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非常の常
2025年6月28日(土)-10月5日(日)
国立国際美術館
https://www.nmao.go.jp/
開館時間:10:00–17:00(金、土は20:00まで)入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、7/21、8/11、9/15は開館)、7/22、8/12、9/16
企画:橋本梓(国立国際美術館主任研究員)
展覧会URL:https://www.nmao.go.jp/events/event/20250628_hijou-no-jou/
国立国際美術館では、国内外のアーティストによる作品を通じて、世界で起こっている同時代的な危機や社会問題について考えるグループ展「非常の常」を開催する。参加アーティストは、シプリアン・ガイヤール、潘逸舟、クゥワイ・サムナン、キム・アヨン、リー・キット、高橋喜代史、米田知子、ユェン・グァンミン[袁廣鳴]の8名。
地震、山火事、洪水、津波、かつてない気候変動などの天変地異。クーデター、侵略、戦争、突然の世界的経済危機など、地球上のあらゆる混乱は加速度を増し、人々は常態化した非常事態を生きている。また、生成AIなど人工知能を含むテクノロジーが飛躍的に発達により、情報の真正性の判断は極めて困難となり、情報の流通が複雑なアルゴリズムに支配され、サイバー空間での攻撃がいよいよ本格化したこの超高度情報化社会では、誰もが生の根底に不安を抱き、焦燥感や拠りどころのなさを抱えている。こうした「非常の常」の時代を、どのように生きていくことができるのか。本展では、8名の作家の表現を通じて、時代を見つめ、想像力を膨らませ、明日を生きる希望を探る。
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台湾のビデオ・アートシーンを牽引してきた映像作家のユェン・グァンミン[袁廣鳴]は、昨年のヴェネツィア・ビエンナーレ台湾館のために制作し発表した《日常戦争》を、国内の美術館で初めて展示する。3Dアニメーションと実写を組み合わせた短編映画のような映像で観客を魅了するキム・アヨン(1979年ソウル生まれ)は、アルス・エレクトロニカ賞のニュー・アニメーション・アート部門にて2023年にゴールデン・ニカ賞(グランプリ)を受賞した《デリバリー・ダンサーズ・スフィア》を出品。ユェンとキムの両作品は、国立新美術館に昨年度収蔵され、今回が初披露となる。映像を絵画的に用い、詩的な美しさを湛えるリー・キット(1978年香港生まれ)の作品は、国内の美術館では、2018年の原美術館での個展「僕らはもっと繊細だった。」以来のまとまった発表となる。今回、《僕らはもっと分別があった。》を含む複数の新作を展示する。米田知子(1965年兵庫生まれ)は、休戦状態で今も緊張が続く韓国と北朝鮮の間の非武装地帯(DMZ)の風景を、一見穏やかで美しい風景を切り取った写真作品《絡まった有刺鉄線と花(非武装地帯近く・チョルウォン・韓国)Ⅰ》を公開する。
作家の等身大のコミュニケーションを元にした映像作品を通じて、社会が抱える難題にアプローチする手がかりを探る高橋喜代史(1974年北海道生まれ)は、作品展示のほか、スイカの飲み物を無料で配布するパフォーマンス《Free Watermelon Bar》を会期中に実施。シプリアン・ガイヤール(1980年パリ生まれ)は、イラクの砂漠や兵士、積み上げられた廃車などを断片的に撮影し組み合わせた映像作品《Artefacts》を展示する。作家自身による体当たりの行為を美しいモノクロ表現で見せる潘逸舟(1987年上海生まれ)は、取り壊された家のコンクリートから採取したふたつの石の上を飛び石のように踏み、ゆっくりと移動していく様子を撮影した《わたしは家を運び、家はわたしを移す》を公開。クゥワイ・サムナン(1982年カンボジア・スヴァイリエン州生まれ)は、5チャンネルの映像インスタレーション作品《Untitled》を展示。本作でサムナンは、プノンペンの湖が埋め立てられている最中にその場所に入り、自分にバケツ一杯分の砂をかけ、土地の過剰消費に対する反応を示した。
関連イベントとして、トークイベントのほか、ミャンマー人のクリエイターを支援するためのオンラインプラットフォーム「ドキュ・アッタン」協力の下、映像作品の上映会と、2025年3月28日に発生したミャンマー地震での現地の様子についての報告会を実施する。


関連イベント
「高橋喜代史《フリー・スイカ・バー》パフォーマンス」
2025年6月28日(土)、10月5日(日)いずれも14:00–(終了時間未定、ただし最長17:00まで)
会場:国立国際美術館 正面玄関前 ※雨天の場合、内容を変更し館内で実施
参加費:無料(参加者にはスイカジュースを配布)
トーク・イベント「非常の時代のアテンション」
2025年8月3日(日)14:00–16:00(予定)
会場:国立国際美術館 B1階講堂
登壇者:岡田温司(京都大学名誉教授)、石谷治寛(広島市立大学芸術学部准教授)、大木美智子(ロンドン大学専任上級講師)、橋本梓(本展企画担当)
定員:100名(当日10:00からB1階インフォメーションにて整理券を配布(ひとり一枚))
参加費:無料
ドキュ・アッタンシアター#大阪
2025年8月24日(日)14:00–16:00(予定)
会場:国立国際美術館 B1階講堂
定員:100名(当日10:00からB1階インフォメーションにて整理券を配布(ひとり一枚))
企画協力:ドキュ・アッタン
展覧会見どころ解説
2025年9月15日(月・祝)14:00–15:00(予定)
会場:国立国際美術館B1階講堂
講師:橋本梓(本展企画担当)
定員:100名(参加費無料)

