漫画における画期的作品『包丁人味平』などで知られる藤沢市在住の漫画家、ビッグ錠と、黒一色のみの単色でありながら濃淡を駆使し、日本の現代社会を鋭く諷刺する版画作品で知られる風間サチコによる二人展「熱気の向こうの白と黒-ビッグ錠と風間サチコ異食なふたり」を開催する。
ビッグ錠(1939年大阪生まれ)は、高校2年の時に貸本漫画『バクダンくん』でデビュー。高校卒業後に上京して漫画家を目指すものの、一旦その道を諦めるが、1967年に再び上京して藤沢に居を構える。1971年には漫画原作者の牛次郎とのコンビで手がけた『釘師サブやん』が少年マガジンで連載される。1973年には後にグルメ漫画の基本フォーマットを築いたと称される『包丁人味平』を少年ジャンプで連載開始。以降現在に至るまで、仕事人、職人、グルメを題材とした漫画を描き続けている。藤沢市湘南台の駅地下道では、地域のために自身が企画した漫画イベントを開催。2025年8月には、藤沢市アートスペースにて「戦後80年記念事業「風のゴンタ」紙芝居特別展示、紙芝居朗読会」を開催し、1945年の太平洋戦争末期から戦後の暮らしを自身の幼少期に照らした『風のゴンタ』の紙芝居を展示し、自身の戦争体験を振り返った。
風間サチコ(1972年東京都生まれ)は、「現在」起きている現象の根源を「過去」に探り、「未来」に垂れこむ暗雲を予兆させる黒い木版画を中心に制作する。フィクションの世界を手がけながらも、制作に際しては古書を研究するなど取材を徹底し、現実や歴史の闇を掘りおこすことで、真実から嘘を抉り出し嘘から真実を描き出す。近年の主な展覧会に「第24回シドニー・ビエンナ ーレ」(ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館、2024)、「Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021受賞記念展:風間サチコ Magic Mountain」(東京都現代美術館、2021)、「風間サチコ-コンクリート組曲-」(黒部市美術館、富山、2019)など。


戦後80年の年に開かれる本展では、ビッグ錠と風間サチコのふたりの表現を通じて、高度経済成長期を振り返るとともに、両者の作品に描かれた戦争について考察する。展覧会は3章構成。第1章では、高度経済成長における熱気と、それによって見落とされがちな社会のひずみについて、ビッグ錠の『包丁人味平』、『釘師サブやん』、風間の《人外交差点》、《黒い花電車-僕の代(破沈狐)》などを通して振り返る。同じく高度成長期を扱う第2章では、インフラ整備の熱気の向こう側にある人々の営みやその代償を捉え、私たちが現在当然と考えている生活や、社会、経済システムを、ビッグ錠の『発電ドクター走る!』、『電気ロード見聞録』、風間の《クロベゴルト》シリーズ、《The 2nd sun island》などとともに再考する。そして、第3章では、ビッグ錠が幼少期の自分をモデルに戦後の子どもたちが力強く生きる姿を描いた漫画『風のゴンタ』や、風間が飼育していたドジョウをモデルに兵隊をシニカルに描いた『ドジョ戦記』から、ふたりがどのような視点から戦争を描いているのかを考察する。


関連イベント
ビッグ錠×風間サチコ アーティストトーク
2025年10月11日(土)14:00–
登壇者:ビッグ錠、風間サチコ
聞き手:藤沢市アートスペース学芸員
会場:藤沢市アートスペース
定員:30名(要予約)
申込方法等、詳細は下記URLを参照
https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/bunka/FAS/event/ev2025-9-3/index.html