JACK GOLDSTEIN "Jack Goldstein"展
ラットホールギャラリーでは2012年1月25日より3月25日まで、ジャック・ゴールドスタイン(1945-2003)の展覧会を開催いたします。
1970年代後期から80年代初期にかけてのゴールドスタインのパフォーマンス、フィルム作品、ペインティング、音響作品は、ポストモダニズム美術の初期段階を決定づける役割を果たしました。シェリー・レヴィン、ロバート・ロンゴ、リチャード・プリンスら、表象批判に主眼を置く美術へとパラダイムシフトをもたらした「ピクチャー・ジェネレーションPicture Generation」の一人として、彼の作品はいまだ多くのアーティストに多大な影響を与えています。本展は、ジャック・ゴールドスタインの作品を日本で目にするはじめての機会となります。
ジャック・ゴールドスタインは1945年にカナダ・モントリオールに生まれ、カリフォルニア芸術大学でジョン・バルデッサリのもとで学びました。ゴールドスタインは、キャリア初期にミニマリズム彫刻をいくつか制作した後まもなく、パフォーマンスやフィルムへと作品形態を移行します。
1973年からは、ロサンゼルスに住んでいたこともあり、映画などの娯楽産業やコマーシャルフィルムのプロの技術者や特殊効果を利用して、カラーフィルム作品を制作し始めました。アートフィルムというよりも時にコマーシャルフィルムに近いイメージの表象構造や鑑賞者の立ち位置を突き崩すようなそのスペクタクル性は、けばけばしい色彩とあいまって、メディアや観客に多くの問いを投げかけており、ポップカルチャーやハリウッド・イメージへの作家の強い関心を読み取ることもできます。
今回展示される作品のなかでも、赤く塗装された壁面に投影される26秒ループのフィルム作品、The Jump(1978)は昨年のヴェネチア・ヴィエンナーレの企画展で上映されるなど、近年最も知られた作品です。レニ・リーフェンシュタールのオリンピックドキュメンタリーを基にして制作された本作は、アニメーション技術に由来するロトスコープで撮影され、ほぼ光だけで構成されており、イメージから参照項を取り去る顕著な例となっています。
1976年には、商業アーカイブに音源をもつ、Burning ForestやTwo Wrestling Catsと題した、強烈な映像を想起させる色付きビニール・レコード作品を発表しました。フィルム作品よりはるかに抽象性を増したこれら音響作品は、再生できない状態で壁面展示される「イメージ」としても企図されています。「レコード、それはイメージとして音を出す。だから私はそれらを映像picturesとして見るのです」と作家自らが言うように、ゴールドスタインはサウンド・メディアそしてビジュアル・メディアの両面においてレコード作品を捉えています。
彼の作品の中核である、1970年代につくられたフィルム作品とレコード作品は、同時代のポスト・コンセプチュアルアートの最たるものとして捉えることができます。本展では、ジャック・ゴールドスタインのレコード作品の展示と、The Jump、MGM、Some Butterfliesを含む、16mmショートフィルム10作品を上映いたします。
1970年代後期から80年代初期にかけてのゴールドスタインのパフォーマンス、フィルム作品、ペインティング、音響作品は、ポストモダニズム美術の初期段階を決定づける役割を果たしました。シェリー・レヴィン、ロバート・ロンゴ、リチャード・プリンスら、表象批判に主眼を置く美術へとパラダイムシフトをもたらした「ピクチャー・ジェネレーションPicture Generation」の一人として、彼の作品はいまだ多くのアーティストに多大な影響を与えています。本展は、ジャック・ゴールドスタインの作品を日本で目にするはじめての機会となります。
ジャック・ゴールドスタインは1945年にカナダ・モントリオールに生まれ、カリフォルニア芸術大学でジョン・バルデッサリのもとで学びました。ゴールドスタインは、キャリア初期にミニマリズム彫刻をいくつか制作した後まもなく、パフォーマンスやフィルムへと作品形態を移行します。
1973年からは、ロサンゼルスに住んでいたこともあり、映画などの娯楽産業やコマーシャルフィルムのプロの技術者や特殊効果を利用して、カラーフィルム作品を制作し始めました。アートフィルムというよりも時にコマーシャルフィルムに近いイメージの表象構造や鑑賞者の立ち位置を突き崩すようなそのスペクタクル性は、けばけばしい色彩とあいまって、メディアや観客に多くの問いを投げかけており、ポップカルチャーやハリウッド・イメージへの作家の強い関心を読み取ることもできます。
今回展示される作品のなかでも、赤く塗装された壁面に投影される26秒ループのフィルム作品、The Jump(1978)は昨年のヴェネチア・ヴィエンナーレの企画展で上映されるなど、近年最も知られた作品です。レニ・リーフェンシュタールのオリンピックドキュメンタリーを基にして制作された本作は、アニメーション技術に由来するロトスコープで撮影され、ほぼ光だけで構成されており、イメージから参照項を取り去る顕著な例となっています。
1976年には、商業アーカイブに音源をもつ、Burning ForestやTwo Wrestling Catsと題した、強烈な映像を想起させる色付きビニール・レコード作品を発表しました。フィルム作品よりはるかに抽象性を増したこれら音響作品は、再生できない状態で壁面展示される「イメージ」としても企図されています。「レコード、それはイメージとして音を出す。だから私はそれらを映像picturesとして見るのです」と作家自らが言うように、ゴールドスタインはサウンド・メディアそしてビジュアル・メディアの両面においてレコード作品を捉えています。
彼の作品の中核である、1970年代につくられたフィルム作品とレコード作品は、同時代のポスト・コンセプチュアルアートの最たるものとして捉えることができます。本展では、ジャック・ゴールドスタインのレコード作品の展示と、The Jump、MGM、Some Butterfliesを含む、16mmショートフィルム10作品を上映いたします。
テア・ジョルジャッツェ展 「Thea Djordjadze」
ラットホールギャラリーは、2011年10月28日(金)より2012年1月22日(日)まで、ベルリンを拠点に活動するグルジア人アーティスト、テア・ジョルジャッツェの新作展を開催いたします。ジョルジャッツェはギャラリー内で滞在制作し、ドローイングと立体作品のインスタレーションを発表いたします。本展は、ジョルジャッツェの作品を日本で初めて見ることのできる機会となります。
1971年、トビリシ(グルジア)生まれのジョルジャッツェは、空間において形やオブジェと戯れつつ、その直観的な過程から展開される彫刻的なインスタレーションで知られています。ジョルジャッツェは、石膏やボール紙から、ガラス、木、金属、コンクリート、リノリウムやフォームラバーに至るまでの幅広い物質を用いて、機能性、装飾性、抽象性の間を行き来する、不定形な構造体を制作しています。同時に、椅子、机、ベッド、棚といった家具の断片にも見える構造体は、カーペット、写真、あるいはランプといったファウンド・オブジェクトと組み合わせられることにより、より強調された印象を与えます。これらの作品はサイト・スペシフィックなインスタレーションで一緒に展示され、そうした物のまわりで私たちがどのように振る舞っているか、またそうした物が私たちをどのように振る舞わせているか、鑑賞者に気づきや反省を促すきっかけをつくり、身体とハビトゥス(習慣的行動様式)の間に期待されるべき関係がもはや成り立たないような、不気味で希薄な家庭の空間を呼び起こすことでしょう。
画家としての教育を受けたジョルジャッツェは「形式、テクスチュア、奥行き、色彩のコンポジションとして自らのインスタレーションに取り組んでいる」と語っています。彼女の作品は何かを表象しているわけでも、美術やデザインの歴史的原型への言及が意図されているわけでもありません。彼女は青年期に、1920・30年代、彼女の故郷、トビリシで発展した構成主義建築に魅了され、その後、映画・文学・建築へ深い関心を持ち、作品を展開しています。ただし、そうして参照したものは、ときおり作品に表面化し、瞬間的に方向感覚を与え、すぐに一般的な知識や象徴的表現という短絡的な安心感を超えたものへと変化します。このようにして彼女の作品は、物質世界の生成過程、そして芸術的実験の創造過程において絶えず起こる、記憶と忘却の間に巻き起こる緊張関係を喚起します。
ジョルジャッツェはアートアカデミー・トビリシ、ヘリット・リートフェルト・アカデミー(アムステルダム)、そしてデュッセルドルフ美術大学ではディーター・クリーグとローズマリー・トロッケルのもとで学んでいます。また1999年から2003年まで、デュッセルドルフを拠点に領域横断的に活動するグループ、hobbypopMUSEUMの一員として活動しています。近年では、多くの美術館で個展を開催するとともに、ベルリン・ビエンナーレやリヨン・ビエンナーレ、ヴェネチア・ビエンナーレといった国際展にも参加しています。
2011年10月28日(金)-2012年1月22日(日) 月曜及び12/26-1/5休
12:00-20:00





Photos: ©Thea Djordjadze, APG-JAA
Courtesy of Sprüth Magers Berlin London/Rat Hole Gallery
1971年、トビリシ(グルジア)生まれのジョルジャッツェは、空間において形やオブジェと戯れつつ、その直観的な過程から展開される彫刻的なインスタレーションで知られています。ジョルジャッツェは、石膏やボール紙から、ガラス、木、金属、コンクリート、リノリウムやフォームラバーに至るまでの幅広い物質を用いて、機能性、装飾性、抽象性の間を行き来する、不定形な構造体を制作しています。同時に、椅子、机、ベッド、棚といった家具の断片にも見える構造体は、カーペット、写真、あるいはランプといったファウンド・オブジェクトと組み合わせられることにより、より強調された印象を与えます。これらの作品はサイト・スペシフィックなインスタレーションで一緒に展示され、そうした物のまわりで私たちがどのように振る舞っているか、またそうした物が私たちをどのように振る舞わせているか、鑑賞者に気づきや反省を促すきっかけをつくり、身体とハビトゥス(習慣的行動様式)の間に期待されるべき関係がもはや成り立たないような、不気味で希薄な家庭の空間を呼び起こすことでしょう。
画家としての教育を受けたジョルジャッツェは「形式、テクスチュア、奥行き、色彩のコンポジションとして自らのインスタレーションに取り組んでいる」と語っています。彼女の作品は何かを表象しているわけでも、美術やデザインの歴史的原型への言及が意図されているわけでもありません。彼女は青年期に、1920・30年代、彼女の故郷、トビリシで発展した構成主義建築に魅了され、その後、映画・文学・建築へ深い関心を持ち、作品を展開しています。ただし、そうして参照したものは、ときおり作品に表面化し、瞬間的に方向感覚を与え、すぐに一般的な知識や象徴的表現という短絡的な安心感を超えたものへと変化します。このようにして彼女の作品は、物質世界の生成過程、そして芸術的実験の創造過程において絶えず起こる、記憶と忘却の間に巻き起こる緊張関係を喚起します。
ジョルジャッツェはアートアカデミー・トビリシ、ヘリット・リートフェルト・アカデミー(アムステルダム)、そしてデュッセルドルフ美術大学ではディーター・クリーグとローズマリー・トロッケルのもとで学んでいます。また1999年から2003年まで、デュッセルドルフを拠点に領域横断的に活動するグループ、hobbypopMUSEUMの一員として活動しています。近年では、多くの美術館で個展を開催するとともに、ベルリン・ビエンナーレやリヨン・ビエンナーレ、ヴェネチア・ビエンナーレといった国際展にも参加しています。
2011年10月28日(金)-2012年1月22日(日) 月曜及び12/26-1/5休
12:00-20:00
Photos: ©Thea Djordjadze, APG-JAA
Courtesy of Sprüth Magers Berlin London/Rat Hole Gallery
荒木経惟展 「彼岸」 2011年7月22日(金)-9月25日(日)
ラットホールギャラリーは2011年7月22日(金)より9月25日(日)まで、荒木経惟展「彼岸」を開催いたします。当ギャラリーで6回目の個展となる本展では、東京の街をタクシーの窓越しに撮影したモノクロ作品、東北地方太平洋沖地震直後に撮影されたカラー作品、花を怪獣のフィギュアとともに撮影した作品「楽園」など、約450点の最新作を展示いたします。
壁面にグリッド状に展開される約400点のキャビネ判の写真は、荒木が前立腺癌の治療を受けながら、記録的猛暑となった2010年夏の東京をタクシーの窓越しに撮影したものです。これまでも荒木は、「クルマド」シリーズとして同様の撮影を長年続けてきましたが、本展の写真は200mm望遠レンズで撮影されており、街の日常的な光景に「喪失感」を重ねながら、彼岸を見つめるかのように、あるいは彼岸から見つめるかのように、荒木は様々な人々の姿かたちにレンズを向けています。
震災後に撮影され始めた作品が約40点、そして「楽園」シリーズの大型プリントは10点展示されます。「現世そのものが彼岸。つまり、写真のすべてが彼岸なんだ」と、3月11日以来しきりに口にする荒木にとって、両作品は大地震以降の自らの写真のあり方を示すものとなっています。色鮮やかで情熱的な花と自宅のバルコニーに住む怪獣のフィギュアや人形が登場する作品には、「彼岸の中にも楽園がある」と語る荒木ならではの生死観の現れを見てとることもできるでしょう。
本展の写真はすべて、長年連れ添った愛猫チロが死を迎えた昨春以降に撮影されており、それぞれの写真には、失った時間(とき)に対する荒木のさまざまな想いが染みわたっています。つねに「生の中の死」を敏感に感じとりながらも、生の喜びやノスタルジーを写真に見出そうとする荒木経惟が本展で物語ろうとしているのは、センチメンタルな「彼岸」の世界だと言えるでしょう。
展覧会に合わせまして、ラットホールギャラリーより写真集『彼岸』を刊行いたします。
荒木経惟写真集 『彼岸』
2011年7月22日(金)発売 200ページ 5,250円(税込)予定
発行: RAT HOLE GALLERY
RAT HOLE GALLERY
107-0062 東京都港区南青山5-5-3 B1
TEL: 03-6419-3581 FAX: 03-6419-3583
www.ratholegallery.com
壁面にグリッド状に展開される約400点のキャビネ判の写真は、荒木が前立腺癌の治療を受けながら、記録的猛暑となった2010年夏の東京をタクシーの窓越しに撮影したものです。これまでも荒木は、「クルマド」シリーズとして同様の撮影を長年続けてきましたが、本展の写真は200mm望遠レンズで撮影されており、街の日常的な光景に「喪失感」を重ねながら、彼岸を見つめるかのように、あるいは彼岸から見つめるかのように、荒木は様々な人々の姿かたちにレンズを向けています。
震災後に撮影され始めた作品が約40点、そして「楽園」シリーズの大型プリントは10点展示されます。「現世そのものが彼岸。つまり、写真のすべてが彼岸なんだ」と、3月11日以来しきりに口にする荒木にとって、両作品は大地震以降の自らの写真のあり方を示すものとなっています。色鮮やかで情熱的な花と自宅のバルコニーに住む怪獣のフィギュアや人形が登場する作品には、「彼岸の中にも楽園がある」と語る荒木ならではの生死観の現れを見てとることもできるでしょう。
本展の写真はすべて、長年連れ添った愛猫チロが死を迎えた昨春以降に撮影されており、それぞれの写真には、失った時間(とき)に対する荒木のさまざまな想いが染みわたっています。つねに「生の中の死」を敏感に感じとりながらも、生の喜びやノスタルジーを写真に見出そうとする荒木経惟が本展で物語ろうとしているのは、センチメンタルな「彼岸」の世界だと言えるでしょう。
展覧会に合わせまして、ラットホールギャラリーより写真集『彼岸』を刊行いたします。
荒木経惟写真集 『彼岸』
2011年7月22日(金)発売 200ページ 5,250円(税込)予定
発行: RAT HOLE GALLERY
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Installation views: チェイニー・トンプソン展 「Chronochromes, Data, Motifs」
current exhibition






チェイニー・トンプソン展 「Chronochromes, Data, Motifs」
2011年3月11日-6月12日 ※会期を延長致しました
12:00 - 20:00(月休)
RAT HOLE GALLERY
http://www.ratholegallery.com/
チェイニー・トンプソン展 「Chronochromes, Data, Motifs」
2011年3月11日-6月12日 ※会期を延長致しました
12:00 - 20:00(月休)
RAT HOLE GALLERY
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会期延長のお知らせ
開催中のチェイニー・トンプソン展 「Chronochromes, Data, Motifs」は、
当初5月15日までの予定でしたが、より多くの方にご覧いただきたく、6月12日まで会期を延長することに致しました。この機会にぜひご覧ください。
チェイニー・トンプソン展 「Chronochromes, Data, Motifs」
2011年3月11日-6月12日
12:00 - 20:00(月休)
RAT HOLE GALLERY
当初5月15日までの予定でしたが、より多くの方にご覧いただきたく、6月12日まで会期を延長することに致しました。この機会にぜひご覧ください。
チェイニー・トンプソン展 「Chronochromes, Data, Motifs」
2011年3月11日-6月12日
12:00 - 20:00(月休)
RAT HOLE GALLERY
Current: チェイニー・トンプソン展 「Chronochromes, Data, Motifs」
Current Exhibition
チェイニー・トンプソン展 「Chronochromes, Data, Motifs」
2011年3月11日-5月15日
12:00 - 20:00(月休)
RAT HOLE GALLERY

ラットホールギャラリーでは、2011年3月11日(金)より5月15日(日)まで、チェイニー・トンプソンの新作展「Chronochromes, Data, Motifs」を開催いたします。トンプソンの個展は、今回が日本で初めてとなります。本展は、絵画作品、台座をテーマにした立体作品、レーザーカットされたグワッシュ、インク・ドローイングの4つの異なるシリーズから構成されます。
チェイニー・トンプソンは1975年にアメリカ、ルイジアナ州バトン・ルージュで生まれ、現在ニューヨークを拠点に活動しています。作品形態には絵画だけでなく、立体作品など他の素材やテクニックが含まれるものの、一貫して絵画の歴史・慣習・流通への問いを含んだ作品を制作しています。そこでは、色彩や主題といった作品自体に対する問いのみならず、美術作品の社会経済的なあり方に至るまで、絵画制作における前提条件がことごとく問い直されています。
マンセル表色系[*]を用いたトンプソンの抽象画では、作品制作に費やされた時間そのものがカンヴァス上の色彩となって記録されています。日ごとに非対称な色相のペアを作り、時間ごとにその明度を、月ごとにその彩度を変化させて、正午は真っ白、真夜中は真っ黒といった具合に、制作した時間を描き分けています。モチーフになっているのは、支持体であるカンヴァス自体のテクスチャーをデジタルスキャンで拡大したものです。精緻なブラシストロークで描かれた粒状のパターンは、微かな変化を伴いながらも反復的な動きを続けることにより、ルーティンを生み出す「時間」という概念を視覚化しているようにも見えます。そこには、滑らかな階調をシステマティックに形づくる可能性が秘められていながらも、実際には作家自身の疲労や制作の中断によって階調の断絶が起こっており、作家の身体の「痕跡」が現れています。トンプソンによれば、「絵画はここにおいて、ある種の賃労働と等しいものであり、時間それ自体、つまり人生は数えられる単位からなる不連続なまとまりとなり、絵画という支持体の内に描き込まれているのです。しかし絵はもちろん、それが意図した以上のことをつねに語ります。それゆえ、たとえ絵画が高度な論理的思考の結果だとしても、労働する身体に根を有した、ある種の欲望を描いているように思われるのです。」作家が「クロノクローム(chronochromes)」と呼ぶ本展の絵画作品は、カンヴァスの高さはすべて同じですが、それぞれの幅は異なっており、画面を絵画の本質と見なす慣習を回避しようとする作家の意図を見てとることができます。
従来とは異なるところに絵画の起点を見出し、体系立った制作方法をとるトンプソンの姿勢は、本展の他の作品にも共通しています。台座をテーマにした立体作品は、MDF板でさまざまな形につくられており、台座の上には展覧会の内容に関連した人工物・印刷物・資料が置かれています。トンプソンは自分にとってそうした書類を見せるために必要な台座の面積は4,624平方インチ(29,832平方センチ)であることを発見しました。そこで、台座のすべての表面積をそのサイズに統一にし、異なった形であっても位相が同じ台座をつくることで、台座の概念の拡張を試みているのです。彫刻を支えるための台座は一般的にはその垂直性が目立つことが多いですが、位相幾何学的には水平的にもなりえます。そう変化させることで、「台座」を象徴する能力を増殖しながらも、作品やオブジェを支えるための機能を保持しつづけるのです。
レーザーカットされたグワッシュやインク・ドローイングでは、トンプソンが関心を寄せるモチーフや資料が起点となっています。頻繁に用いられるモチーフには、人名の頭文字、扇風機の羽根、割礼された生殖器の図像、グリッド、ベジェ曲線で描かれた花模様などがあります。グラフィックサインのようなグワッシュは、複雑にレーザーカットされたアルミ板に貼り付けられ、インク・ドローイングでは、19世紀フランスの書体の習得過程がそのまま作品化されています。
本展の4つの異なるシリーズはそれぞれ、作品を構成するにあたって二次的と見なされがちな要素が、逆に作品を支える役割を担っていることを明らかにしています。主題、制作プロセス、展示および流通といった絵画にまつわるあらゆることへの関心から絵画の領域を探究するトンプソンの作品は、「絵画」の境界線をめぐる問いを観者に投げかけることでしょう。
*マンセル表色系:アメリカの画家アルバート・マンセル(1858-1918)が考案した、色相・彩度・明度の3属性を使って色を定量的に記述する方法。
RAT HOLE GALLERY
107-0062 東京都港区南青山5-5-3 B1
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チェイニー・トンプソン展 「Chronochromes, Data, Motifs」
2011年3月11日-5月15日
12:00 - 20:00(月休)
RAT HOLE GALLERY
ラットホールギャラリーでは、2011年3月11日(金)より5月15日(日)まで、チェイニー・トンプソンの新作展「Chronochromes, Data, Motifs」を開催いたします。トンプソンの個展は、今回が日本で初めてとなります。本展は、絵画作品、台座をテーマにした立体作品、レーザーカットされたグワッシュ、インク・ドローイングの4つの異なるシリーズから構成されます。
チェイニー・トンプソンは1975年にアメリカ、ルイジアナ州バトン・ルージュで生まれ、現在ニューヨークを拠点に活動しています。作品形態には絵画だけでなく、立体作品など他の素材やテクニックが含まれるものの、一貫して絵画の歴史・慣習・流通への問いを含んだ作品を制作しています。そこでは、色彩や主題といった作品自体に対する問いのみならず、美術作品の社会経済的なあり方に至るまで、絵画制作における前提条件がことごとく問い直されています。
マンセル表色系[*]を用いたトンプソンの抽象画では、作品制作に費やされた時間そのものがカンヴァス上の色彩となって記録されています。日ごとに非対称な色相のペアを作り、時間ごとにその明度を、月ごとにその彩度を変化させて、正午は真っ白、真夜中は真っ黒といった具合に、制作した時間を描き分けています。モチーフになっているのは、支持体であるカンヴァス自体のテクスチャーをデジタルスキャンで拡大したものです。精緻なブラシストロークで描かれた粒状のパターンは、微かな変化を伴いながらも反復的な動きを続けることにより、ルーティンを生み出す「時間」という概念を視覚化しているようにも見えます。そこには、滑らかな階調をシステマティックに形づくる可能性が秘められていながらも、実際には作家自身の疲労や制作の中断によって階調の断絶が起こっており、作家の身体の「痕跡」が現れています。トンプソンによれば、「絵画はここにおいて、ある種の賃労働と等しいものであり、時間それ自体、つまり人生は数えられる単位からなる不連続なまとまりとなり、絵画という支持体の内に描き込まれているのです。しかし絵はもちろん、それが意図した以上のことをつねに語ります。それゆえ、たとえ絵画が高度な論理的思考の結果だとしても、労働する身体に根を有した、ある種の欲望を描いているように思われるのです。」作家が「クロノクローム(chronochromes)」と呼ぶ本展の絵画作品は、カンヴァスの高さはすべて同じですが、それぞれの幅は異なっており、画面を絵画の本質と見なす慣習を回避しようとする作家の意図を見てとることができます。
従来とは異なるところに絵画の起点を見出し、体系立った制作方法をとるトンプソンの姿勢は、本展の他の作品にも共通しています。台座をテーマにした立体作品は、MDF板でさまざまな形につくられており、台座の上には展覧会の内容に関連した人工物・印刷物・資料が置かれています。トンプソンは自分にとってそうした書類を見せるために必要な台座の面積は4,624平方インチ(29,832平方センチ)であることを発見しました。そこで、台座のすべての表面積をそのサイズに統一にし、異なった形であっても位相が同じ台座をつくることで、台座の概念の拡張を試みているのです。彫刻を支えるための台座は一般的にはその垂直性が目立つことが多いですが、位相幾何学的には水平的にもなりえます。そう変化させることで、「台座」を象徴する能力を増殖しながらも、作品やオブジェを支えるための機能を保持しつづけるのです。
レーザーカットされたグワッシュやインク・ドローイングでは、トンプソンが関心を寄せるモチーフや資料が起点となっています。頻繁に用いられるモチーフには、人名の頭文字、扇風機の羽根、割礼された生殖器の図像、グリッド、ベジェ曲線で描かれた花模様などがあります。グラフィックサインのようなグワッシュは、複雑にレーザーカットされたアルミ板に貼り付けられ、インク・ドローイングでは、19世紀フランスの書体の習得過程がそのまま作品化されています。
本展の4つの異なるシリーズはそれぞれ、作品を構成するにあたって二次的と見なされがちな要素が、逆に作品を支える役割を担っていることを明らかにしています。主題、制作プロセス、展示および流通といった絵画にまつわるあらゆることへの関心から絵画の領域を探究するトンプソンの作品は、「絵画」の境界線をめぐる問いを観者に投げかけることでしょう。
*マンセル表色系:アメリカの画家アルバート・マンセル(1858-1918)が考案した、色相・彩度・明度の3属性を使って色を定量的に記述する方法。
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107-0062 東京都港区南青山5-5-3 B1
TEL: 03-6419-3581 FAX: 03-6419-3583
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[明日まで]Installation views: Sex Booze Weed Speed
current exhibition







[明日まで]
オスカー・トゥアゾン&ガーダー・アイダ・アイナーソン
Oscar Tuazon & Gardar Eide Einarsson
Sex Booze Weed Speed
17 DEC 2010 – 20 FEB 2011
12:00 - 20:00 (月曜日)
RAT HOLE GALLERY
http://www.ratholegallery.com/
[明日まで]
オスカー・トゥアゾン&ガーダー・アイダ・アイナーソン
Oscar Tuazon & Gardar Eide Einarsson
Sex Booze Weed Speed
17 DEC 2010 – 20 FEB 2011
12:00 - 20:00 (月曜日)
RAT HOLE GALLERY
http://www.ratholegallery.com/
新刊:『Sex Booze Weed Speed』
new!

開催中の展覧会「Sex Booze Weed Speed」の同名作品集が完成致しました。
『Sex Booze Weed Speed』
ガーダー・アイダ・アイナーソン&オスカー・トゥアゾン
Gardar Eide Einarsson & Oscar Tuazon
2011年2月
page : 112pages / 2C
size : 250×175(mm)
price : ¥2,730(tax included)
limited edition / 700
ギャラリーまたは下記オンラインショップよりご購入いただけます。
http://www.ratholegallery.com/publications/pub.htm
http://www.buenobooks.com/rathole/#Box054
開催中の展覧会「Sex Booze Weed Speed」の同名作品集が完成致しました。
『Sex Booze Weed Speed』
ガーダー・アイダ・アイナーソン&オスカー・トゥアゾン
Gardar Eide Einarsson & Oscar Tuazon
2011年2月
page : 112pages / 2C
size : 250×175(mm)
price : ¥2,730(tax included)
limited edition / 700
ギャラリーまたは下記オンラインショップよりご購入いただけます。
http://www.ratholegallery.com/publications/pub.htm
http://www.buenobooks.com/rathole/#Box054
ARTiTフォトレポート
ARTiTフォトレポート:
オスカー・トゥアゾン&ガーダー・アイダ・アイナーソン「Sex Booze Weed Speed」@ RAT HOLE GALLERY
http://www.art-it.asia/u/admin_expht/QlWnjcxAgRsOab9G1NFD
オスカー・トゥアゾン&ガーダー・アイダ・アイナーソン「Sex Booze Weed Speed」@ RAT HOLE GALLERY
http://www.art-it.asia/u/admin_expht/QlWnjcxAgRsOab9G1NFD
本日より開催: オスカー・トゥアゾン&ガーダー・アイダ・アイナーソン展
Current Exhibition
オスカー・トゥアゾン&ガーダー・アイダ・アイナーソン
「Sex Booze Weed Speed」
2010年12月17日〜2011年2月20日
12:00 - 20:00 (月曜日、12/28-1/5休)

Oscar Tuazon & Gardar Eide Einarsson, Young Patriots, 2009, Silkscreen poster
RAT HOLE GALLERY
107-0062 東京都港区南青山5-5-3 B1
TEL: 03-6419-3581 FAX: 03-6419-3583
www.ratholegallery.com
関連記事
http://openers.jp/culture/tips_art/Sex_Booze_Weed_Speed101130.html
オスカー・トゥアゾン&ガーダー・アイダ・アイナーソン
「Sex Booze Weed Speed」
2010年12月17日〜2011年2月20日
12:00 - 20:00 (月曜日、12/28-1/5休)
Oscar Tuazon & Gardar Eide Einarsson, Young Patriots, 2009, Silkscreen poster
RAT HOLE GALLERY
107-0062 東京都港区南青山5-5-3 B1
TEL: 03-6419-3581 FAX: 03-6419-3583
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