サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2015


Plasencia Auditorium and Congress Centre, Cseres, Spain 2005/2013 Image © Hisao Suzuki

2014年12月4日、ロンドンのサーペンタイン・ギャラリーは、恒例となった夏季限定パビリオンの2015年の設計を、スペインの設計事務所セルガスカーノに依頼すると発表した。同企画初のスペインの建築家の選出。

セルガスカーノは、ホセ・セルガスとルチア・カーノが1998年にマドリッドに設立した設計事務所で、ルイス・バラガンやリチャード・ロジャースに影響を受けた色彩の使用法や、一般的には建築に使用されない素材や新しい技術を積極的に取り入れた設計で知られる。また、建築を自然に対する二次的なものとして捉え、自然と気候学についてのデザインをマサチューセッツ工科大学で教えている。これまでに手掛けた建築は、ほとんどがスペイン国内で、マドリッド近郊の「森のオフィス」(2009)や、バダホスの「メリダ・ファクトリー・ユース・ムーブメント」(2011)、カルタヘナの会議場「El ‘B’」(2006-2011)、カサレスの「プラセンシア会議場&オーディトリウム」(2005-2013)などが代表作として知られている。一方、スペイン国外では、ケニアのトゥルカナに教育と医療のためのパビリオンが知られており、現在、ロサンゼルス、小アンティル諸島のオランダ自治領アルバ島などのプロジェクトが進行している。また、これまでにニューヨークのグッゲンハイム美術館やロンドンのデザイン美術館などの企画展、妹島和世がアーティスティック・ディレクターを務めた第12回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展などに参加している。

具体的なプランはまだ発表されていないが、セルガスカーノは「庭」と「ロンドン」という要素を重要視した上で、先端技術を駆使して、ひとつの素材のみを使って「透明性」を実現するパビリオンを目指すと発表している。


Above: Factory Mérida, Badajoz, Spain 2006/2011 Image © Iwan Baan. Below: Office in the Woods, Madrid, Spain 2006/2009 Image © Iwan Baan

同企画は2000年のザハ・ハディドの設計ではじまり、来年で15回目を迎える。なお、これまでに設計を手掛けた伊東豊雄(2002 ※セシル・バルモンドとの共同)、フランク・ゲーリー(2008)、SANAA(2009)、藤本壮介(2013)、スミルハン・ラディック(2014)、そして、来年のセルガスカーノは、2011年から2012年にかけて東京都現代美術館で開催された『建築、アートがつくりだす新しい環境―これからの”感じ”』に出品している。

サーペンタイン・ギャラリー:http://www.serpentinegalleries.org/

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