マリア・ラスニック死去(1919-2014)


Maria Lassnig. Installation view at 55th Venice Biennale. Photo: ART iT

2014年5月6日、フェミニスト的視点を備えた前衛美術の先駆者として知られるマリア・ラスニックがウィーン市内の病院にて死去した。94歳。

マリア・ラスニックは1919年カッペル(オーストリア)生まれ。60年以上にわたって身体および個人の表象をセルフポートレートを通して探究した。第二次世界大戦期にウィーン芸術アカデミーで学び、戦後パリへと移るとアンドレ・ブルトンやパウル・ツェランらシュルレアリストに出会う。その後、ニューヨークに渡り、「ボディ–アウェアネス・ペインティング」と称する手法を用いて映像作品なども制作している。80年にオーストリアへと帰国すると、ドイツ語圏内では女性としては初の絵画科の教授に就任(ウィーン応用芸術大学)、第39回ヴェネツィア・ビエンナーレにオーストリア館代表として参加するなどウィーンを拠点に活動する。その後も82年、97年にドクメンタ、2003年に第50回ヴェネツィア・ビエンナーレ企画展に参加、アムステルダム市立美術館(1994)、ポンピドゥー・センター(1995)、ルードヴィヒ財団近代美術館(1999)、サーペンタインギャラリー(2008)などで個展を開催している。昨年は第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ企画展に参加、また、マリサ・メルツとともに「生涯功績への金獅子賞」を受賞した。

なお、ニューヨークのP.S.1現代美術センターでは5月25日 9月7日(会期延長)まで個展が開催されており、6月28日よりサンクトペテルブルクで開催されるマニフェスタ10では通常、アンリ・マティスの作品が展示してある部屋にマルレーネ・デュマスやニコル・アンゼンマンの作品とともにラスニックの作品が展示される予定。

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