 
2018年9月6日、韓国を代表する国際展のひとつであるソウル・メディアシティ・ビエンナーレが開幕する。
同ビエンナーレは記念すべき10度目の開催に際し、名称を改めるだけでなく、これまでのディレクター指名制からソウル市立美術館の学芸部門と連携した共同キュレーション制を採用し、韓国国内のアートや科学の幅広い分野の専門家からなる「Collective」によって、重層的な知のプラットフォームとしてのビエンナーレを確立し、国際的な文化的目的地を目指していく。ダンス批評家のキム・ナムス、インディペンデント・キュレーターのキム・ジャンウン、The Book Societyのディレクターのイム・キョンヨン、グローバル政治経済研究所ディレクターのホン・ギビンといったソウル市立美術館の推薦に基づいて選ばれた「Collective」のメンバーを中心に、昨年よりオープン・ディスカッションやオープン・レクチャーを開くなど、異分野間での交流を活性化し、専門的な知識や技術の共有やネットワークの拡張を推し進めている。
 Kyung Ae RO Combining Placing + (2016) Platform-L Contemporary Art Center
Kyung Ae RO Combining Placing + (2016) Platform-L Contemporary Art Center
このような体制の下、ソウル・メディアシティ・ビエンナーレは、不安や不確実性が広がる今日の社会、あるいは世界金融危機以降のニュー・ノーマルな社会において、「Eu Zên(よく生きる)」とは何かを探求していく。また、エルンスト・ブロッホの「Noch Nicht(未だ-ない)」を引用しつつ、未だないものを目に見えるように変換するアートの社会的役割へ期待を寄せ、ビエンナーレあるいは美術館を、アーティストに限らず、アクティヴィストやプランナー、研究者などの多様な実践が交差する場所へと開いていく。参加者リストには、mixriceやエヴァ&フランコ・マッテス、クリティカル・アート・アンサンブル、アドバスターズ、ソウル市内で展覧会企画や出版などを行なうGallery Factory、アートとデザインを使って都市生活の問題にアプローチするコレクティブ「Listen to the City」、グリーンピース東アジア(ソウル事務所)などの名前が並ぶ。
 Disabled Women’s Theatre Group Dancing Waist (2017) ©︎Disabled Women’s Theatre Group, Dancing Waist
Disabled Women’s Theatre Group Dancing Waist (2017) ©︎Disabled Women’s Theatre Group, Dancing Waist
 Treasure Island Collective Treasure Island (2016) Gyeonggi Creation Center
Treasure Island Collective Treasure Island (2016) Gyeonggi Creation Center
 Critical Art Ensemble and YoHa Graveyard of Lost Species, Leigh-On-Sea (2016) Commissioned by Arts Catalyst. ©︎Critical Art Ensemble
Critical Art Ensemble and YoHa Graveyard of Lost Species, Leigh-On-Sea (2016) Commissioned by Arts Catalyst. ©︎Critical Art Ensemble
ソウル・メディアシティ・ビエンナーレ2018
「Eu Zên」
2018年9月6日(木)-11月18日(日)
http://mediacityseoul.kr/
会場:ソウル市立美術館(西小門本館)
第9回(2016)|ペク・ジスク
「NERIRI KIRURU HARARA」
第8回(2014)|パク・チャンキョン
「Ghosts, Spies, Grandmothers」
第7回(2012)|ユ・ジンサン
「Spell on You」
※共同キュレーターのひとりとして四方幸子が参加
第6回(2010)|キム・ソンジョン
「Trust」
※共同キュレーターのひとりとして住友文彦が参加
第5回(2008)|パク・イルホ
「Turn and Widen」
※共同キュレーターのひとりとして松本透が参加
第4回(2006)|リー・ウォンイル
「Dual Realities」
※共同キュレーターのひとりとして長谷川祐子が参加
第3回(2004)|ユン・チンソプ
「Digital Homo Ludens」
第2回(2002)|リー・ウォンイル
「Luner’s Flow」
※共同キュレーターのひとりとして東谷隆司が参加
第1回(2000)|ソン・ミスク
「City: between 0 and 1」
