
αMプロジェクト2025‒2026
立ち止まり振り返る、そして前を向く vol.3 百瀬文|ガイアの逃亡
2025年10月4日(土)-11月29日(土)
gallery αM
http://gallery-alpham.com/
開廊時間:12:30–19:00
休廊日:日、月、祝休
ゲストキュレーター:大槻晃実(芦屋市立美術博物館学芸員)
展覧会URL:https://gallery-alpham.com/exhibition/project_2025-2026/vol3/
gallery αMでは、芦屋市立美術博物館の大槻晃実をゲストキュレーターに迎えたαMプロジェクト2025‒2026「立ち止まり振り返る、そして前を向く」の3回目の展覧会として、百瀬文による個展「ガイアの逃亡」を開催する。
百瀬文(1988年東京都生まれ)は、映像やパフォーマンスを中心に、他者とのコミュニケーションの複層性や、個人の身体と国家の関係性を再考する作品を制作する。映像に映る身体の問題を扱いながら、セクシュアリティやジェンダーへの問いを深めている。近年はアジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)の助成を受け、ニューヨークで滞在制作をするなど国内外で活動を行なう。2013年に武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。主な個展に「百瀬文 口を寄せる」(十和田市現代美術館、青森、2022)、「I.C.A.N.S.E.E.Y.O.U」(EFAG East Factory Art Gallery、東京、2020)、主なグループ展に、国際芸術祭「あいち2022」、「フェミニズムズ / FEMINISMS」(金沢21世紀美術館、石川、2021)、「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」(森美術館、東京、2016)などがある。

百瀬はこれまで、映像を通じて「見る/見られる」「語る/語れない」といった不均衡を可視化し、フェミニズム理論を基盤に神話や歴史的規範を批判的に読み替えてきた。本展では、南フランスでのワークショップの記録映像とモーションキャプチャーによる3DCGを交差させ、ギリシャ神話の地母神ガイアを、語る力を奪われ動くことを諦めた女性として描く新作《ガイアの逃亡》を発表する。映像では、ワークショップの参加者3名が宮地尚子『環状島=トラウマの地政学』の一節を朗読し、百瀬の身体を「島」と見立てながら応答を試みる。やがてその身体は海に横たわる大地のイメージへと変容し、動けない女性たちの象徴として現れる身体は、わずかな震えや呼吸を通じて感情の共鳴を呼び起こしていく。自然と女性を重ねるステレオタイプの批判や土地と女性に向けられる暴力の共通性を浮かび上がらせるとともに、個の経験を超えて人類史的な記憶と倫理へ視線を広げ、鑑賞者に大地への共感と同時に、自らが歴史の継承者である事実に向き合うことを促す。
関連イベント
アーティストトーク
2025年11月25日(火)13:00–15:00
受付:gallery αM
登壇:百瀬文、大槻晃実