第23回高松宮殿下記念世界文化賞決定


Both: Anish Kapoor Leviathan (2011)
2011年7月11日、第23回高松宮殿下記念世界文化賞が日本プレスセンターで発表された。本年度は絵画部門をビル・ヴィオラ、彫刻部門をアニッシュ・カプーア、建築部門をリカルド・レゴレッタの各氏がそれぞれ受賞した。
ビル・ヴィオラはビデオ・アートの先駆者のひとりであり、大掛かりな映像インスタレーション作品を制作しつづけているアメリカ人美術家である。日本では、1980年にアーティスト・イン・レジデンスで長期滞在し、アジア初の大型回顧展『ビル・ヴィオラ:はつゆめ』を森美術館(2006)と兵庫県立美術館(2007)で開催している。現在は来春、ロンドンのセント・ポール大聖堂に設置される「ビデオ礼拝所」を制作中である。「追憶の五重奏」(2000)が東京国立近代美術館に所蔵されており、またアーカイブはICCでも鑑賞が可能。グループ展では「プールの反映」(1977–79)が東京国立近代美術館の『ヴィデオを待ちながら 映像、60年代から今日へ』展(2009)および三重県立美術館、国立国際美術館、東京都写真美術館を巡回した『液晶絵画』展(2008)で、「十字架の聖ヨハネの部屋」(1983)が『旅 ―― 「ここではないどこか」を生きるための10のレッスン』(2003)に出品されている。
インド人彫刻家のアニッシュ・カプーアは、17歳で渡英し、美術を学び始め、ヨーロッパのモダニズムとインド文化を融合させたシンプルなフォルムの彫刻で知られる。1991年にはターナー賞を受賞している。現在はパリのグランパレで開催中の『モニュメンタ』プロジェクトに新作「リヴァイアサン」(2011)を展示中で、来年開催されるロンドン・オリンピックのための記念塔「オービット」のデザインも手掛けている。日本では国内数カ所の美術館を巡回した『イギリス美術は、いま』(1990-91)、水戸芸術館で行われた『アナザーワールド』(1993)、そのほか、スカイ・ザ・バスハウスでも数回の個展を行っている。日本で見られる作品では「虚ろなる母」(1989-1990)が福岡市美術館、「虚空」(1992)が原美術館、「輝く山」(1993)が東京国際フォーラム、「無題」(1999)が霧島アートの森、「L’Origine du Monde」(2004)が金沢21世紀美術館にそれぞれ所蔵されている。
メキシコ人建築家のリカルド・レゴレッタは1968年に建てたホテル「カミノ・レアル・ホテル・メキシコシティ」でその名を広く知られるようになり、モダニズムの美学のみならず、土着性を反映した現代メキシコ建築を追求する。レゴレッタの手掛けた建築は、中南米、アメリカ南部、中東などにみられる。なお、音楽部門の受賞者は小澤征爾、演劇・映像部門ではイギリス人女優ジュディ・デンチが受賞した。授賞式典は10月19日に東京、元赤坂の明治記念館で行われる。

公式ウェブサイト:http://www.praemiumimperiale.org/

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