CAF・レジデンシー・プログラム2025の採択者が決定

 

2025年7月18日、現代芸術振興財団は、現代芸術にかかわるアーティストを対象とした「CAF・レジデンシー・プログラム 2025」の助成対象者に、中島伽耶子と原田裕規の2名を選出したと発表した。

CAF・レジデンシー・プログラムは、次なる世代の柱となる才能あるアーティストを選抜し、国際的に活躍するきっかけの提供を目的とした助成事業。選考委員によって選ばれた2名には、アメリカNYのブルックリン実験アート財団(BEAF)での3カ月にわたる滞在研究の機会が与えられる。第1回となる今回の選考委員は、野村しのぶ(東京オペラシティアートギャラリー シニア・キュレーター)、吉竹美香(インディペンデント・キュレーター)、斯波雅子(ブルックリン実験アート財団(BEAF)共同創設者・エグゼクティブ・ディレクター)の3名が務めた。選考に際し、中島は「壁」や「境界」をテーマにした表現が国際的な社会課題と強く結びついている点、原田は繊細な視覚表現と歴史・人種問題への洞察力が評価された。両者がアメリカという多層的な社会でどう揺さぶられ、どのように変容を遂げるかが期待される。

 

中島伽耶子
原田裕規 Photo: Kaori Nishida

 

中島伽耶子(1990年京都府生まれ)は、物事を隔てる境界や壁をモチーフに、コミュニケーションの非対称性やズレをテーマに作品を制作している。積極的に作品の中に変化を取り入れ、空間と作品とが一体となる大規模なインスタレーション作品を展開している。2020年に東京藝術大学美術研究科博士後期課程を修了。主な展覧会に、「あ、共感とかじゃなくて。」(東京都現代美術館、2023)、東京ビエンナーレ2023、第15回Shiseido art egg 中島伽耶子展「Hedgehogs」(資生堂ギャラリー、東京、2021)、奥能登国際芸術祭2020+、瀬戸内国際芸術祭2016など。

原田裕規(1989年山口県生まれ)は、とるにたらない視覚文化をモチーフに、テクノロジーやパフォーマンスを用いて作品を制作している。2019年以降は断続的にハワイに滞在し、ピジン英語に代表されるトランスナショナルな文化に着目している。2016年に東京藝術大学大学院美術研究科修士課程先端芸術表現専攻を修了。主な個展に「原田裕規:ホーム・ポート」(広島市現代美術館、2024-2025)、「やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす」(日本ハワイ移民資料館、山口、2023)、「Unreal Ecology」(京都芸術センター、2022)、「アペルト14 原田裕規 Waiting for」(金沢21世紀美術館、石川、2021)、「写真の壁:Photography Wall」(原爆の図 丸木美術館、埼玉、2019)など。単著に『評伝クリスチャン・ラッセン』(中央公論新社、2023)、『とるにたらない美術』(ケンエレブックス、2023)がある。

現代芸術振興財団:https://gendai-art.org/

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