2014年5月12日、ロンドンのフォトグラファーズ・ギャラリーは国際的に知られる写真賞のひとつであるドイツ証券取引所写真賞をリチャード・モスが受賞した旨を発表した。モスには賞金30,000ポンド(約517万円)が与えられる。
リチャード・モスは1980年キルケニー(アイルランド)生まれ。ニューヨークを拠点に、世界各地の紛争地や被災地を訪れ、アートとフォトジャーナリズムの両手法を用いたアプローチで制作を行なう。コンゴ民主共和国(旧ザイール)を中心に90年代半ばに勃発し、今なお継続する紛争を、コダック・エアロクローム(赤外線フィルム)で記録した「INFRA」プロジェクトに取り組み、2011年に発表する。今回、選考対象となった「The Enclave」は同プロジェクトを展開したもので南北キブ州の紛争を、16ミリのコダック・エアロクロームで撮影した作品で、昨年の第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ・アイルランド館にて発表された。
同賞は96年に創設され、今回で18回目を迎える。モスのほか、アルベルト・ガルシア=アリックスが写真集『Autorretrato/Self-Portrait』(ラファブリカ・エディトリアル、2013)、ヨッヘン・レンパートがハンブルガー・クンストハレでの個展、ローナ・シンプソンがパリのジュ・ド・ポーム国立美術館での回顧展で最終候補となっていた。同ギャラリーのブレット・ロジャーズ(投票権はなし)が審査委員長、アーティストのイトカ・ハンズロヴァ、キュレーターのケイト・ブッシュ、ヴィンタートゥール写真美術館ディレクターのトーマス・ゼーリヒ、ドイツ証券取引所アートコレクションのキュレーターのアンネ=マリー・ベックマンの5名が審査員を務めた。なお、同ギャラリーでは4月11日より最終候補4名の作品の展示が行なわれている。
The Photographers’ Gallery:http://www.photonet.org.uk/