ダヤニータ・シン インドの大きな家の美術館 @ 東京都写真美術館

2017年5月18日

〈ミュージアム・オブ・チャンス〉より 2013年 アーカイバル・ピグメント・プリント

総合開館20周年記念
ダヤニータ・シン インドの大きな家の美術館
2017年5月20日(土)-7月17日(月・祝)
東京都写真美術館 2階展示室
http://topmuseum.jp/
開館時間:10:00-18:00(木、金は20:00まで)
休館日:月(ただし7/17は開館)

企画:笠原美智子(東京都写真美術館事業企画課長)


東京都写真美術館では、国際的に活躍する写真家、ダヤニータ・シンの日本国内の美術館では初の個展『ダヤニータ・シン インドの大きな家の美術館』を開催する。

ダヤニータ・シンは1961年ニューデリー生まれ。80年から86年までアーメダバードの国立デザイン学校に学ぶ。在学中より6年以上にわたってタブラ奏者のザキール・フセインを取材し、卒業制作かつ初の写真集として『ザキール・フセイン』(1987)を制作。87年から88年までニューヨークの国際写真センター(ICP)でドキュメンタリー写真を学ぶと、その後8年間にわたってさまざまな社会問題、ダヤニータ自身が言うところの「西欧が認識するインド」を欧米の雑誌で発表するが、90年代後半にフォトジャーナリストとしての仕事を完全に辞め、アーティストとしての活動を開始する。

転機となったオールド・デリーの墓地に暮らすユーナック(去勢された男性)のモナ・アハメドを主題にした作品は、13年間の継続的な撮影の結果として、写真集『マイセルフ・モナ・アハメド』(2001)として結実。視覚的な小説とも呼べるような、ドキュメンタリーとフィクション、夢と現実、不在と実在が綯い交ぜになった世界を展開している。以来、『プライバシー』(2003)、『ゴー・アウェー・クローサー』(2007)、『セント・ア・レター』(2007)、『ドリーム・ヴィラ』(2010)、『ハウス・オブ・ラブ』(2010)、『ファイル・ルーム』(2013)、『ミュージアム・オブ・チャンス』(2014)といった写真集を発表。詩的で美しい世界のなかに、現代の美術館システムやマーケットの問題、現代社会におけるセクシュアリティや格差、階級、ジェンダー、アーカイブ、情報など、さまざまな問題を示唆するとともに、写真や写真集のメディアとしての新たな可能性を切り開いている。近年は移動式の「美術館」という形式を考案し、その全体を「インドの大きな家の美術館(Museum Bhavan)」と名付けている。

これまでにマニフェスタ7(2008)や第54回ヴェネツィア・ビエンナーレ企画展(2011)や第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ・ドイツ館(2013)、第20回シドニー・ビエンナーレ(2016)といった国際展に参加。2013年にロンドンのヘイワード美術館で開催された個展『ゴー・アウェー・クローサー』は、フランクフルト現代美術館やモスクワのマルティメディア美術館に巡回。そのほか、昨年から今年にかけて、ボローニャのMAST美術館やムンバイのBhau Dali Lad Museumでも個展を開催している。日本国内では、2011年に資生堂ギャラリーで個展『ダヤニータ・シン展−ある写真家の冒険−』を開催。京都国立近代美術館と東京国立近代美術館で開催された『映画をめぐる美術−マルセル・ブロータースから始まる−』(2013-14)にも出品している。




〈私としての私〉より 1999年 ゼラチン・シルバー・プリント 京都国立近代美術館蔵



〈ミュージアム・オブ・チャンス〉2013年


本展では、ダヤニータの制作活動における初期の代表作「マイセルフ・モナ・アハメド」(1989-2000)、「第3の性」(1991-93)、「私としての私」(1999)から、写真集という形式から手紙のような親密さを導き出した「セント・ア・レター」(2007)を導入として、移動式美術館「インドの大きな家の美術館」から最新作「ミュージアム・オブ・シェディング」を含む複数のシリーズ、最新作「タイム・メジャーズ」(2016)、第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ・ドイツ館で発表したデジタル・プロジェクション「モナ・アンド・マイセルフ」(2013)などを展示。会期中には、ダヤニータ本人による講演会のほか、ダヤニータと親交の深い写真家・畠山直哉による講演会を開催する。

なお、本展は東京都写真美術館事業企画課長の笠原美智子が企画。笠原はこれまでに第51回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館コミッショナーとして『石内都:マザーズ2000-2005』を手がけ、東京都写真美術館では、『私という未知へ向かって−現代女性セルフ・ポートレイト展』(1991)、『ジェンダー 記憶の淵から』(1996)、『ラヴズ・ボディ ヌード写真の近現代』(1998)、『ラヴズ・ボディ 生と性を巡る表現』(2010)、『この世界とわたしのどこか』(2012)などを企画。主な著作に『ヌードのポリティクス 女性写真家の仕事』(1998)や『写真、時代に抗するもの』(2002)がある。




〈リトル・レディース・ミュージアム−1961年から現在まで〉より 2013年 アーカイバル・ピグメント・プリント、photo by Nony Singh


関連企画
講演会 ダヤニータ・シン
2017年5月20日(土)18:00-19:30
会場:東京都写真美術館1階ホール
定員:190名(整理番号順入場、自由席)、無料
※当日10:00より入場整理券を配布

U-Zhaan(ユザーン)x 新井孝弘 インド古典音楽ライブ
2017年5月27日(土)15:00-16:00
会場:東京都写真美術館1階ホール
定員:190名(整理番号順入場、自由席)、無料
※当日10:00より入場整理券を配布

講演会 畠山直哉
2017年7月7日(金)18:00-19:30
会場:東京都写真美術館1階ホール
定員:190名(整理番号順入場、自由席)、無料
※当日10:00より入場整理券を配布

※そのほかの関連企画は、公式ウェブサイトを参照。


ART iT Archive
ダヤニータ・シン「円環するイメージの海を航る」(2012年2月掲載)




総合開館20周年記念TOPコレクション
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