N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅 @ 森美術館


N・S・ハルシャ「宇宙情報処理センターでの名優」2015年 Courtesy: Victoria Miro, London

N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅
2017年2月4日(土)-6月11日(日)
森美術館
http://www.mori.art.museum/
開館時間:10:00-22:00(火曜は17:00まで)入館は閉館30分前まで
会期中無休

企画:片岡真実(森美術館チーフ・キュレーター)

森美術館では、南インドの伝統文化や自然環境、人間と動植物との関係など自らを取り巻く生を反映した表現で、経済成長とともに国際的な注目を浴びるインド現代美術の中でも独自の立ち位置を確立してきたアーティスト、N・S・ハルシャの20年以上にわたる実践を振り返る大規模な個展『N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅』を開催する。

N・S・ハルシャは1969年にカルナータカ州マイスールに生まれる。ヴァドーダラーのマハラジャ・サヤジラオ(MS)大学で絵画を学び、95年に修士号を取得。絵画を中心に、ドローイング、彫刻、インスタレーションやワークショップなど多様な表現形式は、地域に深く根ざした具象造形の伝統、絵巻の伝統や近代コミックなどに継承された神話や物語の文化、女性が毎朝玄関前に描く砂絵「ランゴーリー」などを背景に、身体に象徴されるミクロコスモスと森羅万象を包むマクロコスモスが同時に存在する世界観、日々の不条理や両義的な瞬間へ向けられた観察者の視点という一貫した特徴を持っている。これまでに、コーチ=ムジリス・ビエンナーレ(2014)やモスクワ・ビエンナーレ(2013)、サンパウロ・ビエンナーレ(2010)などに参加。日本国内では、メゾン・エルメスで個展『レフトオーバーズ』(2008)やヨコハマトリエンナーレ2011、堂島リバービエンナーレ(2013)で作品を発表。森美術館の『チャロー!インディア:インド美術の新時代』(2008)では、監視員用の椅子を制作し、展示空間における視線や関係性に変化をもたらした。そのほか、2008年には社会の現実や人間の条件に向き合う制作活動に取り組む優れたアーティストを表彰するアルテス・ムンディ賞を受賞している。

本展では、N・S・ハルシャの絵画の特徴として挙げられる、ひとつの作品に人物や動物などのモチーフを多数並列して描くスタイルを確立する契機となった作品「私たちは来て、私たちは食べ、私たちは眠る」(1999-2001)や、自身の故郷であり現在の活動拠点でもあるマイスールを舞台に、90年代初頭の市場開放による社会的な変化や世界経済が与える影響を示唆するさまざまな物語が展開する初期の代表作「チャーミングな国家」シリーズなど、95年以降の主要作品約70点(新作を含む)を発表。また、N・S・ハルシャは、各地で地元の人々や子どもたちと実施してきたコミュニティ・プログラムやワークショップでも定評を得ており、今年1月には森美術館近隣の小学校の生徒とともにワークショップを実施。その成果を会場内に展示するほか、会期中にも小学生を対象としたワークショップを予定している。

なお、本展キュレーターの片岡真実は2012年にサンフランシスコ・アジア美術館で企画した『アジアの亡霊展』でもN・S・ハルシャを紹介している。近年、片岡が手がけた『アイ・ウェイウェイ展:何に因って』(2009)、『リー・ミンウェイとその関係展:参加するアート−見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる』(2014-15)といった中堅アーティストの回顧展は、森美術館での開催後に日本国外の美術館への巡回展へと発展している。


N・S・ハルシャ「宇宙情報処理センターでの名優」(部分)2015年 Courtesy: Victoria Miro, London


N・S・ハルシャ「彼らが私の空腹をどうにかしてくれるだろう」(「チャーミングな国家」シリーズより)2006年 所蔵:ボーディ・アート・リミテッド、ニューデリー

関連企画
トークセッション「世界を俯瞰する絵画、日常を観察する絵画」
出演:N・S・ハルシャ
山下裕二(明治学院大学教授)
会田誠(美術家)
片岡真実(森美術館チーフ・キュレーター)
2017年2月4日(土)19:00-21:00(開場:18:30)
会場:アカデミーヒルズ(六本木ヒルズ森タワー49階)
定員:150名(要予約)既に申込終了
料金:一般1,800円(展覧会チケット付)、MAMCメンバー無料

アーティストトーク「出展作品「ここに演説をしに来て」の世界」
出演:N・S・ハルシャ
2017年2月15日(水)19:00-20:00(受付開始:18:45)
会場:森美術館展示室内
定員:40名(要予約)、無料(要展覧会チケット)※申込終了

キッズ・ワークショップ「フューチャー:未来の夢」行進 in 六本木ヒルズ
2017年1月30日(月)10:00-10:30(※雨天決行)
場所:六本木ヒルズ

キッズ・ワークショップ「ナイト・ジャーニー:夜への旅」
出演:N・S・ハルシャ
1日目:2017年4月22日(土)14:00-16:00
2日目:2017年4月23日(日)17:30-20:00
会場:森美術館、六本木ヒルズ内
対象:小学生
定員:親子15組30名(要予約/抽選/子ども1名、その保護者1名のペアでの参加)
料金:1,000円(1組)
詳細は公式ウェブサイトを参照


N・S・ハルシャ「レフトオーバーズ(残り物)」(部分)2008年 展示風景:「レフトオーバーズ」銀座メゾンエルメス フォーラム、東京、2008年 © Nacása & Partners Inc. Courtesy: Fondation d’entreprise Hermès


N・S・ハルシャ「ネイションズ(国家)」(部分)2007年 展示風景:シャルジャ・ビエンナーレ9、アラブ首長国連邦、2007年

※そのほかの関連企画は、公式ウェブサイトを参照。

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